トップページ > 技能実習ビザから就労ビザへ変更できる場合とは?

技能実習ビザから就労ビザへ変更できる場合とは?

2020-05-21

2023-11-12

 

能実習から就労ビザへ変更したい、というご相談をよくいただきます。

 

ここでは特定技能へ変更できない場合に、技能実習生が実習終了後に日本で就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)を取得して働くことができるか、ということに焦点を当て、その可能性についてかんたんに説明しています。

 

 

技能実習から就労ビザへ変更できる場合について

技能実習の制度趣旨

技能実習の趣旨についてはごく簡単にご説明します。

 

技能実習とは日本で技術を学び、本国に戻ってその身に着けた技術を活かし、本国の発展に貢献してもらうといういわゆる技術移転や国際貢献を目的として定められた制度です。

 

その制度趣旨から、日本で身に着けた技術は本国へ移転することが想定されているため、技能実習終了後は特定技能ビザへ変更できる場合を除き、基本的には日本で働き続けることはできません。

 

技術の移転期間

それでは技能実習を終了した外国人は、どの程度の期間本国で就労し、技術移転を行う必要があるのでしょうか?

 

技術の移転期間についての規定はありませんが、技能実習で習得した技能を本国で活かすことができているかという観点からは、最低でも1年以上は必要であると考えられています。

 

そして当然のことながら、日本で習得した技術を移転できる職場で就労していることが必要です。日本で農業を学んだ技能実習生が、本国の建設現場で1年間働いてもそれは技術移転に該当しません。

 

なお、2021年1月時点で最新の審査要領によれば、次のような場合は技人国へビザの変更ができる可能性があります。もちろん例外的な取り扱いですので、必ず許可が出るという性質のものではありません。

 

技能実習から就労ビザへ変更できるケース

技能実習生の中でもとても優秀な方が、所属していた監理団体や組合などで、技能実習で修得した技能・知識などを活かし、そこで在籍している技能実習生を指導する業務に従事することや、技能実習生の入国後講習で修得した技能などの講師をする場合には、学歴要件や実務経験要件などを満たす限りにおいては技人国等の就労ビザへ得変更できる可能性があります。

 

技能実習から就労ビザへ変更する場合、まずは次の①②の要件を満たす必要があります。

 

①申請する活動について次の1~5を満たすこと

  1. 契約機関等の事業内容が、監理団体や実習実施者等の技能実習生の受入に関するものであること
  2. 技能実習時に修得した技能等について、本国からの技能実習生に対する指導等を行い、申請人が技能移転等、母国の経済発展の貢献に資する活動を行うものと認められること
  3. 申請人がN2相当以上の日本語能力を有すると認められること
  4. 就業場所における技能実習生の在籍数等からみて、十分な業務量が確保されていると認められ、技能実習生と同様の作業を行うものではないことが明らかであること
  5. 申請人が技能実習計画上の到達目標を達成していること

 

3.の日本語能力はひとつの大きなポイントです。

計画的に受験するなどの準備が必要となるでしょう。

 

②技能実習申請時の申告内容の変更について合理的説明ができること

これは、本国での復職予定等の申告内容が事後的に変更された理由が合理的に説明される必要があります。つまり、当初日本に入国した際の入国目的と異なることになるので、ウソを言ったのではなく事後的に変更されたということを説明する必要があります。

 

例えば、「入国当初は帰国して復職する予定だったが、監理団体からの勧めで日本で就職し、技能実習で修得した技能を活用する業務に従事することになった」という経緯を合理的に説明する必要があるということです。

 

※技能実習修了者による「技人国」等の就労資格について、技能実習修了者が帰国後、すぐに日本に呼び寄せるために行う「技人国」等での「在留資格認定証明書交付申請についても、変更申請と同様に扱われます。

 

 

就労ビザの要件

上記の①②を満たした方はそれのみを持って「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更することはできず、当然「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件を満たす必要があります。

 

技術・人文知識・国際業務ビザに該当する業務は、事務職・エンジニア・通訳翻訳といったいわゆるホワイトカラーの業務です。

 

これらの要件も満たすことができれば、技能実習から技人国ビザへ変更できることがあります。

 

技人国ビザ取得の要件

 

  1. 専攻と職務内容の関連性
  2. 本人の学歴・職歴
  3. 会社の経営状態
  4. 雇用の必要性・業務量
  5. 日本人と同等以上の報酬
  6. 本人の素行

 

それでは、かんたんにそれぞれの要件を説明します。

 

1.専攻と職務内容の関連性

こちらは本人が教育機関で専攻した科目と、仕事内容に関連性があることが必要です。例えば機械工学を履修したのであればエンジニア、語学を履修したのであれば翻訳・通訳といった業務に就く必要があります。

 

2.本人の学歴・職歴

1で「教育機関で専攻した」と記載しましたが、こちらは本国の短大・大学、日本の専門学校・短大・大学等を卒業している必要があります。技能実習で日本に来ている方の多くはこの学歴を満たさないことが多いため、技人国ビザの要件を満たすことが難しいという側面があります。

 

また、学歴要件を満たさない場合、職歴を満たせばよいのですが、この職歴については多くが10年以上の職歴(国際業務については3年のものもあり)を要求され、また、その職歴の中に技能実習で働いていた期間を算入することはできません。

 

 大卒?高卒?

 

通常日本で学歴詐称という話があると、高卒なのに大卒と偽ったり、有名大学卒であると詐称する有名人といったイメージですよね?

 

それが技能実習に関して言えば、申請時に本人の知らないところで反対のことが行われることが見受けられるのです。つまり、大卒の技能実習生候補を高卒であると申請してしまうのです。

 

事の真相はわかりませんが、雇用する業種によっては大卒より高卒のほうが使い勝手が良いというまことしやかな話を、送り出し機関が鵜呑みにして学歴を詐称してしまうケースもあるようです。

 

本来大卒である外国人が、技能実習を終了して数年後に日本でまた働きたいとなった際に、過去に本人の知らないところで高卒であると虚偽申請をしたということで問題となることがあります。この場合、ご本人は何も悪くないのですが、ビザを取得することがとても大変であったり、取得できないこともあるので注意が必要です。

 

技人国の相談はいつでも無料です

 

3.会社の経営状態

技人国ビザを取得するためには、外国人本人はもちろん受け入れる期間も審査の対象です。外国人を安定的・継続的に受け入れることができるかどうかについて審査されるので、直近の決算が大幅に赤字決算であったり債務超過の場合、ビザ取得が困難となります。

 

4.雇用の必要性・業務量

こちらは、外国人材を採用しても、業務量が少なかったり、そもそも外国人雇用する必要性がない場合には、許可は出ません。

 

つまり、業務が少ない場合には空いた時間に現場仕事をするのではないかという疑義を持たれますし、外国人客がほとんど来ないホテルで外国人を雇用する場合は、通訳を兼ねて採用したいという理由と矛盾します。空き時間にベッドメイキングやベルボーイの仕事をするのではないかといった疑義を持たれ、許可が出ない可能性があるということです。

 

5.日本人と同等以上の報酬

こちらは技能実習生に働いてもらっている雇用主様にとっては意外かもしれませんが、就労ビザ全般を通して言えるのは、日本人の報酬より少ない報酬で外国人を雇用できる正規の就労ビザはないということです。

 

外国人を雇用するメリットとして、日本人を雇用するより安く上がるからとお考えの方がおりましたら、今後はそのお考えは通用しない時代が到来したとご認識ください。すでに日本は就労先として選ばれる国でもありません。外国人に来ていただくために雇用環境を整えるという企業が増えており、その時流に逆流する企業は淘汰されかねません。

 

報酬に関しては日本人と同等以上であることは必要最低条件となっています。特にフィリピン人を雇用する場合、日本人と同等では雇用できない可能性もあります。

 

6.本人の素行

こちらは技能実習での実習態度や日本での在留状況などのほか、失踪や隠れてアルバイトをしていたということがないことはもちろん、技能実習以前の日本への渡航歴や在留状況などもさかのぼって審査されます。

 

技人国ビザを申請する場合には本人から過去の在留状況などもしっかり把握しておくことが必要です。

 

 

(元)技能実習生の場合には学歴が一番のポイントとなるかもしれません。もし本国で大学等を卒業されている場合には、履修した科目と関連性のあるお仕事であれば呼び寄せることができる可能性があります。

 

とはいえ、やはり企業様が欲しいのは技能実習と同じ仕事をしてくれる外国人かもしれません。その場合にはかなりハードルは高いですが特定技能ビザ取得をお考え下さい。

 

一方で、技能実習で現場のことをよく理解している外国人で、学歴等満たす場合、その知識や経験を踏まえて営業や人事総務、貿易などのお仕事で再度呼び寄せたいという方がおりましたら、お問合せください。

 

また、現在では技人国取得後、6カ月~1年程度の現場実習を経てからの内勤が認められる可能性があります。

 

 

お仕事内容と学歴や履修科目との関連についてヒアリングさせていただき、技人国ビザ取得に向けた最適なアドバイスをさせていただきます。相談無料です。

 

 

 

 最近多い相談です

 

最近のご相談で多いのは、外国に合弁会社を作り現地で採用した外国人を日本に転勤させることはできますか?というものです。

 

日本の入管法には「企業内転勤」ビザというものがあり、海外の親会社・子会社や一部関連会社などから適法に外国人を日本へ招へいすることができます。

 

この「企業内転勤」ビザは学歴不問のため、技能実習で帰国した外国人や技人国ビザの学歴要件を満たさない外国人でも呼び寄せることができると期待して相談されるのだと思いますが、なかなか難しいと思います。

 

この「企業内転勤」ビザは確かに学歴は不問ですが、まず外国の機関で1年以上引き続き雇用されていたことが条件であるとともに、仕事内容は「技人国」ビザ相当である必要があります。すなわち、技能実習で働いていた業務内容や現場仕事ではこのビザを取得して呼び寄せることはできないのです。

 

企業内転勤ビザとは

 

 

 

この記事を読んだ人は次の記事も読んでます

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザ
教授ビザ
研究ビザ
外国人の転職と就労資格証明書
外国人雇用と雇用契約書作成時の注意点(サンプル付)
外国人雇用(就労ビザ)でもっとも注意することは?
外国人を採用面接する際の質問事項
外国人採用のプロセス(海外から呼び寄せる場合)
外国人採用プロセス (日本にいる留学生・転職者を採用したい)
VISA(査証)とビザ(在留資格)の違い
在留資格認定証明書(COE)交付の流れ

外国人雇用状況の届出
外国人と社会保険の適用 
自分でビザ申請する場合との比較
横浜で就労ビザ申請なら

東京出入国在留管理局連絡先

在留資格一覧
就労ビザの審査期間
ビザ無料相談

 

 

この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂について(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

 

相談無料です

 

 
ビザ取得にあたってはわからないことがたくさんあるかと思います。その不安をできる限り少なくするためにも就労ビザに詳しい行政書士にご相談されることをお勧めいたします。
 
 
金森国際行政書士事務所では入国管理局への申請取次ができるビザ専門の代表行政書士が直接対応させていただきます。就労ビザについてはお任せください。
 
 
あんしん無料相談を承っています。お客様それぞれの事情に合わせた最適なご提案をさせていただき、許可取得を全力でサポートいたします。以下の電話かインターネットからお申し込みください。
 
 
 
 
 
  あんしん
  無料相談は
 
■お電話から10:00~18:00
■インターネットから24時間
■無料相談は完全予約制です
■お急ぎの方、土日祝日も対応可能です
 
 
 
 
 
 
 
 

 

無料診断受付中

就労ビザ

就労ビザ