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留学から技術・人文知識・国際業務ビザへの変更申請【2024年9月入社の留学生】
2022-12-23
2023-11-12
2024年9月に入社する外国人留学生の「技術・人文知識・国際業務就労ビザ」(技人国ビザ)についてビザ専門の行政書士がかんたんに説明しています。
はじめて外国人を雇用する企業の方や、ビザの申請に慣れていない方、そして2024年9月から企業で働く予定の外国人の方はぜひご覧ください。
留学から技術・人文知識・国際業務ビザへの変更申請【2023年9月入社の留学生】
留学生に内定を出す時期
技術・人文知識・国際業務ビザの申請時期
技術・人文知識・国際業務ビザでこれから外国人雇用をお考えの方
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技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)
日本国内の企業で従事する外国人の89%(2016年)は、この「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得して働いています。このビザは日本の公私の機関との契約(※)に基づいた、以下の業務に従事する外国人を受け入れるために設けられたビザです。
・自然科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務。大卒等の学歴のある人や一定の実務経験がある人が、その専攻した内容や実務経験に関連した業務。
・人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務。大卒等の学歴のある人や一定の実務経験がある人が、その専攻した内容や実務経験に関連した業務。 |
このビザは以前は「技術」と「人文知識・国際業務」ビザの2つに分かれていました。つまり理系と文系の業務は明確に別々のビザに分かれていたのですね。それが法改正により「技術・人文知識・国際業務」ビザに統合されました。
統合されて1つのビザとなりましたが、許可されるための基準につきましては以前と大きな変更はありません。
※公私の機関との契約とは
「公私の機関」:公益法人、民間会社、独立機関として活動する外国法人の支店・支社、NPO法人、外国人が在留活動を行うに足る施設・陣容を有する個人のことです。
「契約」:契約には雇用のほか、委任、委託、嘱託なども含みます。雇用契約ではなくても、業務委託契約や派遣契約も契約に該当することがポイントです。
派遣契約の場合、契約期間よっては安定性に欠けるため、雇用契約よりはビザが許可される可能性はやや低くなりますが、ビザが取得できないわけではありません。 |
技人国のポイント
ポイントとしては、1つに統合されましたが、内部的には「技術」と「人文知識」さらには「国際業務」は分けて審査されます。
日本では依然として文系・理系で履修内容が分かれていることが多く、学部・学科も理系・文系はある程度分かれていますが、業務が複雑に混在するような時代になり、また国際化に伴い以前のような明確な区分けはなくなりつつあります。経済学などは理系に分類するという国もあり、そもそも理系・文系の概念がない国も多くあります。
このような潮流は審査にも少なからず反映されており、理系の大学を卒業しているから銀行への就職はできない、文系の大学を出ているからIT業界に就職はできない、というような過去の硬直化した考えは入管にはありません。あくまでも専攻内容とこれから従事する業務内容(活動)の関連性で判断されます。
つまり、技術・人文知識・国際業務のビザ(在留資格)は、申請人が翻訳者かエンジニアかという「者」に対して付与されるものではありません。あくまでも「活動」に対して付与されるということがポイントです。
技術・人文知識・国際業務に該当する業務の例
「技術」に該当する業務
技術に該当する業務は「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術を要する業務」のことです。専門的な技術又は知識を必要とするものでなくてはなりません。
【例】機械工学の技術者、システムエンジニア(SE)、プログラマー、建築系エンジニア、設計など
学歴にかかわらず、IT関連資格で技人国ビザを取得ができる場合があります。
詳しくはこちら
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「人文知識」に該当する業務
人文知識に該当する業務は、「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務」のことです。学問的・体系的な知識を必要とする業務でなくてはなりません。
【例】営業、経理、企画、総務、貿易事務、広報など
「国際業務」に該当する業務
国際業務に該当する業務は、「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」のことです。外国に特有な文化に根差す、一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とする業務を意味します。
外国の社会・歴史・伝統の中で培われた発想・感覚を基にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものでなくてはなりません。
【例】デザイナー、服飾、室内装飾に係るデザイン、商品開発、通訳翻訳、語学教師など
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留学から技術・人文知識・国際業務ビザ取得の6つのポイント
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1.専攻と職務内容の関連性
専門的・技術的分野の外国人材は積極的に受け入れようというのが日本の政策ですが、専門的・技術的であっても外国人が大学や専門学校で修得した専門的な技術や知識とは関連のない業務については就労させることができません。
ですので、大学(院)や専門学校で専攻した内容と関連性のある職種で働くことが必要となり、書面でこのことを証明することが求められます。
この「関連性」ですが、大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、比較的緩やかに判断される一方、専修学校につきましては大学とは設置目的が異なるので、業務との関連性が厳格に審査される傾向があります。
専門学校での専攻内容は、業務との関連性についてほぼ完全一致が求められるということです。また、専門士の場合には就労ビザを取得できる分野が限定されており、例えば美容や製菓、保育など専門士を取得しても就労ビザを取得できない分野が数多くあるので注意が必要です。詳しくは専門家へお問い合わせください。
トラベル専門学校生の事例
過去の事例でトラベル専門学校を卒業した外国人が出版社で働きたいので自己申請したところ不許可になりました。
業務との関連性に疑義を持たれたことが不許可理由ですが、この出版社では海外での写真撮影がとても頻繁に行われており、撮影隊の航空チケットやホテルなどの手配の業務が日常的に頻繁に発生していました。
そこで、旅行の専門学校でこのような勉強をしてきたことを、出版社ではあるもののチケット手配やスケジューリング、ホテル手配などの業務内容と関連付けて申請したところ、無事に許可となりました。
専門学校生の場合特に審査が厳格なので、このように専攻内容と業務内容をできる限り完全に関連付けて申請することがポイントとなります。 |
2.本人の経歴
本人の経歴には「学歴」と「職務経験」の2種類が考えられます。
学歴
まず学歴については、海外の高校卒業の場合は技術・人文知識・国際業務ビザは取得できません。海外で大学(院)を卒業しているか、日本の専門学校や短大、大学(院)を卒業している必要があります。
就職して働くことになる職種との関連性を確認するために、まずは卒業証明書や成績証明書を提出してもらいます。卒業証明書については具体的には専門士・学士以上のもの、成績証明書については履修した科目が全て載っているものを入手し、そこでどのような内容を専攻したのかを確認してください。
外国人を採用する企業は、自社で働くことができる外国人かを調査するために、まず最初に外国人の方からこれらを入手することから始めるといってもいいでしょう。こちらから依頼する前に、SNS経由でこれらの書類の写真を送ってくる外国人の方もいらっしゃいます。
上記のように海外の大学や日本の専門学校、大学(院)を卒業していない等、学歴でビザ取得の取得の要件を満たさない外国人の方は、次の職務経験の要件を満たせばビザ取得が可能です。
.職務経験
次に職務経験ですが、学歴は問われませんが、業務により3年以上若しくは10年以上(その多くは10年)の実務経験があることが許可の条件となります。
この10年という職務経験には、企業で実際に働いた期間はもちろん、大学や高等学校、中等教育学校の後期課程や専修学校(海外の教育機関も含む)で関連する科目を専攻した期間があれば、その期間も加算することができます。
過去に実際に勤務した企業などから書類を入手し、実務経験を証明していく作業が必要ですが、通常の学歴で申請するよりも難易度が高く、過去に勤務した企業が倒産していたり連絡がつかないなどの理由で証明資料を手に入れることができないと、ビザの取得は難しいでしょう。
また、実務上では在職していた企業や店舗に依頼して在職歴など在職証明書を偽造することが横行していたこともあり、疎明資料として単独では弱い部分もあります。その場には在職証明書を公正証書にしたり、当時働いていた期間の給与明細や同僚の写真などあらゆる方法で補強していくことも考えられます。
またこの在職証明書には、必ず記載すべきいくつかの大切な項目があり、この重要項目が漏れている在職証明書の場合には職務経験として認められず、就労ビザ取得はできません。以下の必要事項を満たした在職証明書を準備しましょう。
在職証明書の必要記載事項
・被雇用者名 ・証明書発行者氏名 |
3.会社の経営状態
出入国在留管理局では、外国人本人を審査すると同時に、受け入れる会社についても審査をします。つまり安定的・継続的に外国人材を受け入れる基盤がその会社にあるかどうかを審査するので、既存の会社の場合は決算書等を提出します。
新設会社の場合はまだ決算書がありませんので、事業計画書を必ず添付してください。新設会社でももちろん外国人材の雇用は可能です。
「赤字決算では外国人は雇用できませんか?」という質問をよくいただきますが、ただ赤字だからという理由のみでビザを取得できないということはありません。
その場合には現在の経営状況と今後のビジョン、すなわち具体的な売上げ向上のための方策や方針を打ち出し、それらを実行して黒字化するための事業計画書を作成して添付し、申請してください。
上記のように赤字=不可ではありませんので、改善策を合理的に説明できればリカバリーは十分可能ですが、これが「債務超過」になると許可を取得することは格段に難しくなります。
この場合には中小企業診断士や公認会計士を入れ、専門家の目から再建が可能であることを綿密な報告書や事業計画書など書面で疎明して行く作業が必要となります。
専門家への報酬も高額となると同時に、かなり難しい申請となりますので、ビザの専門家にご相談するとよいかと思います。
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4.雇用の必要性・業務量
外国人本人の専攻と密接に関連した業務であったとしても、許可が下りない場合があります。それは、そもそもその会社でその仕事をさせる必要性がない場合や、十分な業務量が見込まれない場合です。それぞれ例をあげて説明します。
・雇用の必要性に欠ける例 大学の日本語学科を卒業したネパール人をホテルで通訳翻訳として雇用したいという場合、宿泊客の大半が中国人であるなどネパール語を話す外国人客がほぼいないような状況では、ホテルがネパール人を雇用することの必要性を疑問視され不許可となる可能性が高くなります。 |
・十分な業務量が見込まれない例 経理と経営学を専攻したベトナム人をコンビニエンスストアの店長として雇用したいという場合、技術・人文知識・国際業務ビザで雇用した外国人はレジや清掃のいわゆる単純労働には従事することはできません。
また、経理業務については本部の一括管理であることが大半であるため、通常業務において外国人材がするべき業務量が少なすぎるとして不許可となる可能性が高くなります。
つまり、空いた時間に何をするのかという疑問を持たれ、接客をするのではないか?レジを打つのではないか?という疑問を払拭できません。
現在はコンビニエンスストア1店舗の店長として外国人が技人国ビザを取得することはまず不可能とお考え下さい。もちろんコンビニの従業員としての技人国ビザ取得もほぼ不可能です。
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5.日本人と同等以上の報酬
こちらは同じ会社で同じ職務に就く日本人社員と同じかそれ以上の給料を支払うことが必要とされます。国籍によって不当に外国人と日本人で給与に格差をつけることは禁じられています。
報酬額は一律に決められているわけではありません。あなたの会社の賃金体系を基に日本人と同等額以上であるか、または、他の同種の会社の賃金体系を参考にして日本人と同等以上であるかという点から判断されます。
6.本人の素行
これは過去に退去強制や逮捕歴がないかということはもちろん、留学生の場合には、オーバーワークがないかということも審査されます。つまり資格外活動許可を得て許可された就労時間を守ってアルバイトしていたかということです。
オーバーワークに関しては軽く考えている留学生が多いですが、発覚した場合、まずビザの許可が出ることはありません。
1週間に28時間という時間を守っているようでも、他に掛け持ちなどをしている場合もあります。課税証明書などから入管ではすぐに割り出すことができるので、外国人本人からはしっかりと事実を確認しておくことが大切です。
これまで採用活動から面接、雇用契約、ビザの申請などにかけてきた時間とコストがすべて無駄になってしまいますので注意が必要です。
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技人国の典型的な許可事例はこちら
これまでご自分で留学の更新をしてきた外国人の方々が、これまで自分で留学ビザを更新してきた感覚で就労ビザへの自己申請をして不許可になるケースが後を絶ちません。
就労ビザへの変更は、これまでの留学ビザの更新とは違い、許可の取得が難しい手続きです。とても難易度の高い申請も多くありますので、ご不明な点は就労ビザの専門家にお気軽にお問合せください。
自己申請で不許可になると、次回の再申請で許可になる可能性が下がり、審査が厳しくなる傾向があります。1度自己申請で不許可になった外国人の方も、許可取得の可能性を上げるためにぜひご相談ください。
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この記事を書いた人
金森 大
国際物流会社にて本社海外業務部を経てハンガリー駐在員事務所立ち上げ、同所長として駐在。帰国後、自身の就労ビザ取得経験から外国人ビザ取得のサポートに特化した行政書士事務所を2018年開業。年間相談件数1500件以上。
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