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個人事業主(フリーランス)は就労ビザの外国人を雇用できる?
2022-01-13
2024-08-28
個人事業主の方から外国人を雇用したいというお問合せをよくいただきます。
一定の要件を満たす場合、個人事業主様が外国人を就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」ビザ)で雇用できる可能性があるので、ビザ専門の行政書士が詳しく説明します。
個人事業主(フリーランス)が外国人を就労ビザで雇用することができるか?
結論から言えば、個人事業主(フリーランス)でも外国人を就労ビザで雇用できます。ただし難易度は上がります。
ここでは個人事業主が専門的・技術的な業務で外国人を雇用する際に取得する就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」ビザ)の取得とその要件について詳しく説明しています。外国人雇用は少し複雑なので、ひとつひとつ順を追ってみていくことにしましょう。
1名で事業を展開している個人事業主様であっても、予定される業務内容がいわゆるホワイトカラーの方が従事する専門的・技術的な業務(通訳・SE・設計等)である場合、外国人を雇用することは可能です。
お客様の声
§ 士業事務所経営者様
家族滞在から技人国へのビザ変更 個人事業主様による外国人材雇用
「前回、在留カードを紛失してしまって再発行手続きをご依頼いたしましたが、その時のお仕事ぶりに、とても満足いたしましたので、今回の在留資格変更手続きも、迷うことなく、金森先生にお願いしました。
準備書類のご案内だけでなく、こちらの質問にも、いつも素早く丁寧に対応していただけました。特にメールのやり取りでは、金森先生の暖かいお人柄が伝わって来て、最初から最後まで、安心して進めることができました。入管から在留資格の変更が無事に決定された時には、電話越しに金森先生も一緒に喜んでいただけたのも嬉しかったです。
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今後もぜひ金森先生にお願いしていきたいと思っています。 |
個人事業主による外国人雇用のルート
一般的に就労ビザと呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」ビザの外国人を雇用する場合、次の3つのルートが考えられます。
個人事業主による外国人雇用のルート
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1.既に「技術・人文知識・国際業務」ビザを有する外国人を雇用する
これは現在日本で就労している外国人が、転職してあなたの事務所で働くというケースです。
事業主様の中には、既に就労ビザを持っているから自由に働けると思い違いをされている方がおりますが、そこは注意が必要です。後半で就労ビザ取得の要件をご説明しますが、要件の一つに外国人の学歴または職歴と職務の関連性というものがあります。
つまり、現在就労ビザで働いている外国人は、現在勤務している企業での職務内容と大学等で専攻した科目と関連付けて就労ビザの許可をもらっています。特に専門学校卒の外国人の方は、専攻した科目とほぼ完全に一致した業務で就労している為、転職して専攻した科目と関連のない業務に従事することはできません。
外国人応募者の言うことを鵜吞みにせず、学歴や職務内容との関連性を事前に綿密に調査することをおすすめします。転職先で外国人が就労できるか心配な場合には、入管局へ「就労資格証明書」の交付申請後、同証明書の交付により、就労の可否を判断することができます。
なお、学歴や職歴との関連性が認められ、転職前と全く職務内容が変わらないという場合は、次回のビザ更新までビザの申請が不要な場合もあります。
2.他のビザを有する日本在住の外国人で要件を満たす方のビザを変更してを雇用する
これは日本にいる留学生や家族滞在で在留している外国人を雇用するというケースです。
「留学」ビザや「家族滞在」ビザから就労ビザへ変更する場合、一定の学歴や職歴を有する方で、予定される職務との関連性が認められることが必要ですので、後半の要件をご確認ください。
留学生の場合、日本の専門学校や大学等の卒業後に働いてもらうというケースが多いと思います。その場合、就労してもらう前年の12月からビザの変更申請が可能となります。ビザ変更の審査期間は1~2.5か月程度を要しますので、計画的に申請準備を進めてください。
なお、本国で大学(院)を卒業している方の場合、通年でビザ変更申請が可能です。
3.海外在住の外国人で要件を満たす方を呼び寄せて雇用する
これは海外に在住している大学生や大学を卒業した外国人を呼び寄せて雇用するというケースです。
たとえば、現在個人で貿易業を経営している事業主が、主要な取引先である中国の会社社長から、知り合いの息子を雇用できないかと打診されたような場合が該当するでしょう。
あまり頻繁にはないケースかもしれませんが、該当する場合はこちらの手続きをご参照ください。
就労制限のない身分系のビザとは?
就労ビザを持っていない方でも、次の身分系と呼ばれるビザをお持ちの外国人であれば、就労時間や職種に関係なく日本人と同様に就労制限なく雇用することができます。
このようなビザをお持ちの方が応募してきた場合には、学歴や職歴、職種に関わらず採用可能です。 |
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)取得の要件
それでは就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」ビザ)取得の要件を見ていきましょう。
この就労ビザを取得するためには、外国人本人および雇用主様が審査の対象となり、これからご説明する要件を全てクリアする必要があります。
法人と比較して個人事業主による外国人雇用の場合、入管局から雇用の安定性・継続性に欠けるという判断をされやすいため、ビザを取得の難易度は上がります。入管局からの疑義を払拭するため、事業計画書の提出が必要となります。
技術・人文知識・国際業務ビザ取得の要件
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1.本人の経歴(「学歴」と「職歴」)
「技人国」ビザを取得する場合には「学歴」か「職歴」のいずれかが必要です。
学歴
まず学歴についてはチャートの通り、外国の高校や専門学校卒業の場合は「技人国」ビザは取得できません。外国で短大や大学(院)等日本の学士(または短期大学士等)相当の学位を取得しているか、日本の専門学校や短大、大学(院)等を卒業している必要があります。
※国により教育制度はさまざまですが、チャート上では便宜的に高等学校、専門学校と記載しています。
※日本の大学を中退しても申請可能な場合とは、日本の専門学校や本国や海外の大学を卒業している場合などです。
※本国(海外)の大学を既卒の方は、日本での教育機関を卒業していなくてもビザの申請することができます。
就職後の職種との関連性を確認するために、まずは卒業証明書や成績証明書のコピーを入手しましょう。卒業証明書については具体的には日本の専門士や外国/日本の学士または短期大学士以上の表記が確認できるもの、成績証明書については履修科目が全て載っているものをご用意し、どのような内容を履修したかをご確認ください。
就職予定の機関と締結した雇用契約書や労働条件通知書に記載された職務内容が、専攻科目と関連があるかどうかをチェックします。
学歴でビザ取得の要件を満たさない外国人の方は、次の職歴要件を満たせば学歴不要です。
職歴
実務経験は業務により3年以上若しくは10年以上(その多くは10年)の実務経験があることが要件です。
外国人留学生の中には、本国で就労経験がある方もいらっしゃいます。第2新卒等で採用をされる場合には該当する場合があるかもしれません。
この10年という職務経験には、企業で実際に働いた期間はもちろん、大学や高等学校、中等教育学校の後期課程や専修学校(海外の教育機関も含む)で関連する科目を専攻した期間を加算することができます。
過去に勤務した企業などから書類を入手し、実務経験を証明していく作業が必要ですが、通常の学歴で申請するよりも難易度が高く、過去に勤務した企業が倒産していたり連絡がつかないなどの理由で証明資料を手に入れることができないと、ビザの取得は難しいでしょう。
また、実務上では在職していた企業や店舗に依頼して在職歴など在職証明書を偽造することが横行していたこともあり、疎明資料として単独では弱い部分もあります。その場合には在職証明書を公正証書にしたり、当時働いていた期間の給与明細や同僚の写真などあらゆる方法で補強していくことが考えられます。
またこの在職証明書には、次のような必ず記載すべき項目があるのでご注意ください。
在職証明書の必要記載事項
※可能な限り具体的な記載が必要です。この項目を入管では重視します。 ※※実際に入管では外国人スタッフに電話確認させます。 |
2.専攻と職務内容の関連性
専門的・技術的であっても、外国人留学生が大学や専門学校で修得した専門的な技術や知識とは関連のない業務で就労させることはできません。関連性のある職種で働くことを書面で証明することが求められます。
この関連性ですが、大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、比較的緩やかに判断される一方で、専門学校につきましては大学とは設置目的が異なるので、業務との関連性が厳格に審査される傾向があります。つまり専門学校での専攻内容は、業務との関連性についてほぼ完全一致が求められるということです。
また、専門士の場合には就労ビザを取得できる分野が限定されており、例えば美容や保育など専門士を取得しても就労ビザを取得できない分野が数多くあるので注意が必要です。
3.事業の経営状態
出入国在留管理局では、外国人本人を審査すると同時に、受け入れる会社や事業主体についても審査をします。つまり安定的・継続的に外国人材を受け入れる基盤がその会社にあるかどうかを審査するので、外国人本人がビザ取得の要件を満たしていても、受け入れ機関の財務状況により不許可になることがあります。
直近年度の決算が赤字状態の場合や、1度も決算期を迎えていない場合、現在の経営状況と今後のビジョン、すなわち具体的な売上げ向上のための方策や方針を打ち出し、それらを実行して黒字化するための事業計画書を作成し、申請の際に提出する必要があります。
なお、個人事業主による外国人雇用の場合には、直近の財務状況にかかわらず、事業計画書の提出は必須です。
4.雇用の必要性・業務量
外国人本人の専攻と密接に関連した業務であったとしても、許可が下りない場合があります。それは、そもそもその会社でその仕事をさせる必要性がない場合や、十分な業務量が見込まれない場合です。
例えば、リゾートホテルでインド人を翻訳・通訳として雇用したいという場合、宿泊客の大半が中国人であったり、通訳を必要とする客がほとんどいないような場合、ホテルがインド人を雇用する必要性も業務量がないので、不許可となる可能性が高くなります。
5.日本人と同等以上の報酬
こちらは同じ職務に就く日本人社員と同じかそれ以上の給料を支払うことが必要とされます。国籍によって不当に外国人と日本人で給与に格差をつけることは禁じられています。
報酬額は一律に決められているわけではありません。賃金体系を基に日本人と同等額以上である必要があり、もし賃金体系がなかったり、他に雇用している人間がいないような場合には、同地域における同種の企業の賃金体系を参考にして日本人と同等以上であるかという点から判断されます。
「報酬」の範囲はどこまで??
ここでいう報酬は、役務の給付の対価を意味するので、通勤手当・住宅手当などの実費弁償は含まれません。また、扶養手当についても被扶養者の有無による審査上の不平等を生じさせないため、報酬に含めないこととされています。
また退職金や見舞金、結婚祝金、現物給付としての住宅手当や旅費、食費、作業着や制服にかかる費用については、実質的にそれらが見舞金・恩恵的・福利厚生的なものは報酬に含まれませんが、就業規則や労働契約等で支給条件が明らかにされているものについては報酬に含まれます。 |
6.本人の素行
こちらは多くの普通にまじめに日本で暮らしている外国人は特に問題になることはありません。過去に退去強制や逮捕歴、犯罪歴がないかどうかということです。
ただし、留学中や家族滞在でのアルバイトにおけるオーバーワークは厳しく審査されます。つまり、週28時間(夏季休暇期間等では40時間)を守っていたかどうかということです。
オーバーワークに関しては入管はとても厳しく、課税証明書などに反映されてしまう場合には「技人国」ビザへの変更はできませんのでご注意ください。
申請先
原則は申請人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。その他、実際に就労予定の事務所所在地を管轄する地方出入国在留管理局でも申請可能です。
申請できる人
次の方が申請することができます。
- 外国人本人
- 受け入れ機関の雇用主等
※変更申請の場合は入管局へ申請取次の届出をし、承認されている場合のみ - 申請人の法定代理人(申請人様が未成年の場合など)
- 申請取次届出済の行政書士など
必要書類(日本にいる外国人のビザを変更して雇用する場合)
申請人(本人)が準備する書類
- 在留資格変更許可申請書【Excel】
- 写真1葉(縦40㎜x横30㎜、無帽・無背景・撮影から3か月以内のもの)
- パスポート
- 在留カード
- 履歴書
- 卒業証明書
- 成績証明書
- 資格外活動許可書(許可を受けている方/在留カード裏面に印字がある場合は不要)
- 手数料納付書+収入印紙¥4,000(※許可時)
雇用主が準備する書類
- 在留資格変更許可申請書(所属機関作成用1・2)【Excel】
- 雇用契約書(労働条件通知書)
- 雇用理由書(採用に至る経緯や雇用の必要性・雇用理由等の詳細を記載したもの)
- 事業計画書(安定・継続的に外国人を雇用できることを具体的数値とともに証明するもの)
- 確定申告書の写し
- 青色申告決算書等
- 事務所パンフレット/事務所ホームページ画像等(適宜)
- 取引の実態がわかる契約書や発注書など(開業後1年を経過していない場合)
- 給与支払い事務所等の開設届出書の写し(開業後1年を経過していない場合)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の写しまたは「直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の写し(開業後1年を経過していない場合)
※入管局HPでは上記のようなビザ申請に必要な書類の一覧表が公開されています。
これらの公表書類は「申請を受け付けますよ」という必要最低限の書類なので、公表書類のみで許可を取得できることはなかなか難しいのが実情です。ビザ申請は申請書類や許可の要件が揃っていれば許可がでるというものではありません。
就労ビザへの変更申請は、留学ビザの更新等とは違い、とても難易度の高いものがあります。
許可取得の可能性を最大限まで上げるために、当事務所では申請人様のそれぞれの事情から、さらに必要な書類そして提出すべきではない書類を判断し、理由書を添付して申請させていただいております。 |
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
【取材実績】
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