トップページ > 就労ビザ(技人国ビザ)から高度専門職ビザへの変更
就労ビザ(技人国ビザ)から高度専門職ビザへの変更
2021-09-14
2024-08-30
日本の企業等で「技術・人文知識・国際業務」ビザなどの就労ビザで働いている外国人の方から「高度専門職」ビザへ変更したいという相談をよくいただきます。
ここでは「高度専門職」ビザを取得するメリットや要件、必要書類などについて就労ビザ専門の行政書士が詳しくご説明しています。
就労ビザ(「技人国」ビザ)から「高度専門職」ビザへの変更
申請要件の緩和もあり、あなたのように日本の企業等で働くとても優秀な外国人の方が、メリットの多い高度専門職ビザを取得することが増えてきました。
永住申請の居住要件が緩和されたり、一定の条件を満たせば本国から親を呼び寄せることも可能な「高度専門職」ビザについて、まずはそのメリットから説明します。
高度専門ビザ7つのメリット
まずは気になる高度専門職ビザ取得のメリットをご覧ください。
ここではこの7つのメリットを確認するとともに、優遇されるための要件とはどんなものかチェックしてみましょう。
高度専門職1号ビザ7つのメリット
|
メリット1.複合的な在留活動の許可
本来「在留資格」とは、許可された1つのビザで認められた活動のみを行えるというものです。在留資格以外の活動を行うためには、わざわざ入管で資格外活動の許可を取得しなければならず、その許可がなければ違法活動となってしまいます。
ところが高度専門職では、例えばIT企業を経営しながら、大学でIT分野の研究を行うことができるなど、複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。
その他の例としては、「研究」ビザで在留する外国人が研究成果を生かしてベンチャー企業を経営するとなった場合、こちらも資格外活動許可を取得して活動する必要がありますが、これが高度専門職の方は、資格外活動許可やビザの変更許可を受けなくても、複数のビザに該当する複合的な活動を行うことができます。
メリット2.在留期間「5年」の付与
例えば「技術・人文知識・国際業務」ビザ(いわゆる就労ビザ)では、許可される在留期間は「5年、3年、1年、3か月」のいずれかです。留学生がビザ変更した初回は通常「1年」の在留期間が付与されます。いきなり5年を認められることは稀で、通常は数回の更新を経て、ようやく5年が認められることになります。
これが「高度専門職」ビザでは初回から「5年」がもらえます。更新も5年に1回です。
外国人にとって、異国のイミグレーションオフィスでビザの更新を短期間に重ねることはとてもストレスになります。これが5年に1回で済むことは、実は外国人にとって非常にストレスフリーになるようです。優秀な外国人ほどその傾向が強い模様です。
メリット3.永住申請の居住要件緩和
通常、永住許可の申請をするには10年以上日本に在留することが求められますが、高度専門職では居住要件が3年に短縮されます。
高度人材の中でも特に高度とされる在留資格の申請はポイント80点以上の方の場合は、高度外国人材として1年間日本で活動するだけで、永住許可申請をすることができる対象となります。
メリット4.配偶者の就労
原則として、「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用された方の配偶者は「家族滞在」ビザを取得して入国します。この「家族滞在」ビザで在留する配偶者は働くことができません。資格外活動許可を取得することで、週28時間までアルバイトをすることは可能ですが、フルタイムで就労はできません。
しかし高度専門職の資格を持つ人の配偶者は、学歴・職歴不要で「技術・人文知識・国際業務」や「教育」ビザなどに該当する活動を行うことができます。
配偶者の方は、「特定活動」ビザを取得することで就労可能です。要件は、次の4つです。
要件1.高度専門職の方との婚姻関係があること
法的な婚姻関係が必要で、事実婚は該当しません。在留資格変更申請時に婚姻届受理証明書や結婚証明書(写)を入管へ提出します。
要件2.高度専門職の方と同居していること
単身赴任で地方や海外へ高度専門職を持つ方が転居するような場合や、夫婦の関係悪化により別居状態が続く場合など、別居が発覚した場合には「特定活動」ビザが取消の対象となります。
要件3.日本で就職先が内定し、契約内容を証明できること
通常、企業で働くいわゆるホワイトカラーの外国人の方は、「技術・人文知識・国際業務」ビザというものを取得して働いていますが、その場合、10年の職歴や大学で専攻した内容と関連している必要があります。
ですが、「高度専門職」ビザ配偶者の「特定活動」は職歴や学歴が問われません。就職先が決まり、雇用契約書などを交わしていることが必要ですが、大卒ではなくても取得可能です。
なお、該当する就労活動は、以下の就労系ビザの活動に限定されていますので、いわゆる現業(現場での立ち仕事など)はすることはできません。
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 興行(演劇等の活動以外の芸能活動)
要件4.日本人が受ける報酬と同等額以上であること
同じ業務に従事する日本人と同等以上の給料を受ける必要があります。「家族滞在」ビザの場合とは異なり、こちらはフルタイムで働くことのできるビザなので、週28時間以内という就労制限や、収入の上限もありませんので、ご安心ください。配偶者様の収入を超えてしまっても問題ありません。
メリット5.親の帯同が可能
以下のいずれかの目的で下記の要件を満たす場合、親を本国から連れてくることができます。親の帯同はほかのビザにはほとんど存在しない、「高度専門職」ビザ特有のメリットです。
目的
- 高度人材外国人又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます)を養育する場合
- 高度人材外国人の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合
要件
- 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上であること(高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます)
- 高度人材外国人と同居すること
- 高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの親に限ること
メリット6.家事使用人の帯同が可能
以下の要件を満たす場合、家事使用人を帯同することができます。
外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合の要件(入国帯同型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材外国人に雇用されていたものであること。
- 高度外国人材が先に本邦に入国する場合は,帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用され,かつ,当該高度外国人材が本邦へ入国後,引き続き当該高度外国人材又は当該高度外国人材が本邦入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
- 高度人材外国人が本邦から出国する場合、ともに出国することが予定されること
上記以外の家事使用人を雇用する場合の要件(家庭事情型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者有すること)が存在すること
メリット7.在留手続の優先審査
入管での「在留期間更新許可申請」(ビザ更新)における審査期間が5日以内とされています。これは通常1~2か月程度かかる場合と比べて、相当優遇されているといえます。
※他の就労系のビザよりは早期に審査完了することは多々ありますが、以前とは異なり、最近では高度専門職の在留期間更新で上記のように5日以内に審査が完了することはなく、1ヵ月前後を要することも多くあります。
高度専門職1号ビザとは
高度専門職1号には(イ)(ロ)(ハ)の3種類があり、それぞれ要件が異なりますが、いずれもポイント計算表で70ポイントを取得する必要があります。企業様で雇用されて就労する方は、「高度専門職」ビザ1号(ロ)が多いかと思います。
高度専門職1号の種類 | 相当する活動 |
高度専門職1号(イ) | 【高度学術研究分野】公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動等
|
高度専門職1号(ロ) | 【高度専門・技術分野】公私の機関との契約に基づいて自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動等
|
高度専門職1号(ハ) | 【高度経営・管理分野】公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い、もしくはその事業の管理に従事する活動等
|
国際業務では高度専門職ビザ取れない?
外国人の方の中には、貿易事務やデザイン業務、翻訳通訳業務などの国際業務で高度専門職ビザを取得して様々なメリットを享受したい、と考えている方もいるかもしれません。高度専門職を経て最短で永住許可取得をお考えの方もいるでしょう。
ところが国際業務を主業務とした場合、高度専門職を取得できないことが多くあります。
「国際業務」の要件を満たして高度専門職を取得しようとする場合、たとえばデザインや通訳・翻訳、語学教師など、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務では高度専門職を取得できません。
この「感受性を必要とする業務」というのは高度専門職の要件となるポイントとして数値化することが難しいという理由で、国際業務から高度専門職への変更はできないとされています。
上記の理由から、高度専門職取得を希望される方で、学歴や職歴が「技術」や「人文知識」の要件を満たすのであれば、企業からは「国際業務」ではなく、「技術・人文知識」を主業務とした内定をいただき、申請することをおすすめいたします。 |
高度専門職1号ビザ取得の要件
高度専門職1号を取得するためには、次の要件を全て満たす必要があります。
最近では優秀な外国人材を受け入れたいという国家戦略を受けて、「高度専門職」ビザを取得するためのポイント要件がさらに緩和されています。
要件①次のいずれかに適合すること
- 高度専門職1号イ:ポイント計算表で70点以上
- 高度専門職1号ロ・ハ:ポイント計算表で70点以上、かつ、年収300万円以上
要件②申請人が日本において行おうとする活動が、以下のいずれかに該当すること
- 「教授」「芸術」「宗教」「報道」ビザのいずれかの活動に該当すること。
- 「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」ビザのいずれかの活動に該当し、なおかつ基準に適合すること
ビザ申請をすることができる人
ご本人
住居地を管轄する出入国在留管理官署へ申請することができます。
雇用会社の担当者・雇用主
申請取次をすることができる担当者・雇用主様がいる場合のみ申請することができます。
申請取次行政書士
入管局へ届出済の行政書士はご本人に代わって申請することができます
ビザ申請をすることができる入管局
ご本人
ご本人の居住地を管轄する入管局
申請取次行政書士
・ご本人の居住地を管轄する入管局
・就労予定地を管轄する入管局
・採用責任者が所在する地を管轄する入管局
必要書類
- 在留資格変更許可申請書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 在留カード提示
- パスポート提示
- 本邦において行おうとする活動に応じた資料(活動内容や所属先によりさまざまです)
- ポイント計算表(参考書式)【Excel】
- ポイント計算表の各項目に関する疎明資料(基本例)
※ポイントの合計が70点以上あることを確認できる資料を提出すれば足ります。該当する項目全ての疎明資料を提出する必要はありません。
必要書類につきまして
法務省の入管HPでは、上記のようなビザ申請に必要な書類の一覧表が公開されています。
しかし、これらの公表書類は申請を受け付けるための必要最低限の書類なので、公表書類のみで許可を取得できることはほとんどありません。
許可取得の可能性を最大限まで上げるために、当事務所では申請人様のそれぞれの事情から、さらに添付すべき書類そして添付すべきではない書類を判断し、最適な申請をさせていただいております。
お電話や無料相談で必要書類の詳細なご案内はしておりません。 |
この記事を読んだ人は次の記事も読んでいます
特別高度人材(J-Skip)による高度専門職1号ビザ取得とメリット
高度専門職1号ビザをお持ちの方が特別高度人材(J-Skip)の認定を受ける方法
高度専門職ビザQ&A(FAQ)①
高度専門職ビザQ&A(FAQ)②
高度専門職ビザQ&A(FAQ)③
高度専門職ビザの方の親を本国から呼び寄せたい(特定活動34号)
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザ
在留資格変更許可申請書
外国人雇用と雇用契約書作成時の注意点(サンプル付)
外国人雇用(就労ビザ)でもっとも注意することは?
入管申請書ダウンロード
自分でビザ申請する場合との比較
横浜で就労ビザ申請なら
東京で就労ビザ申請なら
東京出入国在留管理局
在留資格一覧
就労ビザの審査期間
ビザ無料相談
この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
【取材実績】
【講師実績】
|
ビザ相談、無料です