トップページ > 海外にいる大学(院)生を「高度専門職」ビザで招へいしたい
海外にいる大学(院)生を「高度専門職」ビザで招へいしたい
2021-09-01
2023-11-24
現在海外(本国)の大学に在学中の方や、大学や大学院を卒業し、本国で就労している方を「高度専門職」ビザで招へい(呼び寄せ)したい、というご相談を企業の採用担当者様からよくいただきます。
本国にいる外国人の方で、一定のポイントを取得できる場合、一般的な就労ビザである「技人国」ビザではなく「高度専門職」ビザで日本への招へいが可能な場合がありますので、ビザ専門の行政書士が詳しく説明します。
本国の大学(院)生を「高度専門職」ビザで招へいしたい
本国に在住する大学生や就職希望者をオンラインなどで面接し採用する場合、ほとんどの方が取得する「技術・人文知識・国際業務」ビザで招へいする手続きをされることが一般的かと思います。
ところが非常に優秀な方の中には、実は「高度専門職1号」ビザの要件を既にクリアしている方がいらっしゃる可能性があります。
「高度専門職」ビザは一定の条件下で親の帯同が可能であったり、永住取得のための要件が緩和されることから、例えば他社が「技人国」ビザでの採用を検討の際に、貴社が「高度専門職」ビザをご提案できることで、他社に先駆けて非常に優秀な学生などを採用できるかもしれません。
ポイント計算表で一定のポイントを獲得できるかご確認の上、「技術・人文知識・国際業務」ではなく「高度専門職」ビザでの招へいが可能な場合がありますのでご提案されてみてはいかがでしょうか。
他にも一律に5年の在留期間付与や家事使用人の帯同など多くのメリットを享受できます。もし選考過程の外国人が該当する場合には「技術・人文知識・国際業務」で招へいされる前に、「高度専門職」ビザでの招へいもご検討ください。
高度専門職ビザの無料相談・申請依頼はこちら
高度専門ビザ7つのメリット
まずは気になる高度専門職ビザ取得のメリットをご覧ください。
高度専門職ビザは近年取得者が増加傾向です。その背景には、優秀な外国人材を受け入れたい国家戦略を受けて、高度専門職ビザを取得するためのポイント要件がさらに緩和されたことに加え、何といっても他のビザにはないメリットが7つもあるからです。
ここではこの7つの優遇措置の中身を確認するとともに、優遇されるための要件とはどんなものかチェックしてみましょう。
高度専門職1号ビザ7つのメリット - 複合的な在留活動の許可
- 在留期間5年の付与
- 永住申請の居住要件緩和
- 配偶者が就労しやすい
- 親の帯同が可能(一定の要件があります)
- 家事使用人の帯同が可能(一定の要件があります)
- 入国・在留手続きを優先的に審査
|
メリット1.複合的な在留活動の許可
本来、「在留資格」とは、許可された1つのビザで認められた活動のみを行えるというものです。在留資格以外の活動を行うためには、わざわざ入管で資格外活動の許可を取得しなければならず、その許可がなければ違法活動となってしまいます。
ところが高度専門職では、例えばIT企業を経営しながら、大学でIT分野の研究を行うことができるなど、複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。
その他の例としては、「研究」ビザで在留する外国人が研究成果を生かしてベンチャー企業を経営するとなった場合、こちらも資格外活動許可を取得して活動する必要がありますが、これが高度専門職の方は、資格外活動許可やビザの変更許可を受けなくても、複数のビザに該当する複合的な活動を行うことができます。
メリット2.在留期間「5年」の付与
例えば「技術・人文知識・国際業務」ビザ(いわゆる就労ビザ)では、許可される在留期間は「5年、3年、1年、3か月」のいずれかです。留学生がビザ変更した初回は通常「1年」の在留期間が付与されます。いきなり5年を認められることは稀で、通常は数回の更新を経て、ようやく5年が認められることになります。
これが「高度専門職」ビザでは初回から「5年」がもらえます。更新も5年に1回です。
外国人にとって、異国のイミグレーションオフィスでビザの更新を短期間に重ねることはとてもストレスになります。これが5年に1回で済むことは、実は外国人にとって非常にストレスフリーになるようです。優秀な外国人ほどその傾向が強い模様です。
メリット3.永住申請の居住要件緩和
通常、永住許可の申請をするには10年以上日本に在留することが求められますが、高度専門職では居住要件が3年に短縮されます。
高度人材の中でも特に高度とされる在留資格の申請はポイント80点以上の方の場合は、高度外国人材として1年間日本で活動するだけで、永住許可申請をすることができる対象となります。
メリット4.配偶者の就労
原則として、「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用された方の配偶者は「家族滞在」ビザを取得して入国します。この「家族滞在」ビザで在留する配偶者は働くことができません。資格外活動許可を取得することで、週28時間までアルバイトをすることは可能ですが、フルタイムで就労はできません。
しかし高度専門職の資格を持つ人の配偶者は、学歴・職歴不要で「技術・人文知識・国際業務」や「教育」ビザなどに該当する活動を行うことができます。
配偶者の方は、「特定活動」ビザを取得することで就労可能です。要件は、次の4つです。
要件1.高度専門職の方との婚姻関係があること
法的な婚姻関係が必要で、事実婚は該当しません。在留資格変更申請時に婚姻届受理証明書や結婚証明書(写)を入管へ提出します。
要件2.高度専門職の方と同居していること
単身赴任で地方や海外へ高度専門職を持つ方が転居するような場合や、夫婦の関係悪化により別居状態が続く場合など、別居が発覚した場合には「特定活動」ビザが取消の対象となります。
要件3.日本で就職先が内定し、契約内容を証明できること
通常、企業で働くいわゆるホワイトカラーの外国人の方は、「技術・人文知識・国際業務」ビザというものを取得して働いていますが、その場合、10年の職歴や大学で専攻した内容と関連している必要があります。
ですが、「高度専門職」ビザ配偶者の「特定活動」は職歴や学歴が問われません。就職先が決まり、雇用契約書などを交わしていることが必要ですが、大卒ではなくても取得可能です。
なお、該当する就労活動は、以下の就労系ビザの活動に限定されていますので、いわゆる現業(現場での立ち仕事など)はすることはできません。
要件4.日本人が受ける報酬と同等額以上であること
同じ業務に従事する日本人と同等以上の給料を受ける必要があります。「家族滞在」ビザの場合とは異なり、こちらはフルタイムで働くことのできるビザなので、週28時間以内という就労制限や、収入の上限もありませんので、ご安心ください。配偶者様の収入を超えてしまっても問題ありません。
メリット5.親の帯同が可能
以下のいずれかの目的で下記の要件を満たす場合、親を本国から連れてくることができます。親の帯同はほかのビザにはほとんど存在しない、「高度専門職」ビザ特有のメリットです。
目的
- 高度人材外国人又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます)を養育する場合
- 高度人材外国人の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合
要件
- 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上であること(高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます)
- 高度人材外国人と同居すること
- 高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの親に限ること
メリット6.家事使用人の帯同が可能
以下の要件を満たす場合、家事使用人を帯同することができます。
外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合の要件(入国帯同型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材外国人に雇用されていたものであること。
- 高度外国人材が先に本邦に入国する場合は,帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用され,かつ,当該高度外国人材が本邦へ入国後,引き続き当該高度外国人材又は当該高度外国人材が本邦入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
- 高度人材外国人が本邦から出国する場合、ともに出国することが予定されること
上記以外の家事使用人を雇用する場合の要件(家庭事情型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者有すること)が存在すること
メリット7.在留手続の優先審査
入管での「在留期間更新許可申請」(ビザ更新)における審査期間が5日以内とされています。これは通常1~2か月程度かかる場合と比べて、相当優遇されているといえます。
高度専門職申請代行はこちら
高度専門職1号ビザとは
高度専門職1号には(イ)(ロ)(ハ)の3種類があり、それぞれ要件が異なりますが、いずれもポイント計算表で70ポイントを取得する必要があります。企業様で雇用されて就労する方は、「高度専門職」ビザ1号(ロ)が多いかと思います。
高度専門職1号の種類 | 相当する活動 |
高度専門職1号(イ) | 【高度学術研究分野】公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動等 |
高度専門職1号(ロ) | 【高度専門・技術分野】公私の機関との契約に基づいて自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動等 |
高度専門職1号(ハ) | 【高度経営・管理分野】公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い、もしくはその事業の管理に従事する活動等 |
国際業務では高度専門職ビザ取れない? 外国人の方の中には、貿易事務やデザイン業務、翻訳通訳業務などの国際業務で高度専門職ビザを取得して様々なメリットを享受したい、と考えている方もいるかもしれません。高度専門職を経て最短で永住許可取得をお考えの方もいるでしょう。 ところが国際業務を主業務とした場合、高度専門職を取得できないことが多くあります。 「国際業務」の要件を満たして高度専門職を取得しようとする場合、たとえばデザインや通訳・翻訳、語学教師など、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務では高度専門職を取得できません。 この「感受性を必要とする業務」というのは高度専門職の要件となるポイントとして数値化することが難しいという理由で、国際業務から高度専門職への変更はできないとされています。 上記の理由から、高度専門職取得を希望される方で、学歴や職歴が「技術」や「人文知識」の要件を満たすのであれば、企業からは「国際業務」ではなく、「技術・人文知識」を主業務とした内定をいただき、申請することをおすすめいたします。 |
高度専門職の申請代行はこちら
高度専門職1号ビザ取得の要件
高度専門職1号を取得するためには、次の要件を全て満たす必要があります。
要件①次のいずれかに適合すること
- 高度専門職1号イ:ポイント計算表で70点以上
- 高度専門職1号ロ・ハ:ポイント計算表で70点以上、かつ、年収300万円以上
要件②申請人が日本において行おうとする活動が、以下のいずれかに該当すること
- 「教授」「芸術」「宗教」「報道」ビザのいずれかの活動に該当すること。
- 「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」ビザのいずれかの活動に該当し、なおかつ基準に適合すること
本国から外国人を呼び寄せる手続きの流れ
本国にいる外国人を日本に招へいするためには、次のような手続きが必要となります。
外国人が来日するためには、原則として在外公館(日本大使館や日本領事館)でVISA(=査証)を発給してもらいます。そのためには日本の出入国在留管理官署で「在留資格認定証明書」(COE)の交付申請を行います。審査期間は人それぞれですが、おおむね1カ月~3か月程度です。
「在留資格認定証明書」とは、日本に入国しようとする外国人について、その滞在目的が日本の入管法によって定められた要件を満たすものであることを、VISA取得に先立ってあらかじめ法務大臣が証明したものです。この証明があれば、在外公館でのビザ取得や入国に際しての上陸審査がスムーズに運びます。
【行政書士に依頼した場合の一般的な流れ】 - 外国人が日本の企業と雇用契約を締結
- 日本の企業が日本の行政書士に在留資格認定証明書の交付申請を依頼
- 日本の行政書士は入管に在留資格認定証明書の交付申請
- 入管から在留資格認定証明書の交付(郵送)
- 日本の企業は海外にいる外国人に在留資格認定証明書を郵送
- 外国人は本国の日本領事館に在留資格認定証明書を提出しVISA(査証)の発給申請
- 本国の日本領事館からVISA(査証)発行
- 外国人はVISAが添付されたパスポートを持って来日
- 日本で上陸審査。上陸時に在留資格認定証明書は回収される
(主要空港では)日本で滞在するための在留カード発行
|
このような在留資格認定証明書(COE)が交付されたら、本国の申請人に送り、申請人はこの認定証明書とパスポート等の必要資料を持って本国の在日本大使館・領事館にVISA(査証)発給申請に行くという流れです。その後はパスポートに査証を貰い、日本の空港や港でで上陸許可を貰います。この際に認定証明書は回収されます。
在留資格認定証明書の有効期間は交付の日から3ヶ月ですので、それまでに日本に入国できるよう日程調整して申請してください。交付後3か月以内に来日しなければ無効となります。コロナ禍の現在は、その有効期限が6ヵ月に延長されており、その後にさらに延長される可能性もあります。
必要書類
必要書類につきまして 法務省の入管HPでは、上記のようなビザ申請に必要な書類の一覧表が公開されています。 しかし、これらの公表書類は申請を受け付けるための必要最低限の書類なので、公表書類のみで許可を取得できることはほとんどありません。 許可取得の可能性を最大限まで上げるために、当事務所では申請人様のそれぞれの事情から、さらに添付すべき書類そして添付すべきではない書類を判断し、最適な申請をさせていただいております。 |
※お電話や無料相談で必要書類の詳細なご案内はしておりません。
高度専門職ビザへの変更相談・ご依頼はこちら
2021年9月時点で最新の入管事情について 2021年9月時点、日本の入管で本国から呼び寄せるための「在留資格認定証明書交付申請」は従来と同様に申請可能で、COE(認定証明)も交付されます。 ただし、COE交付後に本国の外国人に国際郵送し、在外公館(本国の日本大使館や日本総領事館)でVISA(査証)発給申請をしても受理されない状況が継続しています。 東京オリンピック・パラリンピックの関係者やワクチン開発の技術者を除き、新規で就労系のビザを取得して日本入国は2021年1月以降原則停止状態が継続しています。 日本でできる手続きは完了させ、COEを添付して在外公館でVISA発給の手続きが再開されるのを待っている、という企業様も多く見受けられます。COEは現状有効期限が6月とされておりますので、採用計画を十分にご検討された上で在留資格認定証明書交付申請をするのがよいかと思います。 |
Post Views: 1,437