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外国人が帰国する際の厚生年金の脱退一時金とは

2020-09-23

2021-04-01

 

 

私は技術・人文知識・国際業務ビザを取得して日本の企業で5年間働いてきたベトナム人です。企業の厚生年金に5年間加入していましたが、この度帰国することになりました。これまで支払ってきた厚生年金はどうなるのでしょうか?

 

ベトナムとは社会保障協定が結ばれていないので、あなたが加入してきた5年間はベトナムの厚生年金の加入期間や保険料に算入されません。一方で、あなたが加入してきた厚生年金保険の加入期間が6カ月以上あるので、あなたがベトナムに帰国した場合、加入した期間に応じた「脱退一時金」の支給を請求することができます。

 

外国人の年金に関する脱退一時金

外国人の年金脱退一時金制度とは

脱退一時金制度とは、厚生年金の被保険者期間が6カ月以上あり(国民年金は下記「国民年金の場合」を参照)、障害手当金を含む年金の受給資格を満たしていない日本国籍を有しない人(国民年金の被保険者ではない人)が、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求を行うことで厚生年金保険から支給される一時金の制度のことです。

 

言い換えると、次の場合のいずれか1つでもあてはまる場合には脱退一時金を請求することができません。

 

 

脱退一時金を請求できる外国人の方は、日本出国後に日本年金機構に請求することで、給与・賞与から引き去りされた厚生年金保険料が5年分を上限に払い戻しされることで、保険料の掛け捨てを防ぐことができます。

 

支給上限が3年から5年になりました!

 

年金法が改正され、2021年4月1日から脱退一時金の支給上限年数が「3年」から「5年」に引き上げられました。つまり、これまでは3年以上働いた場合に、一番多くもらえても3年分の脱退一時金しかもらえなかったものが、最大5年分までもらえるようになりました。

 

5年の期間限定で日本で働く外国人の方も多いので、もらえる一時金が増えることで、就労先としての日本が魅力があり、信頼される国とほんの少しだけ考えてもらえるかもしれませんね。

 

そして、ビザの更新や変更ができる方で、5年を超えて日本で就労を考えている場合、脱退一時金を受け取らず、10年間年金に加入し支払い続ければ、老齢年金受給資格を得ることができます。将来、本国へ帰国した場合や日本以外の国へ移住したとしても、日本からの老齢年金を受け取ることもできます。

※脱退一時金のご質問は、日本年金機構へお問合せください

 

 

脱退一時金の支給要件

脱退一時金が支給されるためには、次のそれぞれ4つの要件をすべて満たす必要があります。

 

 厚生年金の場合

  1. 厚生年金被保険者期間が6カ月以上であること(会社等に勤めて厚生年金保険に6カ月以上入っていた人)
  2. 受給者が日本国籍を有していないこと
  3. 既に年金受給権を有していない、もしくは障害手当金を受給されていないこと
  4. 日本に住所を有していないこと(原則日本を出国した後に請求)

 

 国民年金の場合

  1. 合計した月数が6カ月以上あること。(※)
  2. 受給者が日本国籍を有していないこと
  3. 既に年金受給権を有していない、もしくは障害手当金を受給されていないこと
  4. 日本に住所を有していないこと(原則日本を出国した後に請求)

 

(※)

  • 国民年金の1号被保険者としての保険料納付期間の月数
  • 保険料1/4免除期間の月数の3/4に相当する月数
  • 保険料半額免除期間の月数の1/2に相当する月数
  • 保険料3/4免除期間の月数の1/4に相当する月数

 

脱退一時金請求の手続き

請求手続きは、請求書を社会保険事務所などから帰国前に入手しておきます。下記「脱退一時金請求書」よりダウンロードできますのでご利用ください。そして出国後2年以内(正確には、転出届を届け出てから2年以内)に日本年金機構に対して請求書と必要書類を送付することにより行います。こちらは電子申請も可能です。

 

 

また、転出届を市区町村に提出することで、帰国前であっても住民票転出(予定)日以降であれば提出手続きが可能です。この場合は添付書類として、国外へ転出予定の者について記載のある住民票(写し)と、住民票の除票等の転出届を提出したことが確認できるものが必要となります。

 

請求手続き完了後に、各国の通貨に換算されて、指定した金融機関の口座に送金されます。

 

 

脱退一時金請求書

 

 

区分内容
提出先

日本年金機構本部または各共済組合等

※加入していた制度およびその期間により提出先が異なります。

※脱退一時金請求書および添付書類を提出してください。

提出方法

郵送・電子申請

※旅行など就労以外の目的で来日した場合には、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口での提出が可能です。

提出時期外国人が日本の住所をなくして出国後2年以内

 

 

提出書類等

提出書類等

 

脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金保険)」

 

■添付書類

  • パスポートの写し(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)
  • 日本国内に住所を有しなくなったことを確認できる書類(住民票の除票の写し等(※))
  • 「銀行名」、「支店名」、「支店の所在地」、「口座番号」及び「請求者本人の口座名義」であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等。または、「銀行の口座証明印」の欄に銀行の証明を受けてください。)
  • 国民年金手帳、その他基礎年金番号が確認できる書類

 

◎ なお、帰国前に日本国内から請求書を提出する場合は、請求書を住民票の転出(予定)日以降に日本年金機構へ提出してください。(脱退一時金の受給要件として、日本年金機構が請求書を受理した日に日本に住所を有していないことが必要です。)郵送等でお手続きをする場合には、請求書が転出(予定)日以降に日本年金機構に到達するよう送付してください。

 

(※)帰国前にお住まいの市区町村に転出届を提出していただいた場合には、日本年金機構が、住民票の消除情報から、転出届を提出された方が日本国内に住所を有しないことを確認できますので、この添付書類は不要です。

 

脱退一時金支給額

 

脱退一時金の金額は、被保険者であった期間に応じて、「平均標準報酬額x支給率」で算出されます。正確には他の要素も加わるので少し複雑な算出となりますが、概算を知りたい外国人の方には年収の約9%が5年分を上限として支給されますとお伝えください。

 

例えば冒頭のベトナム人の方を例に挙げると、日本で年収300万円で5年間働いたと仮定した場合、大まかな計算で300万円x9%x5年=135万円の支給となります。正確な数字ではなく、税金も20%以上引かれますので、100万円前後と、少し少な目にお伝えするほうがよいかもしれません。

 

それぞれ加入状況は異なりますので、正確な金額を事前に把握することは難しいかもしれません。詳細は日本年金機構へお問合せください。

 

アメリカやドイツ、韓国などは日本と社会保障協定を結んでいるので、日本での年金加入期間が本国での年金加入期間と通算され、日本で支払った厚生年金保険料が掛け捨てにはなりません。反対に社会保障協定を結んでいないアジアの国、例えばタイ・ベトナム・インドネシアなどの外国人は、脱退一時金を請求することが多いようです。

 

社会保障協定についての詳細はこちら

各国との社会保障協定

 

ご注意

この社会保障協定によって年金加入期間の通算が認められる相手国の外国人が、帰国後脱退一時金を受け取ると、その期間は、協定において年金加入期間として通算できなくなります。金額の計算をした上、受給を受けるかどうかしっかり考える必要があります。

 

また、この一時金は支給されるときに20.42%の所得税(復興特別所得税を含む)が源泉徴収され、残額が支給されます。

 

 

社会保障協定や年金についての詳細なご相談は当事務所では承っておりません。最寄りの社会保険労務士、もしくは日本年金機構にお問い合わせ願います。外国人のビザに関してのお問い合わせは下記からお問い合わせください。

 

 

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