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外国人が日本人と離婚した場合の配偶者ビザからの変更について
2020-08-30
これまで日本人と結婚していた外国人の方が離婚した場合に、その後のビザが心配でご相談をいただくことがあります。
配偶者ビザの場合には日本人と離婚することでその基盤を失ってしまいますが、一部「定住者」ビザや他のビザへ変更できる場合がありますので、かんたんに説明します。
外国人が離婚した場合の配偶者ビザから定住者ビザへの変更
日本人と結婚している外国人の方の多くは、「日本人の配偶者等」というビザを持って日本に在留しています。
この配偶者ビザは、配偶者としての活動を行うためのビザなので、離婚などが原因で配偶者としての活動を6カ月以上行わない場合にはビザ取り消しの対象となります。
この場合、引き続き日本で暮らすためには他のビザへの変更が必要です。
ここでは「定住者」ビザへの変更についてご説明します。
子どもがいなくて離婚した場合(離婚定住)
まずは離婚された方に子どもがいなかった場合について考えてみましょう。
日本人と離婚をした場合、次回「日本人の配偶者等」のビザを更新することはできません。配偶者が存在しないからです。
この場合、以下の要件を満たす方は「日本人の配偶者等」ビザから「定住者」ビザへ変更ができる可能性があります。(注意:必ず変更できるわけではありません)
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1.実態のある婚姻期間が3年以上であること
これは絶対に3年以上が必要です。公的に婚姻を証明する資料とともに、実態のある婚姻である必要があります。
法律的には婚姻期間が3年以上であっても、2年半を別居していたことが判明すれば実態のある婚姻とはみなされません。
2.離婚して生計を維持できるだけの収入があること
日本人の配偶者ビザで在留してきた方の中には、これまで日本で全く働いてこなかった方もいます。
これまでは経済的には日本人の配偶者に依存してきた場合には、離婚して日本で暮らしていくために仕事をして収入を得る必要があります。これまで仕事をしていなかった方は、お仕事を探してください。
配偶者ビザから定住者ビザへ変更が許可された場合には、就労に関しては日本人と同様に制限がありません。
ですので、仕事内容についてはホワイトカラーの仕事である必要はありません。アルバイトやパートであっても、日本で安定的に暮らしていけるだけの収入が見込めれば可能です。
配偶者ビザから定住者ビザへの変更依頼は
子どもがいて離婚した場合(日本人実子扶養定住)
ここで言う「子ども」とは、「日本人と外国人との間の子ども」という意味です。日本国籍を持つ子どもであり、DNA鑑定をしてもいわゆる日本人と外国人のハーフですと認められる子どものことです。完全に外国人同士(永住者含む)の子どもは該当しません。
日本人と外国人の間の子どもは、20歳以下である場合、その多くは2重国籍であるかと思いますが、日本国籍をお持ちであることに変わりはありません。
このようなお子さんがいる場合には、下記要件を満たせば「定住者」ビザを取得できる可能性があります。
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日本国籍を持つお子さんがいて離婚した場合、お子さんがいない場合と比べて大幅に要件が緩和されます。
婚姻期間は3年以下でもよく、一定額の収入に関してもまず問われません。生活を維持できる方策があればよいので、生活保護を受給されている方でもここでいう「日本人実子扶養定住」を取得できる可能性があります。
その背景には、離婚した親ではなく日本国籍を持つ子どもを守るという国策があります。この日本国籍をもつ子どもを守ることができるのは、もはやこの外国人の親しかいません。それであれば、どんな方法でも生活できる方策があればビザを付与しましょう、という考え方になります。
親権を持っていること
この定住者ビザを取得するための唯一といっていい要件が「親権」を有することです。
親権とはかんたんに言えば、子どもと一緒に生活して身の回りの世話をしたり、子どものお金の管理やいろいろなことを判断できる権利のことです。
子どもを守るためにビザが付与されますので、この親権がなければお子さんを守ることができないと判断されるので定住者ビザは付与されません。
ご相談に来られる方の大部分は、離婚を考えている、もしくは離婚した外国人女性ですが、親権を取得していれば男性でも定住者ビザ取得の可能性があります。
相談のタイミングはいつがいい?
離婚してから相談に来られる方も多くいらっしゃいます。
もちろんさまざまな理由で離婚を決意されたのだと思います。ただ、ビザ取得という観点からアドバイスさせていただくと、できれば離婚を考えている時点でご相談に来られた方が良い結果となることが多いです。
例えば、「日本人の配偶者」ビザをお持ちの方が思い切って離婚に踏み切ってから相談に来ます。話の中でどのくらい結婚生活をしていましたかと訪ねると「2年10カ月」だと言います。離婚定住の要件である「少なくとも3年以上」という婚姻期間は絶対に必要ですので、1カ月足りなくても変更の許可はおりません。
離婚後のお仕事や収入の話もありますので、できれば離婚される前に一度無料相談に来てください。
定住者ビザへの変更相談はこちら |
日本人配偶者と死別した方
こちらも基本的には離婚後に定住ビザを取得する場合と同じ考え方となります。
日本人の配偶者が亡くなったというケースで日本人の配偶者ビザの要件を満たさなくなるので、次の要件を満たす場合には、定住者に変更できる場合があります。
日本人配偶者に限らず、永住者、特別永住者との死別もこの考え方に含まれます。
・実態のある婚姻期間が3年以上 ・生計を維持できる収入 |
※日本人配偶者との間に子どもがいる場合は、上記要件が緩和されます。
就労ビザへの変更
では次に就労ビザへの変更について考えてみます。
定住者ビザ取得の要件を満たさなかった場合、次に考えるのは就労ビザへの変更です。
就労ビザはたくさんの種類があり、それぞれで取得するための要件が違います。ここでは外国人の方が多く持っている「技術・人文知識・国際業務」ビザについて説明します。
このビザは、本国で大学等を卒業しているか、日本で専門学校や大学等を卒業している場合に、学校で勉強したことと関連のあるお仕事につくことができるビザです。
技人国ビザのお仕事(例)
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このビザは受け入れる企業についても審査されるので、必ずビザを申請する前にお仕事を決めて雇用契約などを交わす必要があります。
また、一定の学歴が必要ですが、本国で3年~10年(その多くは10年)の実務経験があれば学歴は不要です。実務経験は職務経歴書で本国の企業などから10年以上働いていたことを証明してもらうことが必要です。
技術・人文知識・国際業務ビザについてくわしく
その他ビザへの変更
配偶者ビザ
離婚後、日本人や永住者の方と結婚する場合のビザです。
離婚してすぐに他の方と結婚するということで、入管の審査は特に厳しくなると予想されます。ビザが欲しいために結婚するいわゆる「かけこみ婚」というものに対し、入管はいつも目を光らせています。
もちろん真正な婚姻である場合には、認められる可能性もありますが、実務上では日本の民法という法律の中に、「再婚禁止期間」という一定の再婚できない期間が定められています。
再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間(さいこんきんしきかん)とは、日本の民法 733条の規定により、女性(妻)が前婚の解消または取消しの日から再婚することができない100日間の婚姻届不受理期間を指します。 |
この再婚禁止期間に該当する場合、婚姻届けを受け取ってもらえないことから、1度本国に帰り婚姻成立後に日本に呼び戻すという方法もあります。
家族滞在ビザ
こちらは日本で働く外国人の方と結婚した場合です。
日本で就労ビザを取得して働く外国人の家族には、一部を除き、「家族滞在」ビザというものが付与されます。一般的には日本で働くことが決まった外国人が、本国から家族を呼び寄せる際に取得するビザです。
配偶者ビザを持っていた方がこのビザを取得しようとする場合、上記と同様に婚姻については非常に厳しく審査されます。
再婚禁止期間も考慮の上、両国での婚姻が成立してから、1度帰国してから呼び寄せるように入管より促される可能性が高くなります。
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