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【徹底解説!】経営管理ビザの許可が下りる事務所とは?

2020-07-24

2024-02-09

 

外国人の方が日本で起業して経営管理ビザを取得しようとする場合、事務所を確保することが要件の1つとなっています。それではバーチャルオフィスや自宅兼事務所でも許可されるのでしょうか?

 

ここでは経営管理ビザを取得するために必要な事務所について外国人ビザ専門尾行政書士がしく説明しています。

 

 

経営管理ビザの許可が下りる事務所とは?

バーチャルオフィス

ビジネスを立ち上げるにあたり、はじめはできるだけコストを抑えて起業したいという外国人の方は多いのではないでしょうか。その場合に、事務所のコストも抑えるためにバーチャルオフィスを借りてビジネスを始めたいと考える外国人の方もいらっしゃいます。

 

バーチャルオフィスとは、起業したばかりの方やフリーランスの方々が、オフィスを借りることなく好立地の住所や固定電話番号、秘書サービスといった多くのメリットを享受できるもので、会社登記もすることができます。

 

ですが、経営管理ビザ取得という観点からすると、バーチャルオフィスでは経営管理ビザを取得するための事務所として認められません。経営管理ビザを取得するためには日本国内に事業所を確保することが必要で、その事業所とは総務省が定める以下の定義を満たしている必要があります。

 

1.経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること

2.財又はサービスの生産と供給が、人及び設備を有して継続定期に行われていること

 

これらの定義を満たすことのないバーチャルオフィスでは経営管理ビザを取得するための事務所とはなりえませんのでご注意願います。

 

レンタルオフィス

レンタルオフィスを事務所として経営管理ビザを取得することは可能ですが、ある程度の条件を満たす必要があります。明確に定義があるわけではありませんが、次のような条件をすべて満たすことが必要です。

 

  1. 一定程度以上の広さがあること
  2. 設備が整っていること
  3. 明確な仕切りがあること

 

 

1.一定程度以上の広さがあること

こちらは外国人の方が始めようとする事業の内容に応じて一定以上の広さが確保されていることが必要です。

 

例えばホームページ作成サービスや翻訳業、在庫を伴わない貿易業などの場合には事務所兼オフィスとしてそれほど大きな事務所は必要ありません。せいぜいデスクを2~3個置けるスペースがあれば十分といえます。

 

反対に、大量の在庫を抱えるようなビジネスモデルの場合、在庫を保管できるだけの事務所スペースや外部に倉庫などを借りる必要があります。

 

2.設備が整っていること

これは例えばパソコンや、コピー機、電話、ファクスなどが設置されているかどうかということです。

 

実際に申請にあたりこれらの設備は最低限備わっていることが必要とされ、適正に備えられていることを示す写真を貼付して提出します。また実務上、審査においてNTT照会がされることもあります。

 

ですので、これらの設備すら整っていない場合、どうやって営業を開始するの?という疑義を持たれ、許可の取得は難しくなります。

 

また、郵便受けや看板、標識が掲げられていることも求められるので、大きなものである必要はありませんが、これらが設置されている必要があります。

 

 

3.明確な仕切りがあること

これは壁やドア等で明確に他のスペース区分けされているということです。総務省の定義にも「一区画を占めて行われていること」とあることから、個室として間仕切られていることが求められます。

 

友人・知人が借りている共同事務所で経営管理ビザを取得するための事務所とすることができますか?というご質問をいただくことがありますが、上記の理由から原則として共同事務所は経営管理ビザの事務所として認められません。ですが、物件の間取りによって、例えば建物の入り口は共用でも、中に通路や廊下があり、完全に個室として区切られているような間取りであれば許可される可能性はあります。

 

また、同じ理由から、レンタルオフィスであってもフリーデスクプランのように、大人数でひとつのスペースを共有するカフェのようなスペースでは許可は下りません。コワーキングスペースという名称でも同様に許可は下りません。

 

そして、個室であっても、壁の上部が間仕切りで仕切られておらず、隣の部屋の声が筒抜けであるようなレンタルオフィスも、ビザを取得するための事務所という観点からすると許可の可能性は低いと思われます。

 

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自宅を事務所として利用する場合

経営管理ビザを取得しようという外国人の中には、日本にご自宅を所有している方も珍しくありません。そして、ご自宅を経営管理ビザ取得のための事務所としてご利用したいという声は多くありますが、「マンション」と「一戸建て」とでは経営管理ビザの許可取得の観点からは大きな違いがあります。

 

  1. ご自宅がマンションの場合
  2. ご自宅が一戸建ての場合

 

 

1.ご自宅がマンションの場合

ご自宅がマンションの場合、残念ですが、経営管理ビザ取得という観点からは許可はされないでしょう。

 

例えば5LDKといった大きなマンションを所有されていらっしゃる外国人の方で、玄関を入ってすぐの部屋を事務所とし、あとは居住スペースとお考えの方がおりますが、このような間取りであっても出入国管理局では経営管理のための事務所とは認めていないものと思われます。

 

要するに、事務所として使用する部分と住居として使用する部分の密着度が強いと判断され、不許可となります。

 

また、マンスリーマンションで事務所を借りる場合も同様に経営管理ビザ取得のための事務所としては認められません。

 

2.ご自宅が一戸建ての場合

ご自宅が一戸建ての場合、経営管理ビザを取得するための事務所として認められる可能性があります

 

一戸建てで最も事務所として認められる可能性がある間取りというのは、建物の1階部分を事務所スペースとし、2階を居住スペースとした場合です。この間取りであれば、事務所スペースと居住スペースの密着度が低いとみなされるからです。

 

上記の1階が事務所のケースで申請する場合には、自己所有する物件の一部分を事務所として使用する=法人所有という考え方になるので、本人が法人に貸すということから賃貸借契約書が必要になります。この場合の使用目的は「住居」とすると不許可となりますのでご注意ください。そして申請時に入管に添付する図面(見取り図)は、1階の事務所部分のみで可能です。

 

それでは逆に1階が居住スペースで2階が事務所スペースではどうでしょうか?この場合、外部階段などで外から2階部分へ入ることができる間取りであれば許可され得ますが、1階の玄関を入り、居住部分を通って2階事務所へ上がるという動線の場合、許可の可能性まずないでしょう。

 

住居として「賃借」している物件の一部を使用してビジネスをする場合、以下のような注意点があります。

 

①住居目的以外での使用を貸主が認めていること

②借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること

③当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること

④当該物件に係る公共料金と共用費用の支払いに関する取り決めが明確になっていること

⑤看板類似の社会的標識を掲げていること

 

その他のオフィス形態

インキュベーションオフィス

インキュベーションオフィスとバーチャルオフィス・レンタルオフィス等との最も大きな違いは、「インキュベーションオフィスは公的機関が提供している」ということです。もちろん民間のインキュベーターが主導となっている施設もありますが、公的機関が提供しているバーチャルオフィスはありません。

 

例えば東京都ではインキュベータオフィス情報 東京都中小企業振興公社が、その窓口となっています。

 

いわゆるインキュベーターが事業を支援している場合で、経営管理ビザの申請人から事業所に係る使用承諾書等の提出があった時は、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス棟の一時的な住所又は事業所であっても、企業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、事業所の確保の要件に適合している者としてとりあつかうことができることとされています。

 

インキュベーションオフィスは起業支援が目的のオフィスですので、すでに事業を始めている方は利用できず、起業家であることが条件となります。また、入居の前に事業計画の提出など起業家としての審査に通る必要があります。

 

その他形態

移動できる屋台・トレーラーハウスに関しましては、経営管理ビザを取得するための事務所としては認められません。

 

賃貸物件を事務所とする場合の注意点

事務所については、日本にお住いの外国人はもちろん、海外にお住いの外国人が日本で起業するような場合は特に、賃貸物件が一般的かと思います。

 

基本的には、物件の賃貸借契約で、その使用目的を「事業用」「店舗」「事務所」といった事業目的であることを明らかにし、事業に利用することを賃貸人が承諾していることが必要です。

 

賃貸借契約者については本来法人名での名義とし、当該法人等による使用であることを明確にする必要がありますが、法人設立前である場合、個人名での契約しかできない場合もあるかと思います。事前に法人設立後に変更できるかなどの交渉が必要な場合も生じることもあります。

 

 

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店舗系ビジネスの事務所

店舗系ビジネスというのは例えばマッサージ店や飲食店などのことです。この場合、店舗の接客スペース以外に間仕切られた事務所スペースが確保でき、その店舗を本店所在地として登記するのであれば、外部に事務所を確保する必要はありません。

 

ただし、店舗内にどうしても事務所スペースが確保できない場合、外部にレンタルオフィスのような事務所を借りることになります。飲食店でお客さんがご飯を食べている隣で、パソコンをカタカタやって事務仕事をするような形態は認められません。外部に借りるようにしてください。

 

そして、外部に事務所を確保して経営管理ビザが取得できた場合に、当該ビザを取得できた外国人の方がしがちな行動として、外部の事務所を解約して事務所のコストを抑えようとすることです。気持ちは分からなくはないですが、次回更新で矛盾が生じ、不許可になる可能性がありますので、解約しないようお気をつけください。

 

経営管理ビザの事務所事例

法務省に掲載された、経営管理ビザの事務所として認められた事例と認められなかった事例はこちらをご参照ください。

 

経営管理ビザの事務所事例

 

 

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この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年・2024年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年・2024年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

 

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