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外国人会社設立FAQ(Q&A)

2020-02-23

 

外国人の方が日本で起業をお考えの場合、経営管理ビザを所得するために基本的には会社を設立します。

 

ここでは外国人の方が日本で会社設立をする際によくいただく質問をFAQで掲載していますので参考にしてください。

 

 

経営管理ビザを取得してから会社を設立の順番ですか?

 

 

私は日本の企業で技術・人文知識・国際業務ビザで働いているインドネシア人です。将来日本で起業を考えていますのが、現在のビザから経営管理ビザへの変更が必要だとネットで知りました。

 

その場合、経営管理ビザに変更してから会社設立をすればよいですか?

 

 

 

経営管理ビザの申請は、原則としてあなたがこれから始めるビジネスがすぐにでも始められる状態になって初めて申請となります。

 

つまり、会社設立や店舗であれば事務所を確保し従業員の内定や許認可を取得した後に経営管理ビザの申請となるので、経営管理ビザを取得してから会社設立という流れではありません。

 

つまり、すべての準備を整えてからの経営管理ビザ取得というのが原則ですので、審査期間中の数カ月から最長で1年近くは事務所や店舗の家賃が発生するということです。

 

資本金の500万円以外にもこのような見えない支出や行政書士・司法書士への報酬なども必要になりますので綿密な計画を立ててから経営管理ビザ取得に臨みましょう。

 

海外に住む外国人が一人で会社設立をすることはできますか?

 

私は中国の大学院を卒業し、現在中国の貿易会社で働いている中国人ですが、将来は日本で起業したいと思っています。

 

現在日本とは貿易の仕事を通して交流があり、大学で日本語を専攻したので日本語の能力については問題ありません。まずは1人で起業し、日本の製品を中国へ輸出するビジネスを考えてますが、私が中国にいたまま1人で日本の会社を設立をし、経営管理ビザを取得することはできますか?

 

 

理論上は可能ですが、実際には日本の住民票が取得できないことから、銀行口座の開設や事務所を確保する際に不動産の契約を締結することが難しく、実務上1人で経営管理ビザを取得することはかなり困難を極めます。

 

相談者様のように日本で起業をお考えの場合、何かしらの形で日本との接点があり、1度も来日経験がなく日本で起業を考える方はほとんどおりません。

 

また、日本で起業をお考えの場合に、日本で1人知り合いがなく、日本で起業するにあたって協力してくれる方がいないということも稀ですので、まずは日本で会社設立に協力してもらえる人間にお願いし、一時的に発起人や取締役として会社設立にご協力いただくということが現実的で実務でもよく行われています。

 

 

日本の株式会社と合同会社はどう違うの?

 

日本の会社形態にはいくつかあり、代表的なものに【株式会社】と【合同会社】があると聞きました。この2つの違いは何ですか?また経営管理ビザを取得するためにはどちらが有利ですか?

 

 

合同会社と株式会社の大きな違いは、法人を構成する機関の作り方と出資の方法が違うということです。事業内容に関しましては、いずれの形態で会社を設立してもそれほど大差はないかと考えます。また、ビザを取得するにあたり、どちらが有利だということもありません。

 

設立コスト、維持コストなどは株式会社に比べて合同会社のほうが安く抑えられますが、知名度については株式会社のほうが依然として高いのは間違いありません。ただ、昨今は合同会社の知名度も上がってきていますので、合同会社を選択される方も増加傾向ではあります。

 

1人ではなく多くの人が出資する場合、出資比率に応じて議決権を与えたり、出資比率に応じた利益配当を行いやすい株式会社のほうが適していると言えます。

 

なお、合同会社をLLC(※)と省略することもありますが、日本の合同会社は米国のLLCと異なりパススルー課税ではないため、LLCという名称だけで判断をすると、発起人が考えていた課税制度とは異なる税務処理となってしまうこともあるので注意が必要です。

 

※LLC:Limited Liability Company

 

注意点としては、将来上場をして会社規模を大きくしていきたいというビジョンがある場合、合同会社では上場することはできませんのでお気を付けください。

 

【合同会社と株式会社の比較表】

 合同会社株式会社
商号「合同会社」という名称を入れること「株式会社」という称号を入れること
設立時最低出資額1円以上1円以上
出資責任者有限責任有限責任
出資者の議決権数1人1票1株1票
決算公告不要必要(毎年)
略称(合)(株)
代表者代表社員代表取締役
最低必要人数1名1名
役員任期期限なし取締役:1~10年 (非公開会社)
監査役:4~10年 (非公開会社)
法人名義での契約できるできる
設計の自由度高い高くはない
設立費用※6万円※20万円~
知名度・信用高くはない高い

※自分で電子定款認証し、かつ、専門家に依頼しなかった場合の金額です。

 

 

 

昔留学していた時に作った銀行口座は使えますか?

 

私は3年前まで日本の大学に留学していたベトナム人です。

 

1度ベトナムに帰国し、日系企業に勤めていますが将来は日本で起業を考えています。その際に会社設立をする場合には日本の銀行等金融機関の口座が必要であると知りました。

 

私は留学していた時に作った銀行口座がありますが、この口座に資本金500万円を送金することで出資の要件を満たすことは可能でしょうか?

 

海外に在住の外国人の方が日本で起業する際に直面する問題で一番多いのがこの日本の金融機関での口座開設かと思います。

 

日本の金融機関は日本に住民票がない外国人の方に対して口座を開設することはなく、観光などの短期滞在で日本に在留する外国人に対しても同様に口座を開設することはありません。

 

ですが、相談者様の場合には日本に在留していたころの口座がありますので、資本金を送金するにあたってはこの口座をご利用いただくことが可能です。

 

事務所確保にあたって日本に住民票がないため、印鑑証明がない外国人に対して賃貸契約を交わしてくれる不動産会社があるかどうかという問題は残りますが、金融機関の口座に関しては経営管理ビザ取得につき、ご利用いただけるとお考え下さい。

 

駐在員事務所で経営管理ビザは取れますか?

 

私はアメリカにある企業で海外進出のプロジェクトを進めているアメリカ人です。会社では来年日本進出の予定がありますが、進出形態を駐在員事務所とすることで検討しています。

 

日本の経営管理ビザを取得するためには会社設立が必要と認識していますが、その場合の会社に駐在員事務所は含まれるのでしょうか?

 

 

駐在員事務所は、外国企業が日本で本格的な営業活動を行うための準備的、補助的行為を実施する拠点として設置されます。市場調査、情報収集、物品の購入、広告宣伝などの活動を行うことができますが、直接的営業活動を行うことはできません。

 

また、駐在員事務所の設置は、登記する必要がありません。

 

なお、駐在員事務所の名義で、銀行口座を開設すること、不動産を賃借することは、通常できませんので、外国企業の本社または駐在員事務所の代表者など個人が代理人として、これらの契約の当事者となります。

 

なお、駐在員事務所で働くこととなる駐在員のビザは、原則として「企業内転勤」ビザとなり、経営管理ビザの取得とはなりません。下の表からもお分かりの通り、経営管理ビザを必要とする形態は日本法人又は日本支店となります。

 

外国企業の日本進出形態

 日本法人日本支店駐在員事務所
登記の有無必要必要不要
事業体日本法人外国法人と同事業体法的事業体ではない
営業活動できるできるできない
法人銀行口座開設できるできるできない
社員雇用できるできるできる
社会保険加入義務有加入義務有任意適用事業者として適用
ビザ経営管理ビザ企業内転勤ビザ
又は経営管理ビザ
企業内転勤ビザ
(技人国ビザ)
事務所賃貸借契約できるできるできない
(代表者個人に帰属)

 

 

会社設立ではなく個人事業主でも経営管理ビザ取得は可能?

          

私は日本で起業を考えているインド人ですが、経営管理ビザを取得するためには会社を設立せずに個人事業主でも可能であることを知人から聞きました。

 

初期費用をできるだけ抑えたいので個人事業主での起業を考えていますが、確実に経営管理ビザを取得したいという考えもあります。個人事業主でもビザ取得の観点では会社設立の場合と変わりありませんか?

 

 

 

理論的には個人事業主での経営管理ビザ取得は可能で、過去にも取得した例はありますが、お勧めはできません。ハードルが格段に高い上にあなたにあまりメリットが感じられないからです。

 

まず個人事業主で起業するメリットとしては会社設立の手間やコストが削減でき、税務署へ開業届けを届け出るだけで開業ができるという簡便さがあげられます。ですが、その簡便さがビザ取得という観点からはむしろマイナスに働くことが多いようです。

 

すなわち入管局の考えとしては、経営管理ビザというのは学歴や職歴が要件として不要ですので、資本金さえ用意できれば取得できると考えている外国人に対して常に警戒しています。

 

どういうことかといえば、この外国人は日本で事業をしたいのではなく、在留資格が欲しいだけじゃないのかという疑義を常に持って審査にあたります。その背景には入管局の調査部門ではビザ取得後にも後追い調査をしていますが、この経営管理ビザを取得した外国人が経営管理の業務を行っていないケースが頻発したため、昨今、審査が厳格になっているという側面があります。

 

ですので費用をかけて安定的・継続的に日本で事業をするというためには、会社を設立し、日本で本気でビジネス活動を行っていくことが望ましいと考えられています。

 

また、個人事業主として経営管理ビザを取得するには、資本金という概念がない代わりに、500万円を事業所の確保や備品等の購入など事業に投資し使い切る必要があることと、本当に日本で事業を安定・継続的に行っていくことの立証のために非常に綿密な事業計画が必要とされます。

 

結局は会社を設立して資本金の額又は出資の総額が500万円以上であることを証明する方が相対的にたやすく、会社を設立したほうが本来の目的であるビザ取得の観点からも取得しやすいといえます。会社を設立した場合にはこの資本金500万円を使い切る必要はありません。

 

なお、個人事業主で経営管理ビザを取得できる可能性があるのは「在留資格変更許可申請」に限られます。つまり日本に在留している留学生や就労ビザで働いている方からのビザ変更に限られるので、海外在住の外国人が個人事業主で経営管理ビザを取得することはできません。

 

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この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年・2024年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年・2024年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

 

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