はじめての外国人採用の流れ(日本にいる外国人雇用)
2018-12-11
2021-09-12
はじめて外国人を雇用する場合、採用から内定、ビザ申請やその後の手続きについてよくわかりませんよね。
ここでは日本にいる外国人の方をはじめて雇用する企業担当者様に、簡単にその流れを説明しています。
Contents
外国人採用の流れ(日本にいる外国人雇用)
外国人を雇用する場合、日本人とは異なる外国人特有の手続きが必要なシーンがいくつか発生します。
外国人を雇用するためには適切な就労系のビザを取得することが必要ですが、外国人が働くことができない職種も多く存在します。
まずは面接に進む前に、採用を検討する外国人が就労可能な要件を備えているか、自社が採用しようとしている職種でビザを取得できるかという事前調査から始めるようにしましょう。
日本にいる外国人雇用の流れ
STEP1 事前調査
なお、応募者が身分系と呼ばれる次の1~4のビザをお持ちの場合は就労制限がありません。どのような職種でもすぐにでもフルタイムで働くことができます。
- 永住者
- 永住者の配偶者等
- 日本人の配偶者等
- 定住者
就労可能な外国人の事前調査についてはこちら
STEP2:外国人の募集開始
事前調査で就労ビザが下りる可能性がある場合、募集を開始します。外国人採用を常時行っていない企業や採用担当者様は、以下の採用方法を参考にしてください。
■ 求人媒体とその特徴
自社ホームページ | 貴社を何かのきっかけで知った方が貴社名で検索してからサイトに訪れる、というプロセスを経ることが多いので、貴社名を知っている人からのアプローチがほとんどです。求人効果が高くない反面、費用は安く抑えることができます。
自社ホームページの1ページに採用情報を載せても効果はほぼ期待できません。自社で採用専用サイトを構築し、アクセスしてきてくれた人にこちらからアプローチすることや、他の求人ツールと掛け合わせるなど仕組みを重層的にすることで効果を上げることが可能です。
多方面に自社サイトのリンクを張り、自社へアプローチすることのできる経路を多く確保することが必要。日本にいてもエンジニアなどは日本語が苦手な場合も多いので、多言語化された企業サイトは効果的ツールになり得ます。
特定技能ビザ制度導入後は海外から日本に入国して他社で働いていた人材を、転職活動で中途採用ということが可能となります。これまであまり活用されてこなかった自社サイトによる自社での外国人の求人募集というケースが、今後増えていくことが予想されます。 |
SNS | フェイスブックなど投稿による広告を出したり、カテゴリーを絞って広告を出すこともでき、費用対効果が良いと言われます。
応募者はバラエティに富むので、必ずしも求める人材が応募してくるとはいいがたいですが、リアルタイムな情報更新が可能なので、双方向性があることはメリット。自社のフェイスブックページなどで求職者に対して有意義な情報発信でフォローしてもらえるコンテンツ作りが大切です。
IT業界などは、他の業界より比較的このSNSから直接応募してくるケースが多く、リンクトインほかSNSからダイレクトに自己アピールして採用に至るケースもあります。 外国人コミュニティによって使用頻度の高いSNSは全く異なるので、採用を希望する国籍の外国人が使用するSNSを事前調査することがおすすめです。
・フィリピン:Facebook |
ハローワーク等公的機関 (外国人雇用サービスセンター等) | 無料で利用できるので費用が抑えられることと、応募してくる外国人の属性を把握しておけることがメリット。最近では無料就職セミナーも開催され、その他ハローワークインターネットサービスに求人を公開するとIndeed社でその求人が無料で公開されるようになったのでぜひ利用してみてください。
雇用する日本人がハローワークは日本人が職を探すというイメージから外国人雇用の際に認知されていない部分がありますが、外国人を雇用に関して充実したサービスがあるので、ぜひ活用したいところです。外国人雇用サービスセンターに関しては、東京・大阪・名古屋・福岡の大都市にのみ設置されています。公的機関の情報なのでやや融通性に欠け、自社ホームページとは異なり、内容変更が容易ではないことはデメリットではあります。
・東京外国人雇用サービスセンター
上記東京外国人雇用センターの新宿外国人雇用支援・指導センターでは、身分系と呼ばれる日本人の配偶者、永住者、永住者の配偶者など就労制限のない外国人と、アルバイトを希望する留学生に特化した支援および情報提供をしています。
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教育機関の求人情報 | 大学や専門学校、日本語学校等教育機関の求人情報は無料で掲載できるところが多く、応募者のバックグラウンドを把握したうえで採用活動ができます。また、学校の求人情報を見る学生は比較的優等生が多いという声もあります。学生課や就職課などにコンタクトをとってみてください。
ただし、クローズドの限られた情報であるため、閲覧される絶対数が多くありません。学校によっては掲載を断られたり、手続きに手間がかかることもあるので、要事前確認が必要です。
下記サイトでは外国人を多く受け入れている大学を掲載していますので、これらの大学の学生課や就職課に求人を出してみることも一つの案です。 |
外国語フリーペーパー・新聞 | 日本には数多くの国のフリーペーパーがあり、普段あまり意識しないところですが、他の媒体では難しいケースでも採用したい国籍に絞って求人情報を掲載できます。
不特定多数に情報を拡散するので、こちらからアプローチするというよりも、求める人材が応募してくるのを待つことになります。この媒体の特性上、日本語に不安のある人も応募してくる可能性はあります。その他以下のような大手英語雑誌・新聞などの媒体に求人広告を掲載する方法もあります。
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新卒・転職求人サイト | 日本の新卒採用活動と同じような時期に外国人新卒留学生向けのセミナーやイベントが多数開催され、大量に柔軟で融通の利く求人募集ができる反面、費用は高価。採用前にセミナーなどの説明会・相談会で面接前に話をする機会が設けられていることは双方のメリット。どちらかというと中企業~大企業向けの人材採用方法です。
優秀な人材は外国人特化サイトにエントリーすることも多いですが、獲得競争は熾烈です。また、サイトによっては効果にばらつきもあり、自社が採用したい人材を獲得するにふさわしいものを見極めることが必要です。
もっと小規模なコミュニティサイトを利用する場合、個人間のオークションサイトの中で求人告知ができるところがあるので、小規模で地域限定で採用する場合などに活用できます。 |
人材紹介会社 | 柔軟で希望するような人材を選択できます。コストは高価ですが、求める人材にかなり絞って採用活動をすることができるので、希望する人材のイメージをできるだけ明確に伝えることで、不要な書類選考や面接にかけるコストを削減できます。
ただし紹介会社のクオリティーはさまざまで、採用することが難しい外国人を紹介される可能性もゼロではありません。したがって紹介会社の選定がまずはポイントとなります。信頼できる顧問先の士業や過去に紹介会社を通して雇用経験のある経営者等から、信頼できる紹介会社を紹介してもらいましょう。 |
STEP3:書類選考
技能実習と特定技能を含むと19種類の就労ビザにつきまして、入管法においてそれぞれ取得にかかる必要な要件が定められています。そして職務内容がマッチするとしても、学歴・職歴が要件を満たさない場合は就労ビザを取得できませんので、まずやることは候補者が要件をクリアするかを調査することです。次の2つに大きく分かれますが、職種によって要件は異なりますのでご注意ください。
1.学歴:学士(専門士)以上の学位があるか
2、職歴:10年(3年)以上の実務経験があるか
学歴について
日本と海外とでは学校体系が異なります。学歴要件があるビザのほとんどは大学卒業以上とされますが、海外で大学を卒業している場合、学士以上(修士、博士)を取得していなければビザが下りないとお考え下さい。(専門士についてはその専門分野で就労する場合においてのみ学歴要件を満たします。)
参考までに中国の学校系統図を掲載します。他の国についても外国人応募者の大学卒業ということばをそのまま鵜呑みにせず、学位証書などから確認することをおすすめします。外国人ご本人も学歴を満たしていないという認識がないことが多々あります。
実務経験について
学歴要件とは異なり、実務経験でのビザ取得は難易度が高いとお考え下さい。実際には現地で就労していた「在職証明書」で証明することになりますが、この証明だけでは疎明資料として弱いです。実務上では偽造も行われていたり、そもそも働いていた企業や店舗が倒産などしている場合、証明のしようがありません。
真正の在職証明書が発行された場合でも、当時の給与明細や同僚と働いている写真など、在職していたことを補強する資料提出があるほうが許可の可能性は高まるとお考え下さい。
このようにして書類選考を会社の規模や募集人員によってさまざまですが、概ね1/5程度の応募者が書類選考から面接に進むと言われています。
STEP4:面接
学歴と専攻の確認
現在持っている在留資格の種類を確認するためには、外国人本人から在留カードを提示してもらいます。在留カードには現在保有している在留資格の種類が書いてあります。現在持っている在留資格が「留学」や「家族滞在」なら、社員としてフルタイムで働いてもらうには「在留資格変更許可申請」が必要になります。
就労系の在留資格である「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などの場合は、募集している職種の仕事ができる在留資格であればよいですが、当てはまらない場合は「在留資格変更許可申請」が必要になります。当てはまる場合でも転職にあたりますので「就労資格証明書交付申請」をして御社で働けることを証明すべきです。
就労資格証明書交付の申請(任意)
就労資格証明書とは入国管理局による転職許可証のようなものですが、任意とはいえやっておいたほうが良いおすすめの申請です。これを取得しておくことで次回更新時に会社に対する審査が実質ほぼなくなり、不許可リスクが激減します。外国人本人にとっては安心して更新を迎えられるメリットがあり、雇用する企業にとっては不法就労助長罪に問われる心配がなくなります。基本的には転職前と職種が変わらない場合に取得します。 |
就労ビザが許可されるためには、大原則として外国人の学歴(専攻)と職務内容に関連性があることが非常に重要となります。学んだ内容と関連性のある職務内容であれば許可されますが、全く関係がなければ許可されません。
外国人の学歴(専攻)と職務内容の関連性があるかないかわからない場合は、「履修証明書」や「成績証明書」を出してもらえれば、より詳しく何を学んだかわかります。就労ビザ申請の際、これらの書類は添付して提出するので、SNSやメールで予め画像を送付してもらい、外国人本人には原本を取得しておくことをお願いしておきましょう。
在留資格の確認
採用する外国人と、業務内容が具体的に決まったら、(その外国人が日本国内にいる場合)、外国人に【在留カード】の提示を求め、現在持っている在留資格の確認をします(入管法で確認義務があります)
現在、既に保持している在留資格で決まっている職種(個々在留資格内で、就ける職種が決まっています。)と、御社で就業予定仕事内容・職種に相違がある場合、在留資格を、御社で行う職種内容にマッチする在留資格に変更する手続(在留資格変更許可申請) を行わなければいけません。(例:高等学校等語学教師から一般企業営業職や通訳業務、エンジニア等他職種に転職する場合など)
また、留学生を新卒採用する場合、あるいは、既卒で就職活動中の「特定活動ビザ」(就活のための特例ビザ)で日本に在留している外国人を採用する場合、「留学」あるいは「特定活動」の在留資格から就労可能なビザへ在留資格変更許可申請を行う必要があります。
入管法において、「19種類」の就労ビザには、各々、取得するための必須条件(職種に関連する専攻 科目学士号(4年制大学卒業)また専門士相当以上の学歴や、 あるいは同一職種内で10年以上職歴など)が定められています。
具体的に面接で外国人の応募者に何を聞けばよいか知りたい方は、こちらも参照ください
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STEP5:内定
採用が内定したら、外国人本人と賃金をはじめとした労働条件を話し合い、書面による雇用契約を締結します。就労ビザ申請に雇用契約書や雇用通知書を添付するのでこれは必須です。申請前に雇用契約を結んでください。「採用」→「就労ビザ申請」という流れですので、お間違いのないように。
雇用契約書は採用後の労使トラブルなど、予期しない事態が起こった時に必要となります。必ず外国人労働者と合意の上で取り交わしてください。可能な限り、日本語雇用契約書に加え、雇用する外国人の母国語や英語などの言語で翻訳分を作成し、その双方を本人に渡してください。
雇用契約書のサンプルと作成時の注意点はこちら
STEP6:就労ビザ申請
日本に 留学している外国人を新卒で採用する場合
留学生の在留資格「留学」から就労可能な在留資格に変更する【在留資格変更許可申請】を行います。
既に日本にいる外国人を中途採用(転職前と別職種で採用する場合)
採用予定の外国人に担当してもらう職種・仕事内容に該当する、新しい在留資格へ変更する【在留資格変更許可申請】をするための手続を行います。これは就労ビザの変更を伴う申請ですので、雇用予定の外国人が新しい在留資格に変更することが可能な要件を備えている必要があります。
※出入国在留管理庁は会社の経営規模や外国人の在留状況等様々な角度から審査します。「必要書類を申請すれば必ず在留資格変更が認められる」といった届出制申請でない事を認識しておく必要があります。
既に日本にいる外国人を中途採用(転職前と同職種で採用する場合)
転職前に外国人が働いていた職種と転職後の職種が同様な場合、基本的にはビザ申請きを行う必要はありませんが、採用する外国人が次回ビザを更新する際には、新たに転職先の企業に関する関係書類を提出し、【在留期間更新許可申請】することになります。
上記の場合、更新時に申請の結果がいきなり不許可になるというリスクもあるので、安心して転職先で働くためにも、「就労資格証明書交付申請」を転職時にすることをおすすめしています。
STEP7:受け入れ準備
就労ビザ取得後は入社日を決定し、勤務するにあたり必要に応じて以下のような受け入れ準備をしていきます。
- 研修・教育カリキュラム作成
- 住居(社宅・借り上げ寮など)の手配
- 日本語スクール
- 配属部署の受け入れ態勢づくり
STEP8:入社
ハローワークへの届出
外国人を雇用したときには雇用状況報告が義務付けられています。「外国人雇用状況報告」とは、ハローワークを通じて厚生労働大臣に届け出るものです。繰り返しになりますが、これはすべての会社に義務付けられていますので、必ず届け出るようにしてください。届出事項は雇用する外国人の氏名・在留資格・在留期間など基本的なものです。この届出は、雇用の時だけでなく、離職の際にも義務となっています。
所属(契約)機関に関する届出に関する指導
この「所属(契約)機関に関する届出」は転職の場合に、外国人本人がしなければならない届出です。これらの届出は外国人本人がすることになっていますが、雇用主が代理で届けることもできます。また、届出を怠った場合には20万円以下の罰金に処せられることがあります。
外国人がこの届出のことを知らないことがよくあります。その場合、雇用主が外国人が離職する際や入社する際に教えてあげてください。また、これから雇用する場合には代理で届出ることで、次回のビザ更新時に雇用した外国人に不利益が生じることを事前に防ぐことができます。代理で届ける場合には、外国人本人の署名が必要です。
住民登録の指導
外国人従業員の居住地が決まったら、住所を管轄する市区町村役場において、外国人本人が住民登録を行います。
社名変更等届出
こちら入社後、就労中に会社の社名や住所に変更があった場合にする契約機関に関する届出です。出入国在留管理庁への届出義務がありますので、変更があった場合には忘れずに届け出てください。
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