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外国人雇用と雇用契約書作成時の注意点(サンプル付)

2018-12-18
  2021-05-13

外国人の採用が内定したらまず「雇用契約書」を作成します

 

 

普段日本人を採用する際に作成する雇用契約書とは、内容的には似ているかもしれませんが、注意するポイントが少し異なります。

 

労働法規を遵守したものであることは言うまでもありませんが、外国人採用の際には以下のようなことに気をつけて、雇用契約書または労働条件通知書を作成してください。

 

 

雇用契約書サンプル

 

雇用契約書や内定通知書を出す理由

雇用契約書を作成する理由としては以下のようなものがあります。

 

  1. 外国人と雇用契約を交わし労働条件を理解してもらうため
  2. 就労ビザ申請の際に、出入国在留管理局にコピーを提出する必要があるため

 

上記の理由から、口頭での契約は論外となります。必ず書面にて雇用契約を締結し、可能である限り日本語の雇用契約書に加え、その外国人が理解できる英語や母国語で翻訳文を作成の上、両方の書面を外国人本人に渡してください。

 

最近では外国人本人に審査官が電話調査を行うことがあり、この調査で雇用契約書と矛盾が生じる回答をすると審査にかなり悪影響が及びます。「外国人は契約内容について把握してませんよね」ということで不許可になることもあります。

 

労働条件通知書または雇用契約書は、出入国在留管理局が外国人が従事することとなる業務や雇用期間、給与額、労働・社会保険への加入の有無などの雇用条件を審査する際の大切な判断書類です。ビザ申請時に提出する他の書類と矛盾のない業務内容その他の記載が求められるところです。

 

なお、出入国在留管理局に雇用条件を申請する書類としては、雇用契約書、労働条件通知書のどちらでも構いません。

 

 

雇用契約書に明示しなければならない項目

 

必ず書面で明示する必要がある項目(書面を交付)

次の項目は、必ず雇用契約書に記載して、本人に配布しなければならない項目です。

・就業場所
・従事する業務
・労働契約の期間
・賃金額(計算や支払い方法、締め切り及び支払いの時期に関すること)
・始業、終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する事項
・時間外労働の有無
・退職に関する事項

 

必ず書面で明示する必要がある項目

・昇給に関すること

雇用会社の就業規則で決まりがある場合に明示しなければならない項目

次の項目は明示しなければならないですが、明示の方法は雇用契約書の配布の他、口頭あるいは該当する項目が記載されている就業規則を渡すことでも可能です。

・職業訓練に関する事項
・安全衛生に関する事項
・退職金支払いの規定がある場合、その規定が適用される労働者の範囲や退職金の決定、計算、支払い方法、支払時期
・退職金以外の臨時的な賃金
・賞与に関する事項
・最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
・災害補償や業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰、制裁に関する事項
・休職に関する事項

 

記載内容で特に注意すべき点

 

雇用契約書には会社・外国人両方の記名(署名)押印が必要です。

 

内定通知書や労働条件通知書には外国人の署名・押印は不要です

 

その他雇用契約書作成時に特に注意すべき点につきましてこれから説明していきます。

 

給与

給与に関しては、同じ業務をする日本人と同等以上にする必要がありますのでご注意ください。同じ業務をする日本人がいない場合や、他に従業員がいないような場合には、同地域で同じ業務に従事する他社の日本人と同等程度の賃金とする必要があります。

 

また、派遣社員に限らず、正社員で雇用する場合であっても時給換算した場合に最低賃金を下回っているようですと、そもそも労働法規に違反することになりかねませんし、もしその金額を日本人にも支給しているとなると別の問題も発生しかねませんので注意が必要です。

 

例えば東京で就労ビザを申請するための雇用契約書に「月給15万円、昇給・賞与なし」と記載した場合に、本当に他の日本人もその条件で雇用しているのか?と疑義を持たれるのはもちろんのこと、そもそも時給換算で最低賃金を下回っている場合には申請が受理されません。

 

万が一受理されたとしても、審査の過程で最低賃金を割っていることや、他の日本人就労者より賃金が低いことは発覚しますので、その場合に就労ビザが交付・許可されることはありません。日本人と同等かそれ以上の賃金であることは必要最低条件となります。

 

以前は日本人を雇用すると給料が高いから、安く雇用できる外国人を雇用しようと考える雇用主の方が多かったかと思いますが、そのような考え方はこれからは通用しません。外国人からすれば、日本でなくてはならない理由などなく、場合によっては韓国でもシンガポールでも日本より条件がよい国がたくさんあります。

 

これからは外国人を雇用してあげているというマインドから、日本で働くことを選択してくれた外国人を雇用するというマインドに変えていく必要があると感じています。同時に長く務めてもらうために雇用環境を整えていくことも大切な時代かと思います。

 

最低賃金の動向は常にチェックを!

 

2019年10月時点の最低賃金は、東京都では1013円、神奈川県では1011円です。時給換算でこれを下回る給与では労働法規に抵触するため、許可が下りない可能性が高いです。その他残業や休日出勤等の割増賃金にもご注意ください。

 

 

 

報酬について

報酬とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」とされています。これは入管法上、ビザを取得するための報酬の考え方なので、社会保険制度上の考え方とは定義が異なります。

 

■報酬に含まれるもの

・基本給

・賞与

・資格手当

・役職手当

基本的な考え方としては、課税対象となるものは報酬に含まれると考えられます。

 

■報酬には含まれないもの

・通勤手当

・扶養手当

・住宅手当

・残業手当(流動的で確定的ではないものは報酬には含まれません)

 

 

 

職務内容

職務内容につきましては、ここで記載した職務内容が、申請人の学歴や履修科目と関連性があることはもちろん、添付する理由書や申請書類と矛盾がないような記載があることが大切です。ここに記載していない職務内容を理由書の中で述べても意味がないどころか、矛盾点を入管から指摘されかねませんので、ご注意ください。

 

そして誰が読んでも誤解の余地を与えないような記載が必要です。業界だけで使われている言葉や、専門用語を列記しても、入管の審査官に通じなければ意味がありません。できるだけ具体的な表記にするようにします。

 

過去に自己申請をした方で、職務内容に生産管理とだけ書いて不許可になったという話を聞きました。ここの書き方ひとつで審査官の審査を大きく左右します。

 

また、「~の業務全般」や「~の関連業務」さらには「マーケティング業務全般」という記載も抽象的で入管職員には伝わらないかと思います。マーケティング業務などは一見業務内容として正当かと思われますが、さらに具体的に、例えば「海外メディアxxを分析・解析することによるマーケティング業務」とすることで、審査官がイメージしやすくなりよい結果につながりやすくなります。

 

研修

入社後に短期の現場実習や研修がある企業も多いのではないでしょうか。その場合、必ず雇用契約書に明記してください。現場での現業仕事は原則禁止されている在留資格がほとんどですが、職務上必要と認められる短期間の研修の一環であれば許されていますので、雇用契約書にその旨を記載し、さらに別途研修内容やスケジュールを添付するとよいでしょう。

 

2020年のガイドライン変更により、現場研修につき、日本人就労者も同様に現場研修を受け、それが外国人就労者の長期的なキャリアプランの上で必要であったり、本来の職務に就くにあたり必要不可欠な経験であるような場合には、1年程度の現場研修が認められる可能性があります。

 

また、1年を超えて実務研修がある場合、詳細な研修スケジュールがある場合には認められうる可能性があります。ただし、上記の場合も含めて、1年以上の実務研修を経て技人国業務へ着く場合には、3年や5年の在留期間を希望しても、入管において研修実施状況の確認をするため、当初は1年の在留期間しか出ません。長期間のビザが出るものと期待されませんようにお願いします。

 

実務研修について詳しくはこちら

技人国ビザでの実務研修

 

停止条件

雇用契約書には、「本契約は日本政府により入国(在留)許可されない場合は発効しないものとする」という趣旨の文言を入れることが賢明です。すでに日本に在留する留学生から就労ビザへ変更の場合であれば、「在留資格変更が許可されない場合」など、適宜文言を変えてください。

 

これは法律的には「停止条件」といい、許可された場合に初めて効果が生じるという性質の契約です。外国人に対しては就労ビザ取得が入社の条件であることを示すことができ、入国管理局に対しては不法就労に加担しないという会社のスタンスを示すことができます。

 

「許可がでなかったら雇用しないなんてことが許されるの?」という方がいますが、停止条件付の契約は外国人雇用では一般的に行われており、禁止されているものではありません。この例えが適切かどうか分かりませんが、調理師免許取得が採用の条件であるレストランに、調理師免許が取れなかった場合には採用しません、という条件を付けることはごく自然なことかと思います。

 

具体的には次のような文言を雇用契約書内に記載することで、留学生がビザを取得できなかった場合には、雇用契約の効果は発生しませんということが担保されます。
 
 

 

停止条件

 

例1:本契約は在留資格及び在留期間について日本国法務省による許可を条件とする

(This contract shall be subject to the Employee’s having a proper working visa and stay permission in accordance with Immigration Laws in Japan)

 

例2:この雇用契約は、日本政府の正当で就労可能な在留資格の許可または在留期間の更新を条件として発効する

(This agreement shall take effect on receipt from Japanese government of work and residence permission or renewal of that permission.)

 

社会保険・労災など

 

外国人の社会保険の適用についてはこちら

外国人の社会保険適用

 

外国人の労災保険の適用についてはこちら

外国人の労災適用

 

雇用契約書と労働条件通知書の違い

どちらも労働者に対して明示しなければならない事項は実は同じで、上記でお伝えしたような事項を明示する必要があります。

 

それではどこが違うかと言うと、雇用者と被雇用者が双方署名・捺印をする必要があるかないかということです。つまり双方の合意で成立するか、一方からの通知かという違いです。

 

労働条件通知書

労働条件通知書は文字通り「通知書」ですので、雇用主が法律に基づいて一定の労働条件を書面にて被雇用者である外国人に配布するものです。一方通行的な通知書です。

雇用契約書

一方で雇用契約書は、労働条件について雇用主と被雇用者である外国人が合意をしました、という証明として書面に双方の署名・捺印をしたものを2通作成し、それぞれが1通ずつ保有するという双方の契約書です。

 

労働基準法では労働条件通知書を書面で配布することは義務づけていますが、雇用契約書を取り交わすことまでは義務付けていません。ですので、ビザ申請で入管に提出する書類もどちらでもよいことになっています。

 

ただし、当事務所では労働条件通知書より、雇用契約書の締結を推奨いたします。お伝えした通り、通知書は一方通行的な通知なので、就労者が同意しているということが必ずしも反映されていません。

 

将来的に雇用者・被雇用者が長期に渡ってよい関係を築いていくにあたって、当初の労働条件に付き被雇用者が労働条件を確認し同意したうえで働くことには意味があると考えます。

 

外国人はただでさえ転職に対するハードルが低いので、就職時に「そんな話は聞いてなかった」ということがあると転職する意思に拍車がかかります。できる限り雇用契約書を締結するようにしましょう。

 

 

募集・採用・労働契約にあたって、付けてはならない条件等

 

社労士の先生などに一任している場合にはまず問題ないかと思いますが、雇用契約締結前の募集や採用、採用後の労働契約にあたって、記載してはならない条件があることをご存知でしょうか?

 

もちろんご存知の方も多いかと思いますが、法律も日々改正され、例えばひと昔前の求人では記載できた事項が現在では記載することができない事項があります。おさらいのつもりで、下記の付けてはならない条件等をご確認ください。

 

■精神又は身体を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制すること
■法律に基づいて許される場合を除き、業として他人の就業に介入して利益を得ること
■「会社を途中で辞めた場合は違約金をいくら払う」「機械などを壊した場合は損害賠償金をいくら支払う」というように、あらかじめ損害賠償の金額を決めておくこと
■給料の中から毎月積立貯金をすることを条件とすること
■労働契約の期間を定める場合、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き3年(次の①②の場合は5年)を超える期間とすること
①専門的な知識、技術又は経験であって高度のものを有する労働者が、その高度な専門的知識等を必要とする業務に就く場合
②満60歳以上の労働者を雇い入れる場合
■労働組合に入らないこと、つくらないこと、又は既に入っている組合からの脱退を条件とすること
■一の雇用管理区分において、募集・採用の対象から男女のいずれかを排除したり、女性に対してのみ未婚、子どもがいないことなどの条件を付けること
■年齢制限を設けること(厚生労働省令で定める例外を除く)
■障がい者であることを理由として、募集・採用の対象から排除したり、障がい者に対してのみ不利な条件を付けること

など

 

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労働条件通知書サンプル

上記で説明したように、雇用契約書、労働条件通知書ともに記載すべき事項は同じです。内容的には冒頭の雇用契約書サンプルで十分ですが、下記に厚生労働省で掲載されている労働条件通知書のサンプル(8か国)をご紹介します。こちらをご自分の会社の規定などに合わせて適宜変更の上、労働条件通知書や雇用契約書を作成することもできますのでご利用ください。

 

労働契約通知書サンプル

 

英語版
中国語版
ベトナム語版

韓国語版
タガログ語版

インドネシア語版
スペイン語版
ポルトガル語版

 

 

 

雇用契約書作成にあたっては、労働法規に則った記載が必要です。記載項目につきましては上記サンプルのもので十分ですが、記載内容には細心の注意が必要です。労務関連の詳細につきましては、顧問先の社労士の先生などにご相談されることも一つの方法です。就労ビザ取得の観点からのアドバイスは、就労ビザに詳しい行政書士にお問い合わせ下さい。

 

 

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