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高度専門職ビザを取得した場合の7つのメリット
2019-01-27
2024-08-28
高度専門職ビザを取得した場合のメリットについて相談されることがよくあります。
ここでは高度専門職ビザを取得することで受けられる7つのメリットについてビザ専門の行政書士が説明します。
高度専門職ビザを取得した場合の7つのメリット
高度専門職ビザとは?
まずはかんたんに高度専門職ビザについての説明をします。
高度専門職ビザとは優れた外国人を日本に受け入れることを促進するために設けられた制度で、入管法に定められているビザ(在留資格)のひとつです。学歴や職歴、年収などがポイント制となっており、累計で70ポイント以上獲得することで取得することができます。
この高度専門職は1号・2号に分かれます。1号についてはさらに「イ」「ロ」「ハ」の3種類に分かれています。
高度専門職1号とは
高度専門職1号は、法令で定められている基準に適合する者が行う以下のいずれかに該当する活動であって、日本の学術研究や経済の発展などに貢献することが見込まれるものをいいます。高度専門職ビザは、その活動内容によってイ・ロ・ハの3つに分かれます。
■ 1号イ 公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又はその活動と合わせて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくはその期間以外の日本の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動 |
■ 1号ロ 公私の機関との契約に基づいて自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又はその活動と合わせて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 |
■ 1号ハ 公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い、若しくはその事業の監理に従事する活動又はその活動と合わせて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 |
高度専門職1号の種類 | 相当する活動と就労ビザ |
高度専門職1号「イ」 | 高度な学術研究活動 「教授」「研究」「教育」 |
高度専門職1号「ロ」 | 高度な専門・技術活動 「技術・人文知識・国際業務」(※)
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高度専門職1号「ハ」 | 高度な経営・管理活動 「経営・管理」 |
※思考や感受性のレベルの工程をポイントで測ることが困難であるため、「国際業務」の部分は相当する活動に含まれません。
高度専門職2号とは
高度専門職2号ビザは、高度専門職1号ビザをもって一定期間在留した外国人を対象とし、活動制限を大幅に緩和したものです。在留期限が無期限となる、高度で専門的な能力を有する外国人材の受入れを促進するためのビザです。
高度専門職1号ビザの活動を行った方で、その在留が日本の利益に資するものとして規定されている基準に適合するものが行う次の活動です。
■高度専門職1号の活動と併せて、ほぼすべての就労ビザで許されている範囲の活動 |
高度専門職1号の7つのメリットとは?
高度専門職ビザは入管法で定められている在留資格の1つですが、ここ最近取得者が増えています。
その理由に、最近高度専門職ビザを取得するためのポイント要件が緩和されたことはもちろんですが、なんといっても他のビザにはないメリットが7つもあるからです。
ここではこの7つのメリットの中身を確認するとともに、優遇されるための要件とはどんなものかチェックしてみましょう。
高度専門職1号ビザ7つのメリット
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メリット1.複合的な在留活動の許可
本来、「在留資格」とは、許可された1つのビザで認められた活動のみを行えるというものです。在留資格以外の活動を行うためには、わざわざ資格外活動の許可を得なければならず、その許可がなければ違法活動となってしまいます。
ところが、高度専門職で許可されている職業の中で複数にまたがって活動することができます。例えばIT企業を経営しながら、大学でIT分野の研究を行うことできるなど、複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。
その他の例としては、例えば「研究」ビザで在留する外国人が研究成果を生かしてベンチャー企業を経営するとなった場合、通常は資格外活動許可という許可を受けて活動する必要があります。これが高度専門職の方は、資格外活動許可やビザの変更許可を受けなくても、複数のビザに該当する複合的な活動を行うことができます。
メリット2.在留期間「5年」の付与
たとえば「経営・管理」という在留資格では、許可される在留期間は「5年、3年、1年、4か月、3か月」となっています。初めて在留資格を申請したときに、いきなり「5年」を認められることはまずなく、通常は数回の更新を経て、ようやく「5年」が認められることになります。しかし、高度専門職では最初から「5年」が認められます。
メリット3.永住許可要件の年数緩和
通常、永住許可の申請をするには10年以上日本に在留することが求められますが、高度専門職では条件が3年に短縮されます。高度人材の中でも特に高度とされる在留資格の申請はポイント80点以上の方の場合は、高度外国人材として1年間日本で活動するだけで、永住許可申請をすることができる対象となるのです。
さらに詳しく言えば、以下のように高度専門職ビザを取得しなくても、高度専門職に該当していたと認定されれば、永住取得のための在留年数が緩和されます。
”3年以上継続して日本に在留している方で、永住許可申請日から3年前の時点を基準としてポイント計算を行ったところ、70点以上の点数を有していたことが認められること。” |
(なお、「帰化」については出入国管理上の優遇制度の対象になっておりません。)
メリット4.配偶者の就労
原則として、「家族滞在」ビザを取得して入国する配偶者は働くことができません。資格外活動許可を取得することで、1週間につき28時間までアルバイトをすることは可能ですが、フルタイムで就労することは許されていません。
しかし高度専門職の資格を持つ人の配偶者は、学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも、「技術・人文知識・国際業務」や「教育」ビザなどに該当する活動を行うことができますので、詳しく説明します。
特定活動(高度専門職の配偶者のビザ)
高度専門職ビザの方の配偶者が、もし日本でフルタイムで勤務を行う場合には、「特定活動」ビザを申請することが可能です。具体的には「家族滞在」ビザから「特定活動」ビザへの<在留資格変更許可申請>という申請をすることになるかと思います。
この「特定活動」ビザを取得するための条件は、以下の4つです。
特定活動ビザ取得の4つの条件
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それぞれ見ていきましょう。
1.高度専門職の方との婚姻関係があること
婚姻関係は法律婚である必要があり、事実婚は該当しません。在留資格変更申請時に婚姻届受理証明書や結婚証明書(写)を入管へ提出します。
2.高度専門職の方と同居していること
こちらは単身赴任で地方や海外へ高度専門職を持つ方が転居するような場合や、夫婦の関係悪化により別居状態が続く場合など、別居が発覚した場合には特定活動ビザが取消の対象となります。
3.日本で就職先が内定し、契約内容を証明できること
通常、企業で働くいわゆるホワイトカラーの外国人の方は、「技術・人文知識・国際業務」ビザというものを取得して働いていますが、その場合、10年の職歴や大学で専攻した内容と関連している必要があります。ですが、この「特定活動」の場合は優遇措置があり、職歴や学歴が問われません。就職先が決まり、雇用契約書などを交わしていることが必要ですが、大学卒ではなくても取得可能です。
なお、該当する就労活動は、以下の就労ビザの活動に限定されていますので、いわゆる現業(現場での立ち仕事など)はすることはできません。
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 興行(演劇等の活動以外の芸能活動)
4.日本人が受ける報酬と同等額以上であること
このビザに変更した場合には同じ業務に従事する日本人と同等以上の給料を受ける必要があります。家族滞在ビザの場合とは異なり、こちらはフルタイムで働くことのできるビザなので、28時間以内という就労制限や、収入の上限もありませんので、ご安心ください。旦那様の収入を超えてしまっても問題ありません。
以上の4点をクリアすることができれば、「特定活動」ビザへの変更申請をすることができます。
メリット5.親の帯同が可能
以下のいずれかの目的で下記の要件を満たす場合、親を母国から連れてくることができます。
目的
- 高度人材外国人又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます)を養育する場合
- 高度人材外国人の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合
要件
- 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上であること(高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます)
- 高度人材外国人と同居すること
- 高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの親に限ること
子どもが7歳の誕生日を迎えたら??
このビザの要件の1つは7歳未満のお子さんの養育が3か月以上必要なことです。つまり、一番下のお子さんが7歳未満でなくなった場合には、次回のビザ更新はできません。長期間を日本で過ごされた場合、親御さんのその後のライフプランにも大きくかかわってきますので、長期的なプランを事前に考えてから呼び寄せるようにしましょう。
もちろん、一番下のお子さんが7歳の誕生日にご両親が帰国しなければならないわけではありません。 |
メリット6.家事使用人の帯同が可能
以下の①~③のいずれかの要件を満たす場合、家事使用人を帯同することができます。
①外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合の条件(入国帯同型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材外国人に雇用されていたものであること。
- 高度外国人材が先に本邦に入国する場合は,帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用され,かつ,当該高度外国人材が本邦へ入国後,引き続き当該高度外国人材又は当該高度外国人材が本邦入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
- 高度人材外国人が本邦から出国する場合、ともに出国することが予定されること
②①以外の家事使用人を雇用する場合(家庭事情型)
- 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上あること
- 帯同する家事使用人が1名であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者有すること)が存在すること
③ 投資運用業等に従事する金融人材が家事使用人を雇用する場合(金融人材型)
- 金融人材の世帯年収が1,000万円以上あること
- 帯同できる家事使用人は2名まで(ただし,2名の場合は,世帯年収が3,000万円以上の場合に限る。)
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
メリット7.入国・在留手続の優先処理
「在留資格認定証明書の交付申請(いわゆる入国の事前審査)」の場合には、10日以内に申請が処理されます。「在留資格更新申請・変更申請(いわゆる在留審査)」では、5日以内となっています。これは2週間から3か月ほどかかる通常のビザと比べて、相当優遇されているといえます。
ただし実務的には通常の就労ビザよりも審査期間は短いとはいえ、1カ月程度を要することも多くあります。
高度専門職2号のメリットとは?
- 高度専門職1号の活動と併せてほぼすべての就労資格の活動を行うことができます
- 在留期間が無期限となります
- 永住許可要件の年数が緩和されます
- 配偶者が就労しやすくなります
- 親の帯同が可能です(1号と同じく一定の要件があります)
- 家事使用人の帯同が可能です(1号と同じく一定の要件があります)
- 在留手続きを優先的に処理してもらえます
(3~6については1号高度専門職ビザの優遇措置と同じ内容です。)
特別高度人材の方は更なるメリットが!
2023年より、学歴や職歴及び年収が一定の条件をクリアすると、ポイントを満たさなくても「高度専門職1号」が付与されることとなりました。
この方は特別高度人材として、通常のポイント制の優遇措置に加え、下記の拡充したメリットを受けることができます。
※①:13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することのできない配偶者を有すること、又は外国で継続して1年以上雇用していた家事使用人を引き続き使用すること、という従前の条件を課されません。 |
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この記事を書いた人
![]() 金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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