なお、特定活動(46号)取得者が転職をする場合には、在留資格変更許可申請が必要となるので、注意が必要です。
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卒業後も留学生がアルバイト先で働くビザは?(特定活動46号)
2019-6-30
2023-11-14
卒業後もコンビニや飲食店で働きたい・働いてほしい。このような声が少なくありません。
通常の就労ビザでは、サービス業や製造現場でアルバイトをしていた留学生が就労を継続することはできませんが、日本の大学(院)を卒業し、高い日本語能力をお持ちの方は可能性があります。
※この記事は「特定活動」について書かれています。「特定技能」ではありませんのでご了承ください。 |
特定活動(46号)ビザ新設の経緯
今回新設されたのは、これまでもあった「特定活動」というビザの46番目のビザです。特定活動ビザというのは、典型的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務や経営管理など既存のビザには分類できず、該当する活動がない場合に、多様化する活動に対応するために特に指定されるものです。
現行までの制度では、飲食店や小売などでのサービス業務、製造業務がメイン業務である場合は就労ビザが認められていませんでした。
ですのでコンビニエンスストアや飲食店でアルバイトをしていた留学生は、そのまま就労ビザへ変更して働き続けるということは実質的に不可能でした。
一方でこれら外国人を雇用する側にとっては、インバウンド需要の高まりや人材不足、日本語能力が不足する外国人との橋渡しなどあらゆるシーンで大学や大学院で学びながら高い語学力を有する外国人留学生への期待は高く、採用したいとのニーズは多くありました。
そこでこれらのニーズに応えるべく、日本の大学(院)卒業者については、修得した知識を活用することや高い日本語能力など一定の要件をクリアすることが認められる外国人につき、特定活動ビザを取得することができる制度を新設するに至りました。
特定活動46号の要件
それでは留学生はどのような条件をクリアすれば働くことができるのでしょうか?特定活動ビザを取得して卒業後も働くためには次のような要件があります。
特定活動(46号)取得の要件
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1.フルタイムで雇用されること
フルタイムですので、常勤で会社に雇用されることが必要です。常勤であれば正社員でも契約社員でも構いませんが、派遣社員は対象外です。また、アルバイト・パートも対象外です。
雇用契約により被雇用者となりますので、社会保険の加入が必要となります。
2.日本の大学を卒業していること又は大学院を修了していること
「日本の大学(院)」ですので、海外の大学(院)を卒業していても、日本の大学を卒業していない場合、大学院を修了していない場合には対象外となります。
また、日本の大学を卒業、大学院を修了ですので、学位を保有していることが条件となり、中退した場合も対象外です。また、短大や専門学校も対象外であることには注意が必要です。
3.日本人と同等以上の報酬での雇用
雇用条件として、日本人と同等以上の報酬であることが必要です。雇用する会社の給与規定に照らし、昇給面も含め、日本人の大卒者・大学院卒者の賃金を参考に報酬額は決められなければなりません。
また、地域や雇用される企業等の賃金体系、地域の他の企業の同種の業務に従事する日本人の賃金を参考に、同等額以上であるかについても判断材料となります。
もし雇用する外国人に、母国で実務経験がある場合には、その経歴・経験に応じて必要な報酬が支払われているかどうかということも参考にされます。
4.高い日本語能力
ここが1番高いハードルかもしれません。かなり高度な日本語能力が要求されており、具体的にはN1かBJT480点以上相当の能力が必要です。
下記いずれかを満たしていること
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上記N1というのは日本語能力テストの最上位の難易度、BJT480点以上というのは、ビジネス日本語能力テストで2番目に高難度でかつ480点以上というとても高い日本語能力が要求されています。
5.日本語によるコミュニケーションを必要とする業務であること
雇用されて実際に働く業務内容というものが、PCに向かってひたすらキーボードに打ち込む作業ではこのビザの許可は下りません。受動的に作業をするという内容ではなく、日本語を駆使して他者とのコミュニケーションを要する業務である必要があります。高い日本語能力が要求されるのはそのためです。
例えば来客時に日本語で対応したりコミュニケーションをはかることや、上司や会社の伝達事項を外国人社員に対して伝達したり発信したりと、日本語能力を職場で発揮することができる業務内容である必要があります。
6.大学(院)で修得した知識・能力を活かせること
従事しようとする業務内容が、大学や大学院で学んだ内容、具体的には{技術・人文知識・国際業務」の対象となる学術上の素養を背景とする業務が一定程度含まれており、将来的にもそのような業務に従事することが見込まれることが必要となります。
日本の大学や大学院で修得した広い知識や応用能力を活用できる業務内容ということになるかと思います。
上記でもお伝えした通り、今回の新制度では、
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特定活動46号で働くことができない業務
上記条件をクリアしたとしても、以下の業務については働くことができません。
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それぞれ見てみましょう。
1.風俗営業
風俗営業というと、一般には性風俗を連想することが多いかと思いますが、ここでいう風俗営業とは、パチンコ店、マージャン店、ゲームセンター、キャバクラ、ホストクラブなども含みます。このほか、いわゆる性風俗関連特殊産業や異性紹介営業といわれる仕事も当然することはできません。
X:パチンコ店
X:マージャン店
X:ゲームセンター
X:キャバクラ
X:ホストクラブ
X:性風俗産業
また細かい話になりますが、照度10ルクス以下の喫茶店やバーなどでも働くことができません。当然雇用していることが発覚すると、外国人本人はもちろん、雇用主も処罰されることになりますので、ご注意ください。
2.法律上資格を必要とする業務
業務独占資格を要する業務ということです。これは例えば医師や弁護士、司法書士や行政書士など、独占業務を有する業務では就労することができないということです。
特定活動で働ける具体例
具体的に次のような仕事であれば特定活動(46号)ビザで許可が下りる可能性があります。
1.飲食店の店舗において、外国人客に対する通訳を兼ねた接客業とそれに併せて日本人客に対しても接客を行う。(厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。
2。工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの。(ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。)
3.小売店において、仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行い、それに併せて日本人客に対する接客販売を行うもの。(商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。)
4.ホテルや旅館において、外国語によるホームページの開設・更新作業、外国人客への通訳・案内、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとしての接客を行うもの。それに併せて日本人客に対する接客を行うことを含む。(車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。)
5.タクシー会社で、観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの。それに併せて通常のタクシードライバーとして乗務することを含む。(車両の整備のみに従事することは認められません。)
6.介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り、介護業務に従事するもの。(施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。) |
特定活動46号の更新(延長)
今回の特定技能46号では、労働不足を補うということに終始せず、会社の幹部や後継者として育成ということまでも視野に入れ、日本の大学や大学院で修得した幅広い知識を応用できる業務内容をビザ取得の要件の一つとしています。
ですので、雇用契約が成立し、ビザ(在留資格)が更新されるかぎりにおいて、上限なく日本で働き続けることができます。
家族の帯同
特定活動46号で働く外国人の配偶者や子は、特定活動47号(本邦大学卒業者の配偶者等)を取得することで日本に在留することができます。家族滞在ビザではないのでご注意ください。
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
【取材実績】
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