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各国との社会保障協定(保険料の二重負担防止)

2019-11-10

 

日本で働く外国人の方が気になる問題の1つに、「社会保障制度」があります。日本の社会保障制度と母国の社会保障制度の両方に加入しなければなりませんか?という質問を外国人の方や雇用主の方からよくいただきます。

 

この二重加入の問題を解消する協定が「社会保障協定」です。

 

 

社会保障協定とは

外国の関係会社から技術・人文知識・国際業務ビザで日本に赴任する場合の外国人の場合を考えてみることにします。

 

当該外国人の出身国にも社会保障制度が存在する場合が多くありますが、日本の社会保障制度にも加入することとなる場合が生じます。

 

この場合、両国の社会保障に二重に加入して保険料を負担しなければならなくなりますが、この二重払いの問題を解消するために導入されたのが社会保障協定です。

 

この協定を2国間で締結している場合はどちらかの国の制度への加入を免除できるような措置が取られています。

 

社会保障協定が締結されている相手国から、企業内転勤などにより日本法人や日本支店へと赴任する外国人は、条件により日本の社会保険の加入が免除される場合があります。

 

もちろん、社会保障協定の内容は2国間により異なりますので、出身国によって取り扱いは異なりますが、5年を超えない期間で日本に赴任する場合に免除の対象となることが多いようです。

 

社会保障協定を締結している国

2019年10月1日時点における、社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。日本は23ヶ国と協定を署名済で、うち20ヶ国は発効しています。

 

「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」は、日本とこれらの国の間のみで有効であることにご注意ください。
(注)イギリス、韓国、イタリア及び中国については、「保険料の二重負担防止」のみです。

 

協定が発効済みの国

ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルグ、フィリピン、スロバキア、中国

署名済・協定未発効の国イタリア、スウェーデン、フィンランド

(2019年10月現在)

 

協定によって免除される内容も異なります。年金だけ免除されるケースや健康保険だけ免除されるケース、両方免除されるケースとそれぞれですので、二国間の協定の内容は確認するようにしてください。

 

また、各国で特有の取扱いについては、それぞれ次のとおりです。
※社会保障協定の共通の取扱いをご理解されてからご確認ください。

 

 

わかりやすい社会保障協定締結状況mapはこちら

社会保障協定締結状況map

 

主要各国の年金制度

2019年9月2日現在

 年金制度への加入対象者老齢年金の受給要件
被用者自営業者無業の人受給開始年齢最低加入期間
日本加入義務あり加入義務あり加入義務あり(20歳~)

国民年金
65歳
厚生年金保険
男性62歳
女性60歳

10年
ドイツ加入義務あり職種により、加入義務あり加入義務なし65歳3ヶ月(※1)5年
英国所得により、加入義務あり所得により、加入義務あり加入義務なし男性 65歳
女性 62歳
(※2)
1年
※2016年4月6日以降に65歳を迎える人については10年
韓国加入義務あり加入義務あり加入義務あり(27歳~)61歳(※3)20年
アメリカ加入義務あり所得により、加入義務あり加入義務なし66歳(※4)10年
ベルギー加入義務あり加入義務あり加入義務なし65歳(※5)なし
フランス加入義務あり職種により、加入義務あり加入義務なし61歳2ヶ月(※6)なし
カナダ(OAS)
加入義務あり
(CPP)
加入義務あり
(OAS)
加入義務あり
(CPP)
加入義務あり
(OAS)
加入義務あり
(CPP)
加入義務なし
65歳老齢年金(OAS)
カナダ国内在住者10年
カナダ国外在住者20年
退職年金(CPP)なし
オーストラリア(SG)
加入義務あり
加入義務なし(任意)加入義務なし65歳(※7)10年(うち5年は連続)
オランダ加入義務あり加入義務あり加入義務あり65歳2ヶ月(※8)なし
チェコ加入義務あり加入義務あり一部加入義務あり(※9)30年
スペイン加入義務あり加入義務あり加入義務なし65歳2ヶ月(※10)15年(※11)
アイルランド所得により、加入義務あり所得により、加入義務あり加入義務なし66歳(※12)5年(260週)
(給付が2012年4月6日以後に開始される場合10年(520週)に引き上げ)
ブラジル加入義務あり加入義務あり加入義務なし男性 65歳
女性 60歳
15年
スイス加入義務あり加入義務あり加入義務あり男性 65歳
女性 64歳
1年
ハンガリー加入義務あり加入義務あり加入義務なし62歳6ヶ月20年
インド加入義務あり加入義務なし加入義務なし58歳10年
ルクセンブルク

加入義務あり

加入義務あり

加入義務なし

65歳10年
フィリピン加入義務あり加入義務あり加入義務なし

65歳
(退職していれば60歳)

フィリピン社会保障機構(SSS)による年金は10年
スロバキア

加入義務あり

加入義務あり加入義務なし

62歳6ヶ月(※13)

15年
中国加入義務あり加入義務なし加入義務なし

男性 60歳
女性 55歳または60歳(※14)

15年

 

 

随伴する配偶者及び子の取扱い

日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人は、国籍や滞在期間に関わらずすべて国民年金の被保険者とされます。

 

ですが、社会保障制度の適用がある国から日本に一時的に派遣された人が、引き続き相手国の社会保障制度に加入し、日本の社会保障制度の加入が免除されるという場合は、随伴して日本国内に居住する配偶者及び子についても、生計が維持されている場合は、日本の社会保障制度の加入が免除されます。

 

なお、この随伴する配偶者や子が希望する場合には、届出により被保険者となることができます。

 

 

社会保障制度加入免除の手続き

日本の社会保障制度への加入が免除されるためには、協定相手国の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を、協定相手国の適用証明書を交付する機関から受ける必要があります。

 

雇用主に協定相手国の適用証明書を発行する機関へ申請手続きを行ってもらってください。

 

  1. 協定相手国の実施機関に適用証明書の交付申請をします(来日前)
  2. 審査(※)の結果、申請が認められた場合には、実施機関は「適用証明書」を交付します。
  3. 日本の事業所に適用証明書を提出します(来日後)

※審査にて申請が認められなかった場合には、日本の社会保障制度に加入することになります。

 

年金事務所が提示を求めた時や調査の時などに、日本の社会保障制度に加入していない理由を尋ねてきた場合に、この証明書を提示してください。

 

適用証明書の発行には時間がかかることがありますので、赴任が決まったらできるだけ早い時期にあなたの母国の年金部署に同書類の発行を申請することをおすすめします。

 

なお、外国人の方を日本国内で採用した場合には、社会保障協定の対象外となりますので、日本の社会保険に加入することになることには注意が必要です。

 

社会保障協定について詳しくはこちら

日本年金機構 社会保障協定

 

■ご注意

この社会保障協定によって年金加入期間の通算が認められる相手国の外国人が、帰国後脱退一時金を受け取ると、その期間は、協定において年金加入期間として通算できなくなります。金額の計算をした上、受給を受けるかどうかしっかり考える必要があります。

 

 

脱退一時金についての詳細はこちら

外国人が帰国する際の脱退一時金

 

 

 

社会保障や年金につきましての詳細なご相談は行政書士事務所では承っておりません。最寄りの社会保険労務士、もしくは日本年金機構へお問い合わせ願います。ビザにつきましてのご相談に関しては下記よりお願い致します。

 

 

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