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外国人に支払う賃金や報酬は日本人と同等以上?
2020-01-27
2020-10-15
賃金や給料といった名称にかかわらず、労働の対価として雇用主が労働者に支払うすべてのものは労働基準法でいうところの「賃金」です。
そして、このことは外国人労働者に対して賃金を支払う場合にもあてはまります。
ここでは日本で就労する外国人の賃金(報酬)についてかんたんに説明しています。
賃金支払いの原則
日本で働く外国人にも、労働基準法は日本人と同じように適用されるので、労働の対価として雇用主が支払う賃金について同様に扱われます。
退職金や結婚祝い金なども、労働契約、就業規則、労働協約等であらかじめ支給条件が明らかなものについては、ここでいう賃金に該当します。
この賃金が確実に支払われるように、労働基準法では次のような賃金支払いに関する原則を設けています。
賃金支払いの5つの原則
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それぞれ見ていきましょう。
1.通貨払いの原則
賃金は、通貨(現金)で支払うことが原則です。法令又は労働協約で別に定めがある場合は通貨以外で支払うこともできます。
賃金の口座振込は、次の要件を満たす場合には可能です。
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退職手当については、労働者の同意がある場合には、振込のほか小切手、郵便為替でも支払うことができます。
2.直接支払いの原則
賃金は、労働者本人に直接支払うのが原則です。労働者が任意に頼んだ代理人や法定代理人(親権者など)には支払えないので注意してください。たとえ未成年者であっても、親や後見人が代わって受け取ることはできません。
3.全額払いの原則
賃金は、支払期が到来しているものについて、全額支払うのが原則です。税金、社会保険料、雇用保険料など法令で別に定めがある場合や労使協定がある場合は、賃金の一部を差し引くことができます。
4.毎月1回以上払いの原則
賞与など臨時のものを除き、賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。
5.一定期日払いの原則
賞与など臨時もものを除き、賃金は期日を決めて支払わなければなりません。
平均賃金について
こちらはすこしややこしいお話になるので、お時間のある時にお読みください。
どういう時にこの平均賃金の算出が必要になるかというと、使用者の都合で休業にした場合などがあてはまります。この場合、平均賃金の60%以上の休業手当を労働者に支払わなければなりません。
平均賃金 =【事由発生日以前3か月間に支払われた賃金総額】÷【事由発生日以前3か月の総日数】
賃金から除外されるものは、臨時に支払われた賃金(退職金など)、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与)などです。
総日数から除外されるものは、業務上の傷病による休業期間、産前産後休業期間、使用者の責めによる休業期間、育児休業期間、介護休業期間、試用期間です。
日給、時間給、出来高払制その他の請負制の場合には、次の最低保証があります。
【事由発生日以前3か月間に支払われた賃金総額】÷【その期間中の労働日数】x60%
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最低賃金
最低賃金制度とは、最低賃金法という法律に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならない制度です。
ひと昔前は、外国人労働者の方を安い賃金で働いてもらうことのできる労働力という考え方があったかもしれません。しかし現在では外国人労働者に対する法制度も整備され、ビザを取得する際にも外国人の給与に関しては入管職員がかなり目を光らせています。
一部で、最低賃金を下回って外国人を不法に働かせている報道などを耳にしますが、発覚した場合には外国人はもとより、雇用主も罪に問われますので、くれぐれも最低賃金よりも安く雇用しようという考えを持たないようにしてください。
具体的には不法就労の外国人を雇用した雇用主は、その事実を知っていたか否かにかかわらず、不法就労助長罪に問われます。3年以下の懲役又は300万円以下の罰金もしくはその併科というかなり重い罪になります。
(出典:時事ドットコム)
最低賃金法では、生活保護に係る施策との整合性に配慮されて決定されます。上記は2020年10月現在の全国の最低賃金ですが、この最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても無効とされ、最低賃金額と同等の定めをしたものとされます。
地域別最低賃金は、セーフティネットとして都道府県内の全ての使用者及びその地域の事業場で働くすべての労働者(常用、パートタイム労働者、臨時・嘱託など雇用形態の別なく)に適用されます。特定の産業に適用される「特定(産業別)最低賃金」というものもありますが、こちらも都道府県で設定が異なるため、最寄りの労働センター等へお問い合わせ下さい。
日本人が従事する際に受ける報酬と同等額以上とは
外国人を雇用される方は、この「日本人が従事する際に受ける報酬と同等額以上」という文言をときどき目にするのではないでしょうか?そして、分かるようで分かりにくいのがこの日本人と同等以上という言い回しです。
これは、専門学校や大学を出て企業に勤める際の一般的なビザである、「技術・人文知識・国際業務ビザ」取得のための報酬要件なのですが、基本的には申請人である外国人が就労する日本の企業などの機関において、その外国人と同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬、という意味です。
ただしこの場合に気を付けたいのは、同業他社で同じ業務に従事している日本人の平均賃金よりも明らかに低い報酬に設定されているような場合です。このように低い金額に設定されていると条件に適合しないものとされ、不許可(不交付)となる可能性が高くなります。
具体的な金額は規定がありませんが、まずは就労する企業の賃金体系を基本とし、それに同業他社の同種の職種の賃金を参考にして判断されるということになります。ただし、興行ビザについては具体的に月額20万円以上の報酬条要件とする規定があります。
この報酬には原則として基本給及び賞与のことをいい、通勤手当、扶養手当、住宅手当、渡航費用等は報酬には含まれません。
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