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アニメーターとして日本で就労ビザ取得をお考えの外国人の方へ
2021-10-16
2023-11-14
アニメーターとして日本で就労ビザを取得したいという日本の専門学校や大学の留学生からよく質問をいただきます。
以前はアニメーターとして就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」ビザ)を取得することはできませんでしたが、現在ではクールジャパン戦略の一環として、就労ビザを取得できる可能性があるので、ここではビザ専門の行政書士がかんたんにご説明します。
アニメーターとして日本で就労ビザ取得をお考えの外国人の方へ
日本の魅力を世界へ発信するクールジャパン戦略が推進され,日本のコンテンツ等に対する外国からの関心が高まっていることを受け、アニメ等を学びに来日した留学生が,引き続き日本で働くことを希望する場合に、「技術・人文知識・国際業務」(技人国=ぎじんこく)ビザを取得できる可能性があります。
以前は不可能であったアニメーターから就労ビザへの変更ですが、一定の要件を満たす場合に「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更し日本で就労できる可能性があります。
技術・人文知識・国際業務取得の要件
「技術・人文知識・国際業務」に変更するためには次のような要件を満たす必要があります。
技人国ビザ取得の6つのポイント
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それぞれ見ていくことにしましょう。
1.専攻科目と職務内容の関連性
外国人が日本の大学や専門学校で専攻したアニメーションに関する専門的な技術や知識と関連のある業務に従事することが必要です。専攻した科目と予定される職務内容に関連性があることを、成績証明書と照らし合わせて確認してください。
特にこのアニメーション関連分野での就労ビザ取得は主体的創作活動であるか否かが大きなポイントです。例えばアニメ制作会社などでアニメーターとして、またはコンピューター関連会社などで、キャラクターデザインなどのゲーム開発エンジニアとして就労する場合はビザ取得の可能性がありますが、ひたすら機械的に背景画の色付け作業をするような場合には原則としてビザの取得が難しでしょう。
ただし、入社後数カ月程度の研修期間として単純作業に従事する場合でも、その後主体的創作活動へ移行することが明確な場合には初年度1年の「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更できる可能性があります。申請の難易度が上がることが予想されますので、心配な場合にはビザの専門家をご利用ください。
2.本人の経歴
本人の経歴につきましては、日本のクールジャパン分野において日本で該当する業務に関する勉強をしてきた方で、引き続き日本で働くことを希望する方が対象となります。
具体的には、日本のアニメーションに係る専門学校や大学(院)において、予定される職務内容に関連する科目を履修し、卒業(予定)の方です。
3.会社の経営状態
出入国在留管理局では、外国人本人を審査すると同時に、受け入れる会社等の機関についても審査をします。つまり安定的・継続的に外国人材を受け入れる基盤がその機関にあるかどうかを審査します。
具体的には決算書を提出し、その内容が審査されます。新設会社の場合はまだ決算書がありませんので、事業計画書を必ず添付してください。難易度は上がりますが、新設会社でももちろん外国人材の雇用は可能です。
また、直近の決算が赤字決算の場合も同様に事業計画書を添付します。赤字だからという理由のみでビザを取得できないということはありませんが、現在の経営状況と今後のビジョン、すなわち具体的な売上げ向上のための方策や方針を打ち出し、それらを実行して黒字化するための事業計画書を添付する必要があります。
ただし、直近の決算が「債務超過」になると許可を取得することは格段に難しくなります。この場合には中小企業診断士や公認会計士を入れ、専門家の目から再建が可能であることを綿密な報告書や事業計画書など書面で疎明して行く作業が必要となります。専門家への報酬も高額となると同時に、かなり難しい申請ですので、ビザの専門家にご相談ください。
4.業務量
外国人本人の専攻と密接に関連した業務であっても、そもそもその会社でその仕事をさせる十分な業務量が見込まれない場合は許可は出ません。
十分な業務量が見込まれない例
アニメーションに関する大学を卒業見込みの留学生が企業と業務委託契約を締結し就労してもらう場合で、週に4日・1日5時間という契約である場合、十分な業務量が確保されているとは言えません。
空いた時間に何をするのかという疑義を持たれることはもちろん、4日x5時間=20時間/週では、留学生等が資格外活動許可を取得して働くことのできる上限にも達しておらず、許可となる見込みはないと言えます。
この場合、数社の企業と業務委託契約を締結するか、1社とフルタイムでの雇用契約等を締結し、十分な業務量や報酬が見込まれることを契約書などの疎明資料を提出して申請することになります。 |
5.日本人と同等以上の報酬
こちらは会社内の同じ職務で働く日本人社員と同等かそれ以上の報酬額が必要とされます。国籍によって不当に外国人と日本人で給与に格差をつけることは禁じられているからです。
報酬額は一律に決められているわけではありません。あなたの会社の賃金体系を基に日本人と同等額以上である必要があり、もし自社に賃金体系がなかったり、他に雇用している人間がいない場合、地域で同種の会社の賃金体系を参考にして日本人と同等以上であるか判断されます。
ここでいう報酬は、役務の給付の対価を意味し、通勤手当・住宅手当などの実費弁償は含まれません。また、扶養手当についても被扶養者の有無による審査上の不平等を生じさせないため、報酬に含まれません。
また退職金や見舞金、結婚祝金、現物給付としての住宅手当や旅費、食費、作業着や制服にかかる費用については、実質的にそれらが見舞金・恩恵的・福利厚生的なものは報酬に含まれませんが、就業規則や労働契約等で支給条件が明らかにされているものについては報酬に含まれます。
6.本人の素行
これは過去に退去強制や逮捕歴・犯罪歴がないかということはもちろん、留学生の場合には、オーバーワークがないかということも厳格に審査されます。つまり資格外活動許可を得て許可された就労時間内でアルバイトをしていたかということです。
オーバーワークに関しては軽く考えている留学生が多いですが、発覚した場合、まず許可が出ることはありません。
アルバイトを掛け持ちをしている場合は、全て含めて28時間以内です。課税証明書などから入管ではすぐに割り出すことができるので、アルバイトの勤務時間は必ず事前に確認しておくことが大切です。
これまで日本で頑張って勉強してきた留学生にとっては、いよいよ日本で就職という段階になってアルバイトをやりすぎたがために帰国しなくてはなりません。学費を稼ぐためにどうしても必要だったというような理由はとてもよく分かりますが、ビザの申請においては通用しません。
また、留学生を雇用する企業にとっては、これまで採用活動から面接、雇用契約、ビザの申請などにかけてきた時間とコストがすべて無駄になりますので、早期に確認しておくことをおすすめします。
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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