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外国人が会社退職時に注意すること
外国人の方がいろいろな事情で働いている会社を辞めることがあります。
日本の会社を辞める際には守らなければならない日本で決められたルールがあり、雇用していた会社側も、外国人の要求がある場合には発行する義務のある書類等気をつける事があります。
ここでは概要をかんたんに説明していますので、確認してください。
期間の定めのない労働契約
労働者から使用者に退職願を提出して承諾されれば合意解約により労働契約は終了します。使用者が退職を承諾した後になって、労働者が退職の申出を撤回することは原則としてできません。
労働者が「すぐ辞めたい」と申し出ても、もちろんその日に辞めることは難しいでしょう。事務引継等のために使用者が「まだいて欲しい」ということもあるかもしれません。その際は、十分に話し合うことが望ましいでしょう。
一方、労働者の意思表示だけで辞めることもでき、その場合、労働者は申出(口頭でも有効ですが、「退職届け」といった書面によることが望ましい)により退職でき、退職を申し出た日から2週間を経過すると使用者の承諾がなくても退職となります(民法§627第1項)。ただし、トラブル防止のためには、民法の規定を念頭に、就業規則等の規定の有無や内容を確認したほうが良いでしょう。
期間の定めのある労働契約
労働者に就労を継続できないやむを得ない理由があれば、期間途中の退職は可能です。ただし、その理由が労働者側の過失によって生じ、会社に損害が出た場合などには、使用者が労働者に損害賠償を請求することもあるので、注意が必要です(民法§628)
なお、契約期間が1年を超える有期労働契約の場合、1年を経過後は使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(高度専門職の1年を超える有期労働契約、60歳以上の高年齢者を除く)
退職時に気を付けること
退職時に使用者、労働者は以下のようなことに気を付けなければなりません。
【労働者が気を付けること】
■ 労働者は、会社から借りている衣服や社員章等を返さなければなりません。
■ 労働者は退職した場合、請求すれば、原則として7日以内に賃金を支払ってもらえ、また、積立金、貯蓄金など自分の権利に属する金品を返してもらえます。
■ 労働者は、就業規則等に規定があり要件を満たせば、退職手当を受けることができます。支払時期が定められているときはそれに従います。
■ 労働者は雇用保険に加入している場合には、離職票を会社から受け取ることができます(事業主は資格喪失の手続きを10日以内に行わなくてはなりません)。事業主が雇用保険の加入手続きを行っていなかった場合、2年前までさかのぼって加入手続きが可能です。なお、雇用保険料が給料から天引きされていたことが明らかである場合は、2年を超えて遡って雇用保険の加入手続きができます。
■ 労働者は、健康保険証を事業主に返却し、事業主は資格喪失の手続きをします。退職後は、「任意継続」「国民健康保険」「家族の健康保険の被保険者」のいずれかを選択します。
【使用者が気を付けること】
■ 使用者は、好ましくない労働者を職場から排除するため、相互に労働者の国籍、信条、社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をしたり、退職時の証明書に秘密の記号を記入してはなりません。
■ 使用者は、労働者が請求したときは、使用期限、業務の種類、地位、賃金、退職の事由について証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
■ 使用者は、労働者が合意すれば、退職手当の口座振り込み、又は小切手、郵便為替等による支払いができます。
■ 使用者は、労働者が年の途中で退職した場合には、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付しなければなりません。 |
(出典:労働手帳 / かながわ労働センター)
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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