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就労ビザと高度専門職1号(ロ)ビザの違いを比較してみました
2024-02-11
就労ビザと高度専門職1号(ロ)の違いを比較してみました。
どちらのビザを取得したほうがいいですか、というご相談を外国人留学生や採用担当者様からよくいただきますので、ここではビザ専門の行政書士が2つのビザについて詳しく解説します。
就労ビザと高度専門職1号(ロ)ビザを比較してみました
日本の大学を卒業予定の方、または卒業した方で、一般的に就労ビザと呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」ビザと「高度専門職1号(ロ)」ビザのどちらを取得したほうが良いかというご相談をよくいただきます。
多くのメリットがあるのは「高度専門職1号(ロ)」ビザですが、このビザを取得するためには高度専門職ポイント計算表で70点以上のポイントを獲得する必要があります。また転職の際にビザ変更が必要という点に注意が必要です。次の比較表を見ながら違いを確認してみましょう。
就労ビザと高度専門職1号(ロ)ビザの比較表
就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」ビザ) | 高度専門職1号(ロ)ビザ | |
在留期間 | 5年、3年、1年、6月のうちいずれか | 5年 |
在留期間更新 | 可能 | 可能 |
ポイント制度による申請 | なし | 高度専門職ポイント計算表の70ポイント以上で申請可能 |
学歴要件 | 海外の短期大学士又は日本の専門士以上の学位を保有していること
※学歴要件を有さない場合は下記職歴要件をみたすこと | 学歴によってポイント加算あり |
職歴要件 | 学歴要件を満たさない場合は10年又は3年の職歴が必要 | 職歴によってポイント加算あり |
日本語能力要件 | 活動内容によってはN2以上が必要とされる場合があるが、要件ではない。 | 要件ではないが有資格者はポイント加算あり N1相当:+10ポイント N2相当:+5ポイント |
対象職種 | ・設計士 その他 | 「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当する活動と同義(ただし「国際業務」除く)。現業は不可。
上記活動に関連する事業の経営も可能 |
家族帯同・呼び寄せ | 可能 (配偶者及び子)
※親は不可 | 可能 (両親・配偶者の両親、配偶者及び子)
※親の呼び寄せは一定の条件をクリアする必要あり |
家事使用人の帯同・呼び寄せ | 不可 | 可能
※一定の要件をクリアする必要あり |
転職 | 可能 (「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当する活動で許された範囲内での転職に限る) | 可能 (ただし、転職する前に在留資格の「変更」許可申請で許可が必要。) |
将来の永住申請 | 可能 →10年在留(直近5年就労)で申請可 | 可能 ・80ポイント以上 →最短1年で申請可 ・70ポイント以上 →最短3年で申請可 |
申請時の疎明資料 | 就労予定企業のカテゴリーによる | 就労予定企業のカテゴリーによるが「技術・人文知識・国際業務」よりは多め |
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在留期間
「技術・人文知識・国際業務」ビザは審査により「5年」「3年」「1年」「3月」が付与されます。申請の際に「5年」を希望しても、会社の規模等によっては初回は「1年」の在留期間が付与されることが多いようです。
「高度専門職1号(ロ)」ビザは、許可された場合は必ず「5年」の在留期間が付与されます。
学歴要件
「技術・人文知識・国際業務」ビザは本国の短大卒以上、又は日本の専門学校卒以上の学歴が必要です。学歴要件を満たさない場合は、次の項目の職歴要件を満たす必要があります。
「高度専門職1号(ロ)」ビザは、ポイント計算表で70ポイント以上を満たすのであれば学歴要件は不問ですが、学歴に関するポイント加算要素が多いため、申請する方は大学等の学歴がある方がほとんどです。
職歴要件
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、学歴要件を満たさない場合は職歴要件を満たせば申請可能です。予定される職務内容によって、3年又は10年(多くは10年)の実務経験が必要です。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの場合、職歴要件は必須ではありませんが、実務経験年数によりポイント加算があります。
日本語能力要件
「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請に日本語能力は必須ではありません。ただし、予定される業務が翻訳・通訳等日本語能力が必要な業務の場合、実務的には日本語能力試験(JLPT)のN2程度を要求されることが多いようです。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの申請に日本語能力は必須ではありません。「技術・人文知識・国際業務」ビザと同様に日本語能力が必要な業務の場合、N2程度の日本語能力を要求されることもあるようです。なお、日本語能力N2相当以上の有資格者は、ポイント加算があります。
対象職種
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、卒業した学校で専攻した科目と関連性のある専門的で高度な業務に従事する必要があります。大学を卒業された方の場合、専門学校を卒業された方より関連性に関しては比較的緩やかに審査されます。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの場合も、基本的な考え方は「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合と同様です。「高度専門職1号(ロ)」ビザは予定される専門的で高度な業務と関連する事業を自ら経営することも可能です。
家族帯同
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、配偶者や子(養子含む)は「家族滞在」というビザで帯同又は呼び寄せることができます。ご家族は入管局から資格外活動許可を得ることで、1週間に28時間までアルバイトをすることができます。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの場合も、配偶者や子(養子含む)は「家族滞在」ビザで帯同又は呼び寄せが可能です。さらに「高度専門職1号(ロ)」ビザの配偶者は、企業等から内定をもらえれば「特定活動」ビザを取得してフルタイムで就労可能です。なお、こちらの「特定活動」ビザを申請するにあたり、配偶者の学歴や職歴は不問です。
そして「高度専門職1号(ロ)」ビザの大きなメリットの1つとして、一定の条件下で親を呼ぶことができることです。親は「高度専門職1号(ロ)」ビザの親のみならず配偶者の親でも可能です。詳しい要件等はこちらをご参照ください。
家事使用人帯同
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転職
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、本人の学歴や職歴と関連する業務に従事する場合は特にビザに関する申請をせずに転職自由です。ただし転職先の財務状況他の情報を入管局は把握していない為、次回更新申請は実質的には新規でビザを取得した時と同様の審査となります。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの場合、転職時には注意が必要です。本人の学歴や職歴と関連する業務に従事するとして転職する場合であっても、転職前に必ずビザの変更申請が必要です(更新申請ではありません)。その理由として、「高度専門職1号(ロ)」ビザは許可時にパスポートの指定書に就労可能な企業が記載されており、就労先が変わる際にはビザの変更が必要となるためです。
将来の永住申請
「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、原則は日本に10年以上在留し、永住申請の直近5年を就労していることが必要です。なお、配偶者が日本人や永住者である場合は要件が緩和される場合があります。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの方が永住申請をする場合、下記のような取り扱いとなります。
・現在高度専門職ポイント80点以上で、直近1年も継続して80ポイント以上 →最短1年で永住申請可能 ・現在高度専門職ポイント70点以上で、直近3年も継続して70ポイント以上 →最短3年で永住申請可能 |
将来永住権取得を視野に入れている外個人の方にとっては、高度専門職を取得することにメリットあると言えますが、「技術・人文知識・国際業務」ビザをお持ちの方であっても、過去のポイントを証明することができれば、「高度専門職ポイントを有する者」として、永住申請をすることができます。
つまり、高度専門職ビザへわざわざビザの変更をしなくても「みなし高度専門職」として永住申請することが可能です。詳しくは専門家にお問合せください
みなし高度専門職から永住申請のお問合せはこちら
転職手続きが面倒であることのメリット?
外国人で特に優秀な方の場合、条件の良い企業からのオファーがあれば転職することにほとんど抵抗がありません。
ですが、企業様にとってせっかく採用した優秀な外国人材がすぐに離職してしまい定着しないことは損失であり大きな悩みの1つでしょう。
「高度専門職1号(ロ)」ビザの場合、転職する場合は転職前にビザの変更手続きを経て許可を取得する必要があるので、僅かながら離職の抑止力となり得るかもしれません。
企業様によっては通常の就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」ビザの手続きは慣れていても、「高度専門職1号(ロ)」ビザについてはあまりご存じないということがありますが、上記の観点から外国人から希望があった場合には「高度専門職1号(ロ)」ビザ取得を検討してみるのもよいかもしれません。
なお、「高度専門職」ビザからは日本の永住権も短期間で申請できるので、永住許可取得後は、自社での配置転換も容易になるというメリットもあります。 |
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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