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不法就労助と不法就労助長罪をかんたんに説明します

2018.10.30
  2023.11.14

 

「不法就労」と「不法就労助長罪」についてよく質問をいただきます。

 

不法就労であればなんとなく「オーバーワーク」「オーバーステイ」といったイメージが浮かぶかもしれません。では不法就労助長罪は?不法就労を手助けした外国人に科される罪?就労ビザに詳しい行政書士が説明します。

 

 

違います。正確には半分合っています。。不法就労助長罪は雇用主が外国人の場合はもちろん、雇用主が日本人の場合にも科される罪です。

 

ここでは不法就労にあたることと、不法就労助長罪について説明します。外国人を雇用する機会のある採用担当者、事業主の方はぜひ知っておいてください。

 

 

不法就労にあたること

 

不法就労助長罪を知るために、まずは不法就労にあたることを知る必要があります。なぜなら、不法就労の外国人を雇い、使用するのがこの罪ですので、何が不法就労なのかが分からないと、自分が不法就労助長罪を犯していることにさえ気付かないからです。

 

以下が不法就労です。

 

■ 付与された就労ビザの範囲外で働くこと
■ 就労が認められていないビザで働くこと
■ 在留期限が切れているビザで働くこと
■ 不法に日本国に上陸した後に働くこと

 

付与された就労ビザの範囲外で働くこと

 

【例】
 企業で貿易事務として雇用された外国人が営業職や経理の仕事をすること
 通訳として採用された外国人がコンビニのレジ打ちのアルバイトをすること
 インド料理のコックとして雇われた外国人がホールで接客すること 

 

就労ビザで就労できる仕事というのはあなたが想像されているよりもかなり狭いものです。日本人の場合、採用したらその後の異動やジョブローテーションは比較的自由に行われますが、外国人を同じように考えてはいけません。

 

ホワイトカラーの外国人の場合はほとんどが大学(院)での専攻に関連しない仕事をした場合、不法就労となります。コックなどの特別な技能に対して許可されたビザは、ホールなどのアルバイトができるような単純労働に従事すると不法就労となります。

 

 

就労が認められていないビザで働くこと

 

【例】
 短期滞在のビザで働くこと
 資格外活動の許可を得ずに「留学」ビザで働くこと
 資格外活動の許可を得ずに「家族滞在」ビザで働くこと

 

在留カードに「就労不可」と明記されているビザは原則就労することはできません。上記のように資格外活動許可を取れば、定められた制限時間内でアルバイトとして働くことはできます。

 

また、留学生が就労ビザへの変更申請をしていてまだ許可が下りる前に入社を迎えた場合などは、留学ビザのままなので就労は認められていません。その後すぐにビザの許可が下りる予定だとしても、有償で働くことは絶対に避けてください。

 

在留期限が切れているビザで働くこと

 

これはいわゆるオーバーステイのことです。

 

外国人が持つ在留カードには在留期間が明記されています。たとえ正規の就労ビザを持っている外国人でも、この期間を過ぎて働くことはできません。

 

不法に日本国に上陸した後に働くこと

 

これは偽造ビザ等で不法入国し、他人になりすますなどして働くことです。

 

 

不法就労助長罪

 

次に不法就労助長罪について説明します。ここでは、不法就労助長罪とその罪に問われる者について説明しています。

 

不法就労助長罪とは

不法就労助長罪とは、入管法に定められた以下の行為をした者に「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という者です。3年の懲役を受け、かつ300万円の罰金を支払うことまであるかなり厳しい罪です。

 

不法就労罪にあたる者

 

これには2つのケースがあります。

 

1.外国人が不法就労にあたることを知っていて雇用した場合

2.外国人が不法就労にあたることを知らないで雇用した場合

 

それぞれ見ていきましょう。

 

1.外国人が不法就労にあたることを知っていて雇用した場合

 

事業活動に関し外国人に不法就労をさせた者

基本的には不法就労にあたることを知りながら外国人を仕事に従事させた法人、そして個人がこれにあたります。具体的には以下の者が該当します。

 

 不法就労者を雇用した者
 不法就労者を使用した者
 不法就労者を派遣して労務に従事させた者

 

会社であれば代表取締役や採用担当役員などが処罰されることになります。3年の懲役と300万円の罰金の併科という事態は相当悪質な場合しかありえませんが、明らかに会社ぐるみで継続的に不法就労の外国人を雇用・使用しているような場合には法人が懲役刑になることも十分にありえます。

 

外国人に不法就労をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

これも不法就労をさせるということを知りながら外国人を支配下に置く者のことです。

「自己の支配下に置く」とは例えば外国人パブで不法就労の外国人を働かせるために専用の宿舎を用意して与えるとか、不法就労している外国人従業員が逃げてしまわないようにパスポートを預かって囲い込むような行為のことです。具体的には以下のような者が該当します。

 

 不法就労外国人の入国費用を負担して自分のために働かせる者
 不法就労外国人の逃亡を防ぐためにパスポート管理をする者
 不法就労外国人の住まいや生活の援助をする者

 

業として外国人に不法就労させることをあっせんした者

これは繰り返し外国人を不法就労させる目的で仲介・あっせんすることを業とする者のことです。

 

 ブローカー
 斡旋業者
 仲介業者

 

 

2.外国人が不法就労にあたることを知らないで雇用した場合

 

次に、一番危険なケースがこの外国人が不法就労にあたることを知らないで雇用した場合です。なぜかといえば、外国人が不法就労者であることを知らないで雇用した場合でも不法就労助長罪に問われるからです。

 

外国人が下記のような諸事情を持っている場合に、雇用主等が確認を怠るなど過失がる場合には不法就労助長罪に問われます。

 有効なパスポートを持っていない者
 管理局から上陸の許可等を受けないで日本に上陸したもの
 ビザを取り消された者
 出国準備期間を超えて日本に残留する者
 日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等が、離婚や相手の死亡などによってビザを失った状態で6カ月以上経過して日本に残留する者
 在留期間の更新または変更を受けないで在留期間を経過して日本に残留している者
寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けたもので、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して日本に残留している者指定旅客船に載っている上陸の許可を受けた外国人で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して日本に残留する者。
 船舶等乗員に対し乗員上陸の許可を与えておくことが適当でないと認める場合、帰船し又は出国するために必要な期間を指定するものとする
 期間の指定を受けたもので、当該期間内に帰船し又は出国しない者
 出国命令を受けたもので、当該出国命令に係る出国期限を経過しても日本に残留する者
 仮滞在期間を経過しても日本に残留する者

 

雇用主が不法就労に問われないためにはまず確認です。何を確認すること言えば、「在留カード」と「パスポート」です。詳しい方法等につきましてはぜひこちら☞雇用主が不法就労助長罪に問われないためにすることをご覧ください。

 

 

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この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年・2024年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年・2024年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

 

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