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不法就労で罰せられるのは外国人従業員だけじゃないですよ
2018.10.29
2024-08-28
あなたの「不法就労」のイメージを教えてください。
偽造ビザで入国して働く?
オーバーステイして就労?
こんなイメージをお持ちでしょうか?私もこんなイメージをもっていました。確かにこんな一面もありますが、実はもっと普段のビジネスシーンで思わぬことが不法就労になる場合があります。不法就労について外国人ビザ専門の行政書士が簡単にせつめいします。
不法就労で罰せられるのは外国人従業員だけじゃないですよ
そしてここが大切なのですが、独自の判断や思い込みで外国人を採用した場合だけでなく、通常の採用過程を経て業務に従事させたという事業主も、その後罪に問われる危険性があります。以下でお伝えする
についての知識を身につけてご自分のリスクを極力回避していただきたいと思います。
どういう場合に不法就労になるのか
何が不法就労にあたるかは、外国人を雇用する方にはとても重要です。これら4つが不法就労です。
1.付与された就労ビザの範囲外で働くこと
2.就労が認められていないビザで働くこと
3.在留期限が切れているビザで働くこと
4.不法に日本国に上陸してから働くこと
ではそれぞれ見ていくことにしましょう。
付与された就労ビザの範囲外で働くこと
【例】 ・外国料理のコックが建設現場で作業員として働くこと。 |
上記の例は分かりやすい例で、また外国人ご本人も不法就労についてご存知の方が多く、あまり該当する方はいません。それでは次からは、企業の採用担当者、事業主の方が気がつきにくい盲点をご説明します。
【例】 ・SEとして採用した外国人を貿易業務に従事させる |
この外国人の例は、企業への就職が内定し「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更を経て就職という、いわゆるホワイトカラーの典型的なパターンです。
この外国人のように学校で勉強した専攻と関連したビザで就労している場合、専攻と関連のない業務に従事することはすべて不法就労です。アルバイトがするような単純労働をした場合も同様に不法就労です。
この専攻と関連のない業務に従事させるケースは思いのほか多く、外国人本人はもとより、採用担当者や雇用主も気づかずに他部署で働かせていることが少なくありません。
日本人の感覚として、一度採用した人材をどの部門で働いてもらうかは企業側の自由裁量と考える風潮があります。もちろん日本人に関しましては問題ありませんが、外国人材の採用に関しましてはその考え方は危険です。人事異動の際には特にお気をつけください。
さらに次のような例も、実は不法就労です。
【例】 ・ホテルのフロントとして採用した外国人が、人手が足りないときにベルボーイの仕事をする |
たしかに現場の感覚とは違いますし、実務上はあり得る話なのかもしれませんが、厳密には法令遵守せずにこれらが発覚した場合、不法就労として処罰の対象となりえますのでくれぐれもご注意ください。
就労が認められていないビザで働くこと
【例】 ・観光等短期滞在目的で入国した人が働くこと |
これは在留カードに「就労不可」と明記されているビザで働くことです。例えば「留学」や「家族滞在」、「短期滞在」というビザがあります。ほかに難民認定申請中の外国人もそうですが、原則としてこれらの方々は就労することはできません。
ところが現在31万人いる留学生のうち、実に約30万人はアルバイトで働いているといわれます。就労できないはずの留学生がなぜこんなに働くことができるのでしょう?
それは、原則として日本で就労が認められていない留学生でも、入国管理局からあらかじめ「資格外活動許可」を得ることで週28時間(40時間)まではアルバイトをすることができるからです。
ですので、就労が認められていないビザの場合、この資格外活動許可を得ないでアルバイトをしたり、28時間(40時間)の制限をこえてアルバイトをした場合は、不法就労にあたります。
また、留学から就労ビザに変更申請をしているような場合で入社式の時点でまだ許可が下りていないような場合、もうじき許可が下りる予定だとしても、就労ビザが下りる前に有償で働かせることは絶対に避けてください。
まずは就労不可のビザではないこと。そして就労不可であった場合、資格外活動許可を得ていることを確認してから就労可能時間制限を超えないようにすることを心がけて業務に従事させるようにしてください。
在留期限が切れているビザで働くこと
これはいわゆるオーバーステイのことです。
外国人が持つ在留カードには在留期間が明記されています。たとえ正規の就労ビザを持っている外国人でも、この期間を過ぎて働くことはできません。就労ビザに限らず、在留期間を過ぎて更新や特別な許可なく日本に滞在している状態はオーバーステイにあたり、処罰の対象となります。
不法に日本国に上陸してから働くこと
これは完全に確信犯ですので問題外ですが、偽造ビザ等で不法入国し、他人になりすますなどして働くことです。発覚次第、強制退去の対象となります。
在留カードの有効性を調べるにはこちら
※上記入管の失効情報照会は、土日祝日を除く,毎日午後5時から午後8時までの約3時間,メンテナンス(データ更新)のために使用できません。
どういう場合に雇用主が罪に問われるか
このような場合、雇用主も処罰の対象となります。
1.事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者
2.外国人に不法就労をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
3.業として外国人に不法就労活動をさせることをあっせんした者
それぞれみていきましょう。
事業活動に関し外国人に不法就労をさせた者
【例】 ・不法就労者を雇用した者 |
外国人に不法就労をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
【例】 ・不法就労者のパスポートを預かった者 |
業として外国人に不法就労をさせることをあっせんした者
【例】 ・ブローカー |
罰則と注意点
これらの行為があった場合、事業主に対しては不法就労助長罪により「3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方」が科されます。その両方という併科もあり得る、かなり重い罪です。(入管法73条の2第1項)詳しくはこちら☞不法就労助長罪とはを参照ください。
上記の4つのケースは基本的には外国人が不法就労者であることを想定していながら雇用したり、斡旋しています。つまり、「知っていた」ケースです。
そして注意すべきは、雇用した外国人が不法就労にあたることを雇用主が「知らなかった」としても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には処罰を免れることができないということです。
確信犯的に不法就労をさせるというよりも、一般企業においてはこの雇用主が、不法就労をしている・させているという自覚がない=「知らなかった」というケースが多いのです。
ですが残念ながら「ついうっかり」は通用しません。繰り返しになりますが、不法就労をした外国人のみならず、不法就労をさせた事業主も処罰の対象です
不法就労助長罪に問われないために
ではどうすれば不法就労助長罪に問われないようにできるでしょうか。それは、雇用主が不法就労外国人を雇用するにつき「過失がないこと」を証明することです。
こちらにつきましては「雇用主が不法就労助長罪に問われないためにすること」で詳しく説明していますので、合わせてご参照ください。
【在留資格と雇用・就労の可否】
まとめ
何が不法就労にあたるかをまず知ること。思わぬことが不法就労にあたります。
不法就労をした外国人のみならず、不法就労をさせた事業主も処罰の対象です。
何が不法就労にあたるかは前半でお伝えしましたが、ポイントは事業活動の現場において、どこからが不法就労でどこまでがそうではないかです。線引きが微妙な場合が多々あるのではないでしょうか?
そんな場合は独自に判断されるのではなく、入国管理局に直接相談されるか、就労ビザを専門にしている行政書士に相談されることをおすすめいたします。
また、外国人の採用からビザの取得・更新・変更、退職等を自社で管理されている場合、それまでに外国人の採用経験がないような時は特に、どんなに気を付けていても管理ミスが発生しがちです。問題が大きくなる前に、外国人のビザ管理を専門家にアウトソーシングされるということも選択肢のひとつです。
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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