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就労ビザを取得する際のフランスの学歴について

2020-02-18

2020-06-11

 

日本で技術・人文知識・国際業務ビザを取得の際に必要な学歴につき、日本とは異なるフランス特有の教育体系がよくわからないということがありませんか?

 

ここではフランスの学校携帯を系統図をもとに詳しく説明していますので、見ていくことにしましょう。まずはこちらの系統図をご覧ください。

 

フランスの学校系統図

 

フランスの学年歴

 

9月~翌年7月

 

フランスの学校体系

 

ここでは就労ビザに関するフランスの学歴を中心にお伝えしていますので、初等教育までは割愛しています。

 

フランスでは「バカロレア」という国家試験、さらには伝統的な大学と「グランゼコール」という教育機関が併存する特有の構造を持つところがポイントで、他のヨーロッパ諸国にはない教育体系となっています。

 

中等教育

前期中等教育

前期中等教育は、11~14歳の生徒を対象に4年間,上記の体系図でいうところのコレージュという教育機関で行われます。

 

前期中等教育の修了は、前期中等教育修了国家免状(DNB)により認定されます。ただし、DNBの取得は後期中等教育への進学のための要件ではありません。

 

 後期中等教育

 後期中等教育は、リセ(Lycée3年)及び職業リセ(2~3年)で行われます。このリセというのは日本でいうところの高校に近い教育機関で、リセでは第2学年以降に普通教育課程と技術教育課程に分かれ、第3学年終了時にバカロレア(中等教育修了資格と高等教育入学資格を兼ねる国家資格)の取得試験を受験します。

 

 

バカロレアって何??

 

バカロレアとはかんたんにいえば「高校卒業証明書」のようなものです。国家試験で高等学校教育の修了を認証するもので、口頭では略して「BAC(バック)」と呼ばれます。このバカロレアはとても重要な役割を担っています。

 

高等学校にはいくつもの系列、たとえば自然科学系、経済・社会科学系、文学系などがあり、バカロレアの受験区分はこれらの各系列に対応しています。バカロレア資格は、大学に入る第1段階です。つまり、バカロレアに合格することは、高等教育にアクセスするための必要条件です。

 

 それまで通常の教育を受けてきた生徒は、成人年齢、つまり18歳でバカロレアを受けることになります。バカロレア合格以後、何らかの高等教育修了証書を得るまでにどれだけの年数がかかるかということは、その修了証書の明細のなかの重要な要素とみられています。

 

Baccalauréat Général (BacGe)普通バカロレア
Baccalauréat Technologique (BacT)工業バカロレア
Baccalauréat Professionnel (BacP)職業バカロレア

 

バカロレアは大学に進学するためには絶対必要な条件です。従って、フランスの高校生で大学進学を考えている生徒はとにかくこのバカロレアを取得するためにがんばって勉強します。

 

高等教育

フランスの高等教育制度は二元性をとっており、いわゆる伝統的な大学と、グランゼコールという制度が共存しています。

 

大学では,原則としてバカロレア取得者を無選抜で受け入れます。大学以外の高等教育機関ではバカロレアの取得とともに選考や選抜試験が実施されます。グランゼコールへの入学に当たっては,グランゼコール準備級を経て各学校の入学者選 抜試験を受験します(準備級を経ず直接入学できる学校もあります)。

 

フランスの高等教育は、大学、高等職業学校、グランゼコールで行われます。その他高等学校で行われるものもあります。

 

高等教育機関

 

  • 大学
  • 高等職業学校
  • グランゼコール
  • リセ付設グランゼコール準備級

 

大学 Université

フランス大学はそのほとんどが国立です。日本大学入試のような入学試験はフランスの大学には存在せず、入学条件は「バカロレア」のみです(医学部は例外的に試験がある)。授業料はなく、登録手数料を納入するだけです。

 

カリキュラムは下記のようになっています。

 

 バカロレア取得後3年間に学ぶ過程

 バカロレア取得後5年間に学ぶ過程

 バカロレア取得後8年間に学ぶ過程

 

ヨーロッパ共通制度「LMD3-5-8システム」と呼ばれる共通の制度をとっています。ヨーロッパ全般及び世界的に大学の課程の共通化を図ろうという潮流が生まれたことから、フランスもこの制度を取り入れています。

 

技術短期大学部及び中級技術者養成課程では、短期高等教育課程(2年)が置かれ、修了時にはそれぞれ大学技術教育免状(DUT)・中級技術者(BTS)が授与されます。

 

高等職業学校(Écoles supérieures professionnelles)

 芸術、医師以外の医療部門、 福祉関係、メディアなどの分野の教育は、高等職業学校で行われます。高等職業学校への入学は、バカロレアと補足的な選考(試験または書類審査)によって決められます。

 

グランゼコール (Grandes écoles)

 グランゼコールとはフランス特有の高等専門学校のことで、それぞれの学校で入学試験を実施していて、大学よりレベルの高い学校が多く、将来はフランスの政治・軍事・教育などあらゆる分野での官僚や、国を動かすような公務員を育成するための「エリート養成学校」です。このグランゼコールに入学するためには超難関の試験に合格しなければなりません。

 

グランゼコールの選抜は、バカロレア取得直後に書類選考または入学試験により行われる場合もありますが、普通はバカロレア取得から1年後または2年後の入学試験により行われます。これらの入学試験は、高等学校の特定の系列において準備されます。

 

これらの系列における準備教育は高等教育の任務を担っていて、これらの系列に属する生徒は非常にきめ細かな指導を受けることができます。この準備学級に入ること自体がきわめて狭き門で、この準備学級の課程を修了した学生には、その系列に対応する大学教育を受けた者に等しい資格が付与されます。

 

主なグランゼコールはこちら

 

Ecole Normale Supérieure (高等師範学校)
*教師や研究者養成のための学校です。
- ENS Paris
- ENS de Lyon (理系と文系に分かれていた旧ENS de Lyon が統合されたもの)
- ENS de Cachan

 

Ecole d’ingénieur (エンジニア養成校)
- Ecole Polytechnique
- Ecole Nationale Supérieure des Mines de Paris
- Ecole Nationale des Ponts et Chaussées
- Ecole Centrale Paris
- Ecole Supérieure d’Electricité
- Ecole Centrale de Lyon
- Ecole Nationale Supérieure des Télécommunications de Paris

 

Ecole de commerce (商業・経営学校)
- HEC
- ESSEC (Ecole Supérieure des Sciences Economiques et Commerciales)
- ESCP (Ecole Supérieure de Commerce de Paris)

 

Institut d’Etudes Politiques (IEP) (政治学院)
- Institut d’Etudes Politiques de Paris : Sciences Po (略称“シアンスポ”)
- Instituts d’Etudes Politiques de Province (Bordeaux, Grenoble, Lille …)

参考:在日フランス大使館HP

 

多くのグランゼコールは世界の大企業などとコネクションがあり、学生の将来はほぼ保証されているといってもよいほどです。

 

フランス国内では大学よりも地位が高いと認識されていて、グランゼコールの学生のほとんどがいわゆる富裕層で上流階級の家柄のようです。グランゼコールの学費は高いので、裕福な家庭にしか支払えない現実もあります。

 

グランド・ゼコール準備学級(Classes préparatoires)

入学希望者が高校卒業後に所属する必要のある2〜3年間の特別準備学級です。通常はリセに置かれていて、フランスの高等教育課程で、通称プレパ(プレパラトワール)と呼ばれます。

 

 

フランスの職業レベルと対応資格

職業能力の基準は4段階にレベル分けられ、そのレベルはそれぞれの資格に対応しています。

職業能力技能レベル学校教育レベルと資格
職業能力ⅠまたはⅡ・グラン・ゼコールの免状等を所有しているもの
・大学の学士・修士・博士等の免状などを所有しているもの
博士
高等教育専門研究免状(DESS)
修士
学士
職業能力Ⅲ・バカロレア取得後、2年間の高等教育をおさめ所要の免状を取得しているもの大学一期免状(DUEG)
上級技術者免状(BTS)
技術短大免状(DUT)
職業能力Ⅳ・バカロレアを取得したもの普通バカロレア(BacGe)
技術バカロレア(BacT)
職業バカロレア(BacP)
職業能力Ⅴ・職業リセを修了し所要の免状を取得しているもの職業適格証(CAP)
職業教育免状(BEP)

 

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この記事を書いた人

 

金森国際行政書士事務所代表 金森大
金森国際行政書士事務所 代表

金森 大

 

国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。

 

【取材実績】

  • 新聞通信社「資格外活動許可と外国人アルバイト」(2019年3月11日)
  • 朝日新聞社「技人国と不法就労」(2020年9月28日)
  • 神奈川新聞社「飲食店での不法就労助長」(2020年10月5日)ほか多数

 

【講師実績】

  • 「技術・人文知識・国際業務」ガイドライン改訂(VICS行政書士渉外事例研究会)
  • 就労系在留資格事例紹介講師(VICA行政書士渉外事例研究会)
  • 入管実務研修会講師(神奈川県行政書士会)
  • 国際行政書士養成講座講師(就労部門)2022年・2023年・2024年
  • 士業対象就労ビザセミナー講師(渋谷区)
  • 横浜中央支部研修会国際業務講師2022年・2023年・2024年
  • 「社会制度セミナー(外国人コミュニティ社会参加促進事業)」セミナー講師 第4回「知っておきたい在留資格 ~安定した未来を築くために~」((公財)かながわ国際交流財団) ほか多数

 

 

 

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