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企業内転勤ビザなら海外の親(子)会社から外国人社員を呼べます

2018-11-04

2023-11-14

 

企業内転勤ビザは、企業活動の国際化に対応し、人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する外国人を受け入れるため設けられたものです。

 

外国の事業所から日本の事業所に一定期間転勤し、「技術・人文知識・国際業務」のいわゆるホワイトカラーの業務に従事するこの「企業内転勤ビザ」に該当する場合には、あなたの企業の海外拠点(親会社・子会社等)から外国人を呼び寄せることができます。

 

ここでは会社規模によって異なる必要書類や日本での報酬額の決定、ご本人の学歴その他の要件などについて詳しく説明しています。

 

 

企業内転勤ビザなら海外の親(子)会社から外国人社員を呼べます

企業内転勤ビザとは、企業内で人事異動に伴い海外拠点から日本へ外国人従業員を転勤させる際に取得できるビザです。一般的には海外にある本社・支社等で働く外国人従業員を日本で働いてもらうために呼び寄せることが多いですが、こちらは同一企業内の異動に限定されず、一部の関連会社との間の異動でも取得できる場合があります。

 

国内で外国人を採用してOJTで育成するよりも、海外の子会社などから即戦力となる人材を呼び寄せるという意図のもとに企業内転勤ビザを活用する企業も多いようです。

 

ただし、移動する外国人が経営者や支店長や役員等の管理者である場合には、原則として「企業内転勤ビザ」ではなく「経営管理ビザ」を取得します。

 

 

企業内転勤でよくあるケース

 

■ケース1

数か国に展開する国際的企業において、日本で新しく外国人を採用して育てるよりも、海外にある子会社や関連会社から経験のある外国人社員を日本に転勤させる方が即戦力になると考えるケース

 

■ケース2

オフショア開発などの業務を行う企業において、現地の外国人技術者を期間限定で転勤によって日本に呼び寄せるケース

 

■ケース3

外国人本人が高卒であるため、「技術・人文知識・国際業務ビザ」の学歴要件を満たすことができない場合に、海外子会社や関連会社で継続して1年以上勤務した外国人を日本に転勤させたいというケース

 

 

入管法では企業内転勤ビザについて在留資格の該当性を次のように定めています。

日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤してその事業所において行う「技術・人文知識・国際業務」ビザの活動

 

上記からお分かりの通り、企業内転勤ビザを取得するために学歴については要求されていません。また、10年以上の実務経験なども不要ですので、海外拠点から技術・人文知識・国際業務ビザで日本に招へいしたい外国人が学歴要件を満たさない場合、企業内転勤ビザは1つの大きな選択肢となりえます。

 

このような該当性をふまえて、次から企業内転勤ビザを取得する要件を見ていきましょう。

 

企業内転勤ビザ取得の要件

それでは企業内転勤を取得するための要件を確認します。

 

企業内転勤の要件

 

  1. 勤続年数:本国支店等で技術・人文知識・国際業務ビザに該当する職種で1年以上勤務
  2. 対象職種:技術・人文知識・国際業務ビザの対象職種
  3. 就労期間:期間を定めて転勤していること
  4. 給与水準:日本人と同等額以上の給与水準であること
  5. 経営状態:会社の経営状態が安定していること

 

それでは1つずつ見ていきましょう。

 

1.勤続年数

企業内転勤を申請する転勤直前に、外国にある本店、支店その他系列の事業所において1年以上継続して「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している必要があります。

 

ですので、入管当局が考える単純労働に従事することはできませんが、外国での職種と日本への転勤後のそれぞれの業務が「技術・人文知識・国際業務」の職種に該当していれば、その双方に関連性までは要求されません。

 

技術・人文知識・国際業務ビザについて詳しくはこちら

技人国ビザ

 

2.対象職種

日本において就労することができる職種も「技術・人文知識・国際業務」に該当する職種です。

 

・自然科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務。大卒等の学歴のある人や一定の実務経験がある人が、その専攻した内容や実務経験に関連した業務。

 

・人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務。大卒等の学歴のある人や一定の実務経験がある人が、その専攻した内容や実務経験に関連した業務。

 

具体的にはITエンジニア、、機械工学技術者、土木建築技術者、貿易事務、マーケテイング業務、通訳翻訳といったいわゆるホワイトカラーに従事する職種が対象職種となります。

 

ですので、海外の本店・支店で1年以上就労経験があっても、次のような現業と呼ばれる業務では企業内転勤ビザで日本に呼び寄せることはできません。

 

【招へいできない業務例】

×:ホテルでのベッドメーキングや配膳業務
×:工場内での流れ作業
×:
コンビニの店員・店長業務
×:建設現場での現場
作業
など

 

3.就労期間

上記の入管法にも記載の通り、企業内転勤は「期間を定めて転勤」する場合に許可されるビザです。基本的にはその期間が経過すれば本国に帰国することが想定されておりますので、無期限に日本に在留するためのビザではありません。

 

もちろん当初の予定より長期に渡り日本に在留することになる必要性・合理的理由があれば、期間の更新は可能です。

 

企業内転勤ビザ取得に当たっては、日本での就労期間や派遣期間が明記された人事発令や派遣状などのエビデンスが必要です。企業内転勤ビザが付与される場合、その最長在留期間は5年ですので、長期で日本在留をお考えの場合には5年(以上)の期間を人事発令などに明記しておくことで、ビザ申請の際にも5年の在留期間希望と記載できます。

 

5年を希望したからといって5年のビザが付与されるとは限りませんが、1年を希望して5年が付与されることはありません。

 

企業内転勤ビザ取得の無料相談・依頼はこちら

 

4.給与水準

 給与水準について

まず大切なことは、「日本人が同じ業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」であることです。日本の給与水準と同等かそれ以上の国から招へいする場合には問題となることはありませんが、日本の給与水準より低い国から招へいする場合には気を付ける必要があります。

 

どういうことかというと、たとえ本国の給与水準と比較して法外な額の給与であっても日本円に換算した場合に日本人と同等の給与水準を下回る報酬額を設定した場合、企業内転勤ビザを取得することはできません。

 

報酬につき、具体的な金額が法定されておりませんが、受け入れる日本側の企業の日本人従業員の給与水準が審査の際に参照されます。日本人従業員がいない場合には、周辺地域に所在する同業種の企業における給与体系が参照される模様です。

 

また、給与水準は賞与(ボーナス)を含め、1年間従事した際に受ける報酬を1/12として計算します。報酬とは一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付のことを言い、通勤手当、住宅手当、扶養手当等の実費弁償の性格を有するものは含みません(課税対象となるものを除く)。

 

支払い主体について

次に、報酬の支払い主体、すなわち誰が外国人の報酬を負担するか、という点について見ていきましょう。

 

本来報酬というのは雇用契約の締結主体だけが支払うことになるはずですが、企業内転勤ビザの審査においては実務上、給与の支払い主体が誰であるかということについては特に厳密に審査がされません。

 

そのため、実務上では外国にある事業所が給与等の報酬を支払っても(海外から送金されても)、日本にある事業所が給与等の報酬を支払っても、許可されていますが、海外から送金する場合には為替レートに注意が必要です。為替レートにより相対的に報酬額が引き下げられることがあり、日本人と同等額以下になることがあります。

 

上記に加えて、例えば基本給は外国にある事業所が支払い、日本にある事業所が日本での食費や住居費ほか各種手当等を支払うというように両者から給与等の支払いが行われるという形態も可能です。この場合注意していただきたいのは、その合計額が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」になる必要があるということです。

 

5.経営状態

呼び寄せる外国人を安定的・継続的に雇用するために、運用要領では以下のように定められています。

 

日本にある事業所は、事業が適正に行われ、かつ、安定的に事業活動が行われていると認められるものでなければならない。

 

そして、安定的・継続的に雇用するためには所属機関の経営状態を審査されますが、ビザ取得に際して、外国人が所属する企業は審査上以下の4つのカテゴリーに分けられます。

 

 

上場企業など、カテゴリー1、2の規模の大きな会社では、ほとんど問題となることはありません。カテゴリー3の中小企業で業績が赤字決算である場合などは、雇用の安定性継続性が見込めない恐れから、審査が厳しくなる傾向があります。その場合、事業計画書を添付して経営状態について追加の説明を行う必要が生じます。

 

また、カテゴリー4に分類される新設会社の場合は、まだ決算を迎えていないため決算書から事業の安定・継続性を審査できないため、事業計画書の提出が必須です。

 

「企業内転勤」ビザにおいても、日本の公私の機関と契約する必要があります。ただし、同一の法人内で外国拠点から日本拠点へ異動して「企業内転勤」ビザで勤務する場合には、改めて雇用契約等を締結する必要はありません。

 

なお、招へいする外国人材を安定的・継続的に雇用するために、「日本にある事業所は、事業が適正に行われ、かつ、安定的に事業活動が行われていていると認められるものでなければならない(運用要領)」とされております。日本の事業所が派遣先であるば歳には、受け入れる日本拠点のみならず、送り出す海外拠点の経営安定性も確認されます。実務上は決算書や事業概要、事務所の概要などのエビデンスを提出し審査されます。

 

企業内転勤ビザの在留期間

 

5年、3年、1年または3月

 

企業内転勤ビザの範囲

 

親会社、子会社間の異動に限らず、「企業内転勤」ビザでは系列企業など、下図のすべての異動が対象です。

 

  1. 親会社・子会社間の異動
  2. 子会社間・孫会社間の異動
  3. 曾孫会社との異動
  4. 関連会社との異動

 

 

※系列企業とは、財務諸表諸規則に定める親会社・子会社・関連会社が該当し、財務諸表規則に定められた定義から外れる場合には企業内転勤ビザの対象外となるので注意が必要です。

 

1.親会社と子会社間の異動

他の会社等の財務や事業方針を決定する機関を支配している会社が親会社です。そしてこの「他の会社」が子会社といいますが、さらに同じように親会社及び子会社支配をしている他の会社はみなし子会社といい、一般的には孫会社と呼ばれています。

 

親会社と子会社間の異動はもちろん「企業内転勤」ビザの対象となりますが、親会社と孫会社間の異動についても親会社と子会社間の異動とみなされるため、「企業内転勤」ビザの対象となります。

 

2.子会社間・孫会社間の異動

 

子会社間の異動については、近年の企業の分社化を反映して親会社と一体性を有するものとして企業内転勤の対象とされます。孫会社間の異動についても孫会社が子会社とみなされていることから同様に企業内転勤の対象となります。(審査要領)

 

3.曾孫孫会社との異動

孫在社の子会社、つまり親会社から見て曾孫会社については、みなし子会社の子会社という位置付けになるため、縦の位置、つまり孫会社と曾孫会社間の異動については企業内転勤に該当しますが、曾孫会社間の異動は、親会社が曾孫会社まで100%出資している場合を除き、企業内転勤の対象となりません。(審査要領)

 

4.関連会社との異動

関連会社とは、会社が出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等のことをいいます。

 

そしてこの関連会社への移動は「企業内転勤ビザ」の対象となりますが、以下のような移動は企業内転勤ビザの対象とはなりません。

 

  1. 関連会社間の異動
  2. 親会社と子会社の関連会社間の異動

 

(審査要領)

 

企業内転勤ビザ必要書類

 

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この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂について(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

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