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外国人雇用と日本人雇用との7つの違いについて
2018-11-27
まず一番の違い。それは、「外国人は就労可能なビザがなければ働くことができない」ということです。
これはもちろんあなたもご存じかと思います。ただこのほかにも日本人雇用との違いが6つあります。外国人を採用される前に知っておきたくないですか?
日本人雇用との7つの違い
外国人雇用において、日本人に通常適用される労働基準法、最低賃金法、健康保険加入や労災保険などは同じく外国人社員にも適用されます。
それでは外国人社員を雇用する際に、日本人雇用とは異なるところはどこでしょう?
「7つの違い」を列挙しましたので、雇用前、そして雇用後の参考にしていただければと思います。
就労可能なビザを持っていないと働くことができない
まず1つ目の違いは、冒頭でお伝えした通り、外国人は就労可能なビザを持っていなければ働くことができないということです。日本人であれば、雇用主と応募者、双方の意思の合致があれば基本的には雇用契約が成立しますが、外国人雇用に関してはそれに加えて就労可能なビザの取得が欠かせません。
海外から呼び寄せる場合や、転職、他のビザから就労可能なビザに変更する場合は、必ずあなたの企業で働くことのできるビザの取得が必要不可欠です。
いずれの場合も一番の基本は学歴と職種がマッチしていること、もしくはその仕事に就くために必要な経歴を満たしていることです。
ただし、以下の2つの場合は条件をクリアしていなくても就労が可能です。
1.身分系と呼ばれるビザをお持ちの外国人 2.就労不可であっても、「資格外活動許可」を別途取得している場合のアルバイト活動 |
身分系のビザとは、「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」の4つのビザです。
就労可能なビザを持っていても許可された範囲を超えて働くことができない
2つ目ですが、これには注意が必要です。
日本人の感覚では雇用した従業員の人事異動は自由ですよね。むしろ異動がないほうが不自然という感覚かもしれません。ですがその延長で、もしくはキャリアプランとして外国人を異動してしまうと取り返しのつかないことになりかねません。
どういうことかというと、就労ビザは雇用する企業と雇用する外国人の両方の審査を経て許可が下ります。その際に下りた許可は、外国人の学歴とマッチした職種に対して下りた許可であるので、他の職種であったら許可が下りていなかった可能性があるのです。
【例】 ・貿易事務として取得したビザでは経理業務をすることはできません |
このあたりの線引きは実務上微妙なこともあるかもしれませんが、許可された範囲を超えて働いてしまうと不法就労となってしまいます。そして、外国人本人のみならず、雇用主も罪に問われる可能性がありますので、十分にご注意ください。もし許可された範囲を超えて外国人に働いてもらいたい場合はかならず「変更申請」をしてビザの種類を変更するようにしてください。
知らなかったという弁明が通じないのは、昨今のニュースをにぎわせている、不法就労者を雇用していた大手企業の例を見るまでもなく明らかです。
もし思い当たることがあったり、線引きが分からない等心配な点がありましたら就労ビザの専門家までお問い合わせください。
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不法就労者を雇用した雇用主が罪に問われる可能性がある
3つ目ですが、これも外国人雇用特有です。
2つ目でもお伝えした通り、不法就労者を雇用した雇用主も罪に問われる可能性があります。「不法就労助長罪」という罪で、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。
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一定の学歴がない場合、経歴なしには働くことができない職種がある
日本で専門学校や短大、大学(院)を卒業していれば、学歴要件を満たすことになり、専攻した科目と業務に従事する内容が関連付けられれば就労ビザは取得できます。
そして、日本の専門学校、短大、大学(院)を卒業していない場合、母国で大学(院)を卒業して入れば、日本での学歴は不要であることが通常ですが、例外があります。
それは、海外で大学卒業という卒業証書があったとしても、日本の大学相当とみなされない場合、学歴要件を満たさず、就労ビザを取得するための要件を満たさないので不許可となります。
具体的には各国の学校系統図などで確認することが必要ですが、例えば中国の場合に、大学でも「専科」と「本科」があります。そして大卒であるにもかかわらず許可が下りなかったというケースは、この「専科」を卒業というケースが多いのです。
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日本でいう大学卒業相当とは「学士」を取得していることと言い換えられるので、海外でもDiplomaなど学士相当に該当することを事前にご確認ください。
また、学歴要件を満たさない場合に、職歴が証明できれば就労ビザを取得できる場合があります。この場合、多くは10年以上の職歴が必要ですが、この職歴で就労ビザを取得することは困難であることを覚えておいてください。
多くは「在職証明書」という母国の企業で働いていましたという証明書を提出することになりますが、この書類の信ぴょう性が希薄であったり、偽造も多いことから、この書類のみでは疎明資料として弱いと言えます。
ですので補強書類として信ぴょう性を高める必要が生じることと、そもそも働いていた企業や店舗と電話連絡がつかない場合や倒産している場合には証明書を発行することさえできないので、実際に勤務していたとしても在職証明書が提出できず、申請が受け付けられない可能性があります。
はじめての方専用ダイヤル
単純労働をすることができない
単純労働というと語弊がありますが、出入国在留管理局が考える「現業:現場での業務、立ち仕事」をイメージされてください。
例えばこれには建設現場での作業員や、コンビニエンスストアでのレジ打ち、清掃業務などが該当します。これまでの入管法では正面からこれらの業務をすることができるビザ(在留資格)は用意されていませんでした。
ただ2019年の法改正により、「特定技能ビザ」という新しい就労ビザが新設され、特定の14分野につき現業をすることが一部可能となっています。
特定技能ビザについて詳しくはこちら
また、以下のようなビザをお持ちの場合、現場での就労が可能な場合があります。
・「留学ビザ」「家族滞在ビザ」:資格外活動許可を取得することで、1週間に28時間までアルバイトをすることができます。こちらは、風俗業を除く現業をすることが可能です。
・「技能実習ビザ」:定められた分野で、実習実施機関の中で特定の作業をすることができます。しかしながらこちらは就労ビザというよりは、文字通り日本で技能を実習し、修得することで母国に技能を持ち帰り移転することが目的です。最大5年まで日本に滞在することができますが、技能実習2号、技能実習3号で受け入れることのできる分野が決まっています。
・「身分系ビザ」:こちらは具体的には「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」そして「特別永住者」のことで、これらのビザをお持ちの外国人の方は、日本人と同様に、風俗業を含めたあらゆる仕事をフルタイムですることができます。
入管法に該当するビザがない職種での就労ができない
こちらは例えば外国人が日本の製菓の専門学校へ入学し、パティシエの勉強をしたとします。ですが専門学校卒業後、この外国人は該当するビザが用意されていないので、日本で働くことができません。
これは他にも理容師、エステティシャンや栄養士、保育士等にも該当しますが、専門的・技術的素養を身に付けたとしても、現在の制度上、当てはまるビザがないためにその後日本で就労することができません。
母国語・英語などお互いが理解できる言語で用意する必要書類がある
これはいくつかありますが、雇用契約書や就業規則は外国人本人が理解できる言語で書かれていることが望ましいです。大手の企業でも就業規則まですべての言語で対応まではできていないかと思われますが、それほど高難度なものまでは必要ありません。せめて英語でかかれたものだけでも用意できれば、そこからの母国語への翻訳は比較的容易な場合もあります。
とくにトラブルとなることの多い以下の点については、双方が納得して契約するように留意されてください。
1.基本給、時間外労働の賃金、賞与、昇給 2.年次有給休暇の取得時期や取得方法、取得率 3.有期雇用契約の場合の契約期間、契約の更新があるかどうか、何カ月前に通知するのか |
また、以下の2つの条項は必ず入れておくようにすることが望ましいかと思います。
1.秘密保持契約 2.停止条件 |
1.の秘密保持契約は在職中及び退職後に職務を通して知りえた情報・秘密を保持する一般的なものですが、2.の停止条件とはなんでしょう?これは、通常企業と外国人はビザの取得や更新がされる前に雇用契約を締結したり、内定を出したりします。つまり、雇用契約締結後に外国人はビザの申請をすることになりますが、この申請が許可(交付)となる保証はありません。
そのような場合、雇用契約書に「この雇用契約は、日本政府の正当で就労可能な在留資格の許可または在留期間の更新を条件として発効する」とう文言を入れるのが普通です。つまり「ビザが出たら雇用します」という条件です。これを停止条件と言います。
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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